信頼できるAIエージェントのチームを編成・運用する方法を学ぶ者は、AIを1つずつのチャットボットとして使い続ける同等のライバルたちに差をつけていくだろう。
7カ月前なら、ここまで自信を持って言い切れたかはわからない。だが、何かが変わった。強力なAIモデルへのアクセスは広がりつつあり、優位性は、専門エージェントを組織し、同時に動かし、互いに検証させたうえで、人間の判断を要する意思決定を返させることができる人へと移っている。
その優位性は、最も多くのエージェントやサブスクリプションを持つ人に属するものではないと思う。そうした人は、単にノイズを増やすだけかもしれない。優位に立つのは、エージェントに方向性を与え、基準を設定し、有用な文脈を提供し、必要な境界線をつくれる人である。
これは単なるアクセスの問題ではなく、スキルの問題になりつつある。実際、今後数年のAI活用における決定的な分岐点の1つになると考えている。
私自身が体験してわかったこと
今年の初めから、私はエージェント型チームを構築し、繰り返し更新してきた。これはエージェント型ワークフォースと呼ばれることもある。
私は個々のAIアシスタントに名前をつける。職務記述書と専門的な責任範囲も与える。書類上は、まるで組織のように見える。だが、それが実際に組織らしく振る舞うまでには7カ月を要した。
長い間、大半のアクションは私を起点に始まっていた。チャットボットを開き、タスクを与え、回答を待ち、それから手作業で次の段階へ進む。私が作業を始めなければ、何も起こらなかった。
ここ数週間、試行錯誤と度重なる修正を経て、状況は変わった。エージェントたちは次に何をすべきかを見つけ始め、その一部を私の指示を待たずに完了するようになった。
その精度は恐ろしいほど向上している。私のエージェント型チームは、Google Driveやその他のアプリに保管している組織の知識にアクセスでき、詳細なルールのもとで動く。例えば、私たちは毎年、教育者向けのオンラインAIサミットを開催している。今年のサミットの数週間前、エージェントたちはタスクリスト、カンバンボード、ガントチャートの調整を始めた。
驚くべきことに、彼らはそれらを私のためにつくったのではない。自分たちのためにつくり、その後タスクを完了し始めたのである。
私は、AIチーフ・オブ・スタッフ(参謀役)からの日報でそれを知った。
彼の名はブレント。英国版ドラマ『The Office』のデヴィッド・ブレントにちなんで名付けた。エージェント全員に同作の登場人物の名前をつけている。設計上、エージェント型チームの中で私とコミュニケーションを取るのはブレントだけだ。彼はより広いチームと話し、戻ってきた情報を取捨選択し、私が下すべき意思決定を伝えてくる。
これによって、私はエージェントたちの調整や全員からのレポートを読んで一日を潰さずに済んでいる。そうなれば本末転倒だ。ブレントは、私が何を、いつ聞く必要があり、何を私に戻すべきかをわかっている。
重要な案件は今でも必ず戻ってくる。メールを送る必要がある場合、資金を使う場合、現実世界で何らかの契約を交わす場合は、私が決める。だが、その意思決定に至るまでの多くの作業は、私がそれをやる必要があると気づく前に、すでに進んでいることがある。
私にとっての大きな気づきは、いまや私がAIにプロンプトを入力することが極めて少なくなっているということだ。私は今、AIに指示を出すのではなく、AIを「率いる」方法を学んでいるのである。
「一問一答」のAI利用を超えて
私は2022年にChatGPTが登場する以前から生成AIを使ってきた。その利用段階が発展していく様子を見るのは実に興味深かった。
最初の大衆的な段階は、単純なリズムに従っていた。こちらが尋ね、モデルが答え、それを修正してまた尋ねる。多くの人にAIをどう使っているか尋ねれば、おそらくこの何らかの形を説明するだろう。それ自体が悪いわけではない。だが、それは反応的で逐次的である。
