経営・戦略

2026.09.08 11:04

ビジネスを成長させる上で最も難しいのは営業ではない。「手放す」ことだ

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ここ数年、私は自分の会社を経営するのとほぼ同じくらいの時間を、他人のビジネスを見ることに費やしていることに気づいた。

30年以上にわたり企業を築き、営業チームを率い、複数の分野でビジネスを成長させてきた結果、私は買収に深く関わるようになり、創業者が次の成長段階に進む手助けをするようになった。そこで発見したのは、多くの経営者が同じ課題に直面しているということだ。彼らは忠実な顧客、確固たる評判、そして収益性の高い事業を持つ成功した会社を築き上げている。しかし、いずれ成長が難しくなる。ビジネスが彼ら自身に大きく依存しているからだ。重要な意思決定を行い、重要な人間関係を管理し、責任の大部分を自ら背負っている。

多くの人は必ずしも会社を去りたいわけではない。彼らは、追加のリソース、インフラ、専門知識、投資があれば、ビジネスがもっと多くを達成できると認識しているに過ぎない。だからこそ私は、最良の買収は「エグジット」ではなく「成長のためのパートナーシップ」だと考えている。創業者は長年の努力の対価を得ながら、自分のビジネスが成長し続けるのを見届けることができ、買い手は堅固な基盤を手に入れて、その上に事業を築くことができる。

買収する側の視点でビジネスを見ることで、他の何よりも強く実感した教訓がひとつある。ビジネスを成長させる上で最も難しいのは営業ではない。「手放す」ことだ。

私のキャリアの大半において、自分ほどうまく売れる人間はいないと信じていた。傲慢に聞こえるかもしれないが、ゼロからビジネスを築き上げるのに数十年を費やすと、そう考えるのは自然なことだ。顧客、商品、反論、そして契約の締め方まで、すべてを知っているからだ。

これまでのキャリアで、私は自ら25万軒以上の家を訪問し、10万回を超える営業プレゼンテーションを行ってきた。これらの経験は、人間、忍耐力、そしてビジネスについて多くのことを教えてくれた。同時に、理解するのにずっと長い時間がかかった教訓も教えてくれた。それは、ビジネスを築くのに役立つスキルと、ビジネスを成長させるのに役立つスキルは、必ずしも同じではないということだ。

多くの起業家と同じく、私はすべてを自分でこなすことから始めた。営業をし、採用をし、顧客を管理し、問題を解決し、あらゆる重要な意思決定を下した。創業初期においては、そうするしかないことが多い。リソースが限られているとき、創業者は複数の役割を兼任する。問題は、初期段階で機能していたやり方が、その後の成長にとって最大の障壁になり得ることだ。

多くの起業家は、スケールする上で最も難しいのは顧客の獲得、キャッシュフローの管理、優秀な人材の採用だと考えている。これらの課題は確かに存在するが、私の経験では、最大の障害は「創業者への依存」である。

最初のステップは、自分がボトルネックになっていると気づくことだ。創業者は品質、顧客サービス、成果を深く重視する。それこそが、そもそも彼らが成功した理由だ。しかし、その同じ献身が、あらゆる意思決定、問題、機会が1人の人物を通らなければならないという不健全な依存を生み出す可能性がある。

私は経営者たちが誇らしげに「うちは私なしでは何も動かない」と言うのを聞いてきた。しかし現実には、それはほとんどの場合、称賛すべきことではない。

創業者なしでは機能しないビジネスは、規模を拡大することが非常に困難になる。創業者の時間が制限要因となり、成長が鈍化する。ビジネスは、1人の人間が考え、決定し、行動できるスピードでしか進まない。

委任することを学ぶのは、信頼が必要になるため居心地が悪い。多くの起業家がこれに苦しむ。私も確かにそうだった。基準が下がるのではないか、顧客が同じサービスを受けられなくなるのではないか、ミスが起きるのではないかという恐れがある。

実際、ミスはおそらく起きるだろう。しかし、ミスが成長にとって最大の脅威になることはめったにない。創業者への依存こそが最大の脅威なのだ。

私が学んだ最も価値ある教訓のひとつは、人は必ずしも自分と同じやり方で物事をこなす必要はないということだ。正しい結果を出せばそれでよい。

キャリアの初期、私は自分とまったく同じように働く人材を探していた。時が経つにつれ、そのアプローチが自らを制限していると気づいた。最良のリーダー、マネジャー、従業員は、それぞれ異なる強み、視点、アイデアを持ち込む。優秀な人材を採用しておきながら、自分とまったく同じように考えることを求めるなら、その人材を価値あるものにしている資質そのものを無駄にしていることになる。

リーダーシップは自分のクローンを作ることではない。優秀な人材が成功できる環境を作ることだ。

ビジネスが成長するにつれ、リーダーシップも変わっていく。初期の成功はしばしば努力と個人の頑張りから生まれる。その後、成功は仕組み、文化、責任体制を築くことから生まれる。「どうすれば自分にできるか」と問うのをやめ、「誰がこれを担うのに最適な人物か」を問うようになる。

このシフトこそが、小規模ビジネスとスケール可能なビジネスを分ける要因になることが多い。買収案件を見るときに私が最初に評価するのも、まさにこの点だ。私はシンプルな問いを投げかける。「創業者が3カ月間いなくなったらどうなるか」。売上が止まり、顧客が離れ、業務が崩壊するなら、そのビジネスには問題がある。チームがパフォーマンスを維持し、顧客がロイヤルティを保ち、ビジネスが成長を続けるなら、真の価値が創造されているといえる。

結局のところ、買い手は「仕事」を買収したいわけではない。「ビジネス」を買収したいのだ。この原則は、会社を売却しようとしていても、投資を呼び込もうとしていても、あるいは単に永続する何かを築こうとしていても、同じように当てはまる。ビジネスが創業者に依存すればするほど、スケールするのは難しくなり、多くの場合、その価値も下がる。

振り返ってみると、私が下した最善の決断のいくつかは、自分が成立させた取引や獲得した顧客ではなかった。他者が主導し、意思決定を行い、ビジネスの成長を支援することを信頼した瞬間だった。

手放すことは決して簡単ではない。起業家は自分が築いたすべてに感情的に投資している。しかし本気でビジネスを成長させたいなら、自分がすべてをこなす人物であることをやめ、他者が成功できるように支える人物になるべき時が来る。

私の経験上、これは起業家が経験する中で最も難しい移行のひとつだ。そして、最も重要な移行のひとつでもある。

forbes.com 原文

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