2026.09.18 15:30

日本の観光は、もっと本物を信じていい

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「資源があるから人が訪れるという従来の図式では、今各地で起きている変化をとらえきれない」

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新たなアワード「Forbes JAPAN Destinations of the Year」でアドバイザリーボードを務めた慶応義塾大学医学部教授の宮田裕章は、特集によせたコラムでそう記した。

今、地域や観光の現場で何が起きているのか。そして、日本が世界に届けるべき価値とは何か。

宮田と同じくアドバイザリーボードを務めたDeneb代表取締役の永原聡子、「Craft x Tech」を主宰し、地域と工芸の可能性を探るTangentの吉本英樹。異なる視点から日本の観光の現在とこれからを見つめる、3人のコラムを紹介する。

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辺境から、次の豊かさが立ち上がる

なぜ、未来はしばしば中心の外側から生まれるのか。ここでいう「辺境」とは、単なる地理的な周縁ではない。標準化された仕組みや経済合理性に完全には回収されず、問いの余白が残された場所のことだ(連載「『辺境』未来論」にて詳述)。

資源があるから人が訪れるという従来の図式では、今各地で起きている変化をとらえきれない。ひとつの食体験、一軒の宿、受け継がれた技、地域と響き合う芸術……。

土地の自然や記憶に根ざした営みは、それ自体が人を旅へと向かわせ、周囲の職人や生産者、風景との関係を育てていく。価値は、土地から切り出された「名物」ではなく、人と自然、技と記憶が結び直される生態系から生まれる。

そこにしかない意味に触れる体験そのものが、目的地(デスティネーション)になる。ただし、注目の量だけを成功とすれば、文化は売りやすい物語へ整えられ、暮らす人々の選択肢を狭めることもある。旅が生んだ価値は文化や自然、担い手へ還り、訪れた人も変化して日常へ戻る。その往還が、地域と旅人の双方に新しい選択肢をひらき、中心の物差しまで変えていく。

本アワードで紹介する辺境は、遅れた場所ではない。人口減少や環境変化という切実な問いに向き合いながら、まだ名づけられていない豊かさに挑戦している。そこは未来の最前線なのである。

宮田裕章◎データサイエンティスト、慶應義塾大学医学部教授
宮田裕章◎データサイエンティスト、慶應義塾大学医学部教授
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文=宮田裕章、永原聡子、吉本英樹 編集=鈴木奈央

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