対照的に、エージェントは複数のステップにわたって目標を追求できる。与えられた境界線の中で、ツールを選び、起きたことを検証し、次に何をするかを決められる。私のチーフ・オブ・スタッフであるブレントのような調整役のエージェントは、専門家に作業を分配し、複数の流れを同時に進めさせ、戻ってきたものをまとめることができる。
簡単に言えば、アシスタントは依頼に応答する。エージェントは成果を追求する。エージェントチームは、その成果を軸に複数の能力を調整する。
強力なモデルが広く利用可能になるにつれ、単に1つのモデルにアクセスできること自体は優位性ではなくなっていく。アドバンテージは、モデルそのものから、その周囲に人が構築するオペレーティングシステムへと移る。
ブレントは通常、強力なモデルにアクセスできる。そのうえで、作業内容と必要な能力に応じて、他のエージェントがどのモデルを使うべきかを判断する。高価な推論モデルを必要とする仕事もあれば、そうでない仕事もある。モデルが労働力を規定するのではない。労働力がモデルを規定するのだ。
Microsoftの2025年版Work Trend Indexは、31カ国の労働者3万1000人からの回答に加え、Microsoft 365とLinkedInのデータをもとにしている。同調査は、3つの段階を示している。個人のAIアシスタント、人間とエージェントがチームとして働く段階、そして人間が指揮し、エージェントが実行する業務運営である。世界全体では、リーダーの82%が12〜18カ月以内にデジタル労働力を活用して労働力の能力を拡大すると見込んでいた。
私のチームは、そうしたより大きな変化の小さく、やや風変わりな一例である。
1人の人間に何が変わるのか
同じAIモデルを使う、同じくらい有能な2人を考えてみよう。
1人目は、AIに調査を依頼して待つ。回答を読み、分析を依頼し、また待ち、それから草稿やメモの作成を依頼する。私の経験では、これは今なお多くの人がAIを使う方法である。急いでいるときには、私自身もそう使っていることに気づく。
2人目は、明確な成果目標を調整役のエージェントに提示する。そのエージェントは、専門家たちに異なる部分の調査を任せ、別のエージェントを招いて調査結果に異議を唱えさせ、ファクトチェッカーに主張の検証を求める。その作業の一部は同時に進む。
2人目は、統合された結果と、人間の判断を必要とする意思決定を受け取る。必ずしもより懸命に働いているわけではない。仕事の中に、より大きなレバレッジを設計しているのである。
3人目もいる。正確には、2人目が自分のAIチームを発展させた後の姿だ。この人は、エージェントチームからのブリーフを確認するところから始め、その後、意思決定を通じてエージェントチームの働きを前に進める。
Anthropicは、社内の研究評価において、リードエージェントとリサーチエージェントを組み合わせたマルチエージェントシステムが単一エージェントを90.2%上回ったと報告している。この優位性は、問いを独立した複数の探究ラインに分割できる場合に現れた。
ただし、コストも発生する。Anthropicはまた、同社のマルチエージェントシステムが通常のチャットでのやり取りの約15倍のトークンを使用したとも報告している。言い換えれば、適切で価値のある仕事では大きな改善をもたらし得るが、無料ではなく、あらゆるタスクに適しているわけでもない。
経験上、エージェントが多ければ常に仕事の質が上がるわけではない点は重要である。エージェント同士が同じことを繰り返し、トークンを消費し、混乱を生むこともある。どのエージェントが必要か、何を知っているべきか、いつ互いに異議を唱えるべきか、そして同じくらい重要なこととして、いつ邪魔をしないべきかを見極めるまでには、何カ月もの反復が必要だった。
AIの取り巻き(アントラージュ)
今回のエージェント能力の波が来る以前から、私が学生向けに行っている授業の1つに、自分だけのAIアントラージュ(取り巻き・専門家集団)をつくらせるものがある。
