5. VanEck Semiconductor ETF(SMH)
SMHはデータセンター運営会社へ直接投資するETFではない。AIデータセンターに必要な半導体と半導体製造装置の供給網へまとめて投資するETFである。
SMHの主要指標
・価格(2026年9月2日):549.58ドル
・運用資産残高(2026年9月2日):676.4億ドル(約10.55兆円)
・価格騰落率(2025年9月2日~2026年9月2日):90.9%上昇
・PER:42.4倍
SMHが有力な選択肢である理由
SMHの主要組み入れ銘柄には、生成AIを支える半導体・製造装置業界の主要企業が並ぶ。具体的には、エヌビディア、TSMC、ブロードコム、マイクロン・テクノロジー、AMD、ASMLなどだ。
AIデータセンターを建設するには、GPUをはじめとする半導体と、半導体を生産する設備が欠かせない。SMHを保有すれば、AI向け設備投資によって需要が生まれる半導体の供給網へまとめて投資できる。
SMHは、半導体供給網へ投資する方法として直接性が高く、流動性も高いうえ、運用コストも低い。同種の投資対象と比べて直近のリターンも最も高く、経費率はカテゴリー平均を35%下回る。
最大のリスクは、エヌビディアとエヌビディアに製品やサービスを供給する企業への集中度が高いことだ。エヌビディアの業績や株価が大きく悪化すれば、SMHの投資家も損失を被る可能性がある。
6. グローバルX データセンターリート&デジタルインフラ ETF(DTCR)
DTCRは、6候補の中でもデータセンターや通信塔などのデジタルインフラへの投資比率が高いETFだ。
DTCRの主要指標
・価格(2026年9月2日):27.44ドル
・運用資産残高(2026年9月2日):21億ドル(約3276億円)
・価格騰落率(2025年9月2日~2026年9月2日):46.74%上昇
・PER:16.15倍
・経費率:0.50%
DTCRが有力な選択肢である理由
DTCRは、ポートフォリオの約60%をデータセンター関連が占める。残りには情報技術が37.8%を占めるほか、通信サービス関連の企業も含まれる。
DTCRを選んだ理由は、AI関連投資の中でもデータセンターそのものを支えるインフラへ重点的に投資できるためだ。
投資先には、通信塔を運営する企業、コロケーション事業者、海外のデータセンター運営会社が含まれる。コロケーションとは、企業が自社のサーバーや通信機器を専門事業者のデータセンターに設置し、電力、空調、通信回線などを共同で利用するサービスである。
通信塔運営会社やデータセンター事業者にとって重要な資産の1つが、大量の電力を引き込める用地だ。企業、クラウド事業者、通信事業者などを直接つなぐ相互接続設備も重要な資産となる。電力を確保した用地と相互接続設備は供給が限られているため、データセンター需要が急増すれば希少性が高まり、資産価値が上がる可能性がある。
DTCRには、個人投資家が直接保有しにくい海外企業も含まれる。具体例として、オーストラリアのNextDC、シンガポールのKeppel DC REIT、中国のGDSが挙げられる。
DTCRの主なリスクは、0.50%の経費率と、運用資産残高が比較的小さいことだ。
個別株・REIT・ETFでは、企業固有リスクと分散効果が異なる
個別株を保有すると、投資先企業に問題が起きた場合、その影響を直接受ける。ただ、ETFのような運用経費を支払わずに企業の株価上昇による利益を得られる。売却時期を自分で決められるため、課税のタイミングも調整しやすい。
米国のREITは、税制上の要件として課税所得の少なくとも90%を株主へ分配する必要がある。米国税制では、REITから受け取る配当の多くが通常所得として扱われるため、一般的な株式配当より税負担が重くなる場合がある。
データセンターREITでは、少数の大口テナントが売上高の大きな割合を占めることもある。大口顧客が契約を縮小した場合、REITの業績に与える影響が大きくなりやすい。
ETFは複数企業へ投資するため、1社だけに問題が起きるリスクを分散できる。ただし、データセンターや半導体といった業界全体が下落すれば、ETFでも業界全体の値下がりによる影響を避けることはできない。
AI向け設備投資が市場予想を上回るペースで増えれば、今回取り上げた6つの投資対象には上昇余地が生まれる。AI向け設備投資が減速すれば、6つの投資対象は反対に値下がりする可能性がある。
AI向け設備投資の増減によって価格が大きく動く可能性があるため、データセンター関連ETFへポートフォリオを集中させすぎるべきではない。


