2026.09.17 13:30

各地で新たな観光価値を創造する先駆者たち

Destinations of the Year 2026(イラスト=Klawe Rzeczy)

花紫|石川県・山中温泉

文化人が愛した山中温泉の魅力を現代的な空間で味わう

hoto courtesy of Renée Kemps
Photo courtesy of Renée Kemps

松尾芭蕉などの文人墨客が訪れた山中温泉。1902年創業の歴史をもつ旅館「花紫」が目指すのは、泊まらない人も楽しめる茶房やギャラリーを備えた「日本の文化サロン」だ。6代目当主が案内するオーナーズツアーや、NYと山中温泉の2拠点の作家がナビゲートするディープなプログラムも展開。日本の文化や魅力を未来につなぐため、スタッフに英語や茶・酒類の研修を実施。ホスピタリティ人材の価値向上にも力を入れている。

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永井酒造|群馬県・川場

利根川源流のテロワールを巡る、最高峰の酒蔵テイスティング

1886年創業の蔵元が営む、1日1組限定・招待制のテロワール体験。仕込み水を育む水源の森と地元ブランド米の田んぼを巡り、瓶内二次発酵スパークリング酒、限定酒、超長期氷温熟成酒、デザート酒をひとつの物語として味わう。グラスや温度による表情の変化、料理とのペアリングを通して、日本酒の可能性を探求。ナパ・ヴァレーで培ったテロワールの思想と、日本の自然美や食文化が融合する、ここでしか出合えない体験を提供している。

白井屋ホテル|群馬県・前橋

建築×アート 泊まる美術館による、まちの価値転換

前橋のフレンチが、美食ガイド『ゴ・エ・ミヨ』に5年連続で載っている。白井屋ホテルのメインダイニングだ。かつて絹で栄え、のちにさびれた城下町で、300年続いた旅館を建築家の藤本壮介の協力を得て、2020年に再生。仕掛けたのは地元出身のJINS創業者、田中仁。前橋を「アートの街」へ成長させる取り組みで核となる宿に私財を投じ、美術館級のアートを展示。白井屋ホテルとして2026年秋、前橋で初開催の国際芸術祭にも参加。

八雲茶寮|東京都・目黒

お茶に始まりお茶で終わる、茶房での「朝食」体験

東京・目黒の住宅地に佇む八雲茶寮。併設の茶房にて朝9時より供される「朝茶」は、お茶に始まりお茶で終わる。季節のお茶やいりたてのほうじ茶とともに、その場を共にする方々と同じ釜で炊いたかゆを囲み、重湯、五分がゆ、全がゆの順に炊き上がりまでの変化を味わう。自家製豆腐の味噌汁、卵焼きや干物、季節の野菜をたっぷりといただいた後は菓子とお薄で締めくくる。茶房では朝茶のほか午後もお茶と菓子を愉しむひとときを堪能できる。

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GORA KADAN FUJI|静岡県・須走

山麓に泊まり、霊峰不二を巡る再生の巡礼

富士山頂から直線12kmに立つ、2025年7月開業の全42室オールスイートの宿。富士山信仰で「胎内めぐり」と呼ばれた船津胎内樹型をめぐる、富士山の奥まで潜る体験が新鮮だ。その洞窟の入り口は、神社のなかにある。約1000年前の噴火で流れた溶岩が大木を覆い、木が朽ちて残った総延長70mの空洞。内部は人の胎内を思わせる空間だ。国の天然記念物を地形学から読み解く巡礼を高級旅館のクオリティで、宿泊客に体験させる。

次ページ > 花火の町の工房で「和火」を学び、つくり、打ち上げる

文=青山 鼓 編集=鈴木奈央

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