私が使う例えはテイラー・スウィフトだ。彼女の周囲には、マーケティング、ソーシャルメディア、スタイリング、振付、ビジネスマネジメントといった専門能力を持つ人々がいる。そうした人々は彼女が達成できることを広げるが、彼女は創造面の責任者であり、最終的な意思決定者であり続ける。アントラージュがビジョンを所有するわけではない。それを実現する手助けをするのである。
AIアントラージュも同じように機能し得る。リサーチャーが有用な資料を見つける。アナリストがパターンを特定する。批評家が前提に異議を唱える。ファクトチェッカーが主張を検証する。ビルダーが意思決定を、実際に機能するものへと変える。
目標を選ぶのは、依然として人間である。自分の審美眼を適用する。結果を考慮し、成果に責任を持つ。目的は、人間をループから外すことではない。人間の判断が最も価値を生むループの部分へと移すことだ。
だからこそ、優位性はエージェントプラットフォームに料金を支払うことや、見栄えのする組織図をつくることからは生まれない。システムを指揮する方法を学ぶことから生まれる。
ミッションは何か。各専門家はなぜ存在するのか。それぞれに必要な情報は何で、何が単なる雑音になるのか。エージェントは何を読み、作成し、変更し、送信し、支出できるのか。良い仕事とはどのようなものか。それはどのように確認されるのか。不確実性、リスク、結果は、いつ人間に戻されるべきなのか。
これらはリーダーシップとマネジメントの問いである。
2026年の半ばにいるいま、基本的なAIユーザーは各作業を手作業で始める一方、エージェントリーダーは再利用可能なルール、文脈、ルーティン、品質基準、フィードバックループを構築するのだということは明らかに思える。
前者は、個々のタスクをより速く完了する方法を得る。後者は、仕事を特定し、分配し、完了し、レビューできるシステムを徐々に構築する。成功したワークフローはそれぞれ、次のワークフローの一部になる。正しく行えば、その優位性は複利的に積み上がる。
教育はいまだ入門スキルを教えている
Deloitteは24カ国のビジネスおよびテクノロジー部門の上級リーダー3235人を調査した。その後の指針では、企業の74%がエージェント型AIの導入を計画している一方、成熟したガバナンスモデルを備えている企業は21%にとどまると報告している。
このギャップは重要である。多くの人がエージェントにアクセスできるようになるだろう。だが、それを信頼でき、焦点が定まり、安全なものにする方法を知る人は、はるかに少ない。
AI教育の大半は、今なお1つのチャットボットに対してより良いプロンプトを書くことに焦点を当てている。2023年に取り残されているのだ。誤解しないでほしい。プロンプト作成は今も有用であり、多くの意味で不可欠である。だが、それは到達点ではなく、入門スキルになりつつある。
学生を際立たせたい学校、カレッジ、大学は、複雑な目標を部分に分解し、何をデリゲート(委譲)できるかを判断する力を身につけさせる必要がある。学習者は、すべてをモデルに放り込むのではなく、文脈を取捨選択する必要がある。基準を設定し、証拠を精査し、戻ってきたものを検証する必要がある。権限、プライバシー、リスク、説明責任を理解する必要がある。
さらに言えば、人間を監督した経験を持つ前に、デジタルな協働者を監督する方法を学ぶべきだと私は考えている。知能を統率・調整することは、リサーチ、協働、プロジェクト管理と並ぶリテラシーの一形態になりつつある。
アントラージュの比喩が強力なのは、その中心にいる人物があなた自身だからである。あなたのビジョン、あなたの基準、そしてあなたの決断力がある。そうしたものがなければ、専門家を増やしても、おそらく方向性ではなくノイズを生むだけだ。
専門AIチームを7カ月かけて構築してきて、最も重要な発見は特定のアプリではなかった。実際、私のエージェント型チームは自分たちのアプリをつくった。特定のプロンプトでも、特定のAIエージェントの役割でもなかった。発見とは、AIは人々が単に尋ねるものではなく、組織するものになりつつあるということだ。
AI時代を形づくるのは、最も多くを生成できる人々ではない。知能を正しい目標へと導ける人々である。



