2026.09.17 13:30

各地で新たな観光価値を創造する先駆者たち

Destinations of the Year 2026(イラスト=Klawe Rzeczy)

丸富(クレディセゾン特別賞) |山梨県・市川三郷

花火の町の工房で「和火」を学び、つくり、打ち上げる

「和火師」という、佐々木厳が名乗るこの肩書は独自のもの。硝石・木炭・硫黄という天然素材だけでたく「和火」は、素朴な赤褐色が特徴だ。この和火づくり体験は、かつて眺めるものだった花火を、客が自ら学びつくるもの。4号玉を河川敷で打ち上げ、線香花火は手元で楽しめる。約4時間、1日1組に限る。和火の魅力を適正な対価として確保し、あらたな職称の創出に加え、制作・継承の文化を生み出そうとしている。

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BYAKU Narai|長野県・奈良井宿

江戸から続く宿場町を拠点に、漆工体験と中山道トレイルへ

年間60万人以上が訪れる奈良井宿で、1人あたり消費額900円程度という通過型観光の課題に向き合う。2024年から、木曽漆器の工房を訪ねる漆工体験と、地域の語り手に会う中山道ツアーを展開。いずれも1人5万2000円で、現在も継続販売され、3年で約200人が参加。宿泊を起点に、景観や暮らしの継承と地域内消費の向上を両立するモデルを築き、地域と旅人との新しい接点を生み出し、地域との関係を今も育てている。

POJ Studio|京都府

伝統技術を次世代へつなぐ、滞在型の教育プログラム

2カ月の受講料は1万2000ドル。割れた器を漆でつなぐ金継ぎを学ぶ教育だ。「物を直して大切を使う文化」を金継ぎを通じて現代に再定義し、ゲストを「消費者」から「修復者(ケアラー)」へと意識改革させる進化性が好評。卒業生はそれぞれの土地で「直す文化」の担い手となり、修理の輪を世界に広げつつある。1カ月の木工学校は受講料9000ドル。生徒は林業の現場を歩き、地元の料理人の食事をとり、神職から神道の考え方まで教わる。

犬島精錬所美術館|岡山県・犬島

犬島精錬所美術館ツアーを起点に犬島を巡るアート体験

製錬で栄えた岡山・犬島の煙突や煉瓦などの遺構を生かし、自然エネルギーを活用した環境に負荷を与えない建築に、日本の近代化に警鐘を鳴らす作品を展示。ツアーでは犬島の歴史や背景を案内し、深い鑑賞体験を提供。また、集落にギャラリーが点在する犬島「家プロジェクト」も巡ることで、現在の犬島を知ることができる。アーティスト、運営する財団の職員も移住し、文化事業が単なる観光事業ではなく、暮らしやコミュニティと結びつく。

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帝国ホテル 京都|京都府・祇園

歴史的建築に泊まり、祇園の生きた花街文化を体感する

1936年築・弥栄会館の景観をそのまま生かし、環境保全と価値創造を両立。ゲストが心からくつろげる環境を大切にした国産(ドメスティック)ホテルのおもてなしは、本物志向のインバウンドには「最もリアルな日本の精神性を感じられるラグジュアリーホテル」と好評。館内レストランは京都の二十四節気が感じられるフランス料理を提供する。ゲストが芸舞妓を伴ってバーを訪れるなど、地域との「共創」を体現する。

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文=青山 鼓 編集=鈴木奈央

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