今年5月、8+8 Concept Studioを創業したポーランドの建築家KrystztofKotalaは、アラブ首長国連邦ペルシャ湾沖のブルジュ・アル・アラブと人工島パーム・ジュメイラの間に海底テニスコートを建設する案を明らかにした。それによると、テニスコートは全部で7面。コートの上はいずれもガラス張りの天井で、テニスの観戦をしながら壮大な海中の景色を眺めることができる。
しかし、このアイデアは実現可能なのだろうか? ロンドンの構造技術者協会(the Institution of Structural Engineers)のSara Frayは、これらのコートと観客を収容するためのガラス張りの天井には、幅約33メートル、重さ100トンにもなるガラスが必要になると指摘した。地震や津波に耐えうる実現可能な建築構造にすること、緊急時に効率よく水上へ脱出できるルートを確保することなど、対処すべきことがいくつかあるとFrayは言う。
また、建設には莫大な費用がかかる。KotalaはCNNのインタビューで、推定建設費用は17億ドル~25億ドル(約2000億円~3,000億円)だと述べた。Kotalaは米国の投資家との協議を重ねてきたが、現時点でそれ以上の詳細は明らかにされていない。
技術的な点に関して、Kotalaは天井に用いるガラスの湾曲は問題にならないとし、「密閉のガラスケースを作るのに重要なのは、ガラスを支える縦枠が適したものかどうかということだ。プロジェクトを妨げる可能性がある問題の95%は解消されている」と彼は述べた。
Kotalaはこの海底テニスコートの建設を2020年にドバイで開催される万国博覧会に間に合わせたいと考えている。
海底テニスコートというアイデアは素晴らしい。世界最高度のテニスコートのように、この海底テニスコートも気軽なエキシビジョンマッチにはもってこいの施設かもしれない。しかし、真のテニスファンがグランドスラムを観戦する際は、ガラスの天井ごしに見え隠れする本物のサメを見るより、ラファエル・ナダルのサメのような獰猛なプレーに注目したいところだ。