6つの投資先、それぞれの成長力とリスクを個別に確認
6つの投資先は、AI向けデータセンター需要から利益を得る仕組みがそれぞれ異なる。アルファベットとマイクロソフトはクラウド事業、エクイニクスとデジタル・リアルティはデータセンター運営、SMHは半導体供給網、DTCRはデータセンターを中心とするデジタルインフラへの投資が軸となる。以下では、各投資先の主要指標を示した上で、成長を支える要因と主なリスクを個別に見ていく。
1. アルファベット(GOOGL)
アルファベットは、選定基準である成長率、キャッシュフロー、株価上昇という3つの条件を同時に高い水準で満たしている。
アルファベットの主要指標
・株価(2026年9月2日):337.33ドル
・時価総額(2026年9月2日):4.13兆ドル(約644.28兆円)
・株価騰落率(2025年9月2日~2026年9月2日):約60%上昇
・予想株価収益率(PER):25.13倍
・FCF(2026年9月2日時点の過去12カ月):532.7億ドル(約8.31兆円)
GOOGLが有力な選択肢である理由
成長面では、Google Cloudの売上高が前年同期比82%増となり、受注残は5140億ドル(約80.18兆円)に達した。主要ハイパースケーラーのクラウド事業で最も高い成長率だと評価している。
キャッシュフローも強い。アルファベットは過去12カ月で532.7億ドル(約8.31兆円)のFCFを生み出した。記録的な設備投資を行いながら高水準のFCFを維持し、6候補の中で最大となる2426億ドル(約37.85兆円)のネットキャッシュ余力も持つ。
アルファベット株も2025年9月2日から2026年9月2日までに大幅に上昇した。高い成長力を持ちながら、過去の利益を基準にした株価評価が比較的低い点も魅力となる。
アルファベットには、自社設計のAI向け半導体という強みもある。グーグルが開発するTensor Processing Unit(TPU)は、AIの学習や推論処理に使う専用半導体だ。2026年のTPU生産能力は430万個規模に達するとの外部推計がある。
グーグルは、外部顧客向けTPUハードウェアの販売による売上高も初めて計上した。自社設計の半導体を外部へ販売できれば、AI設備投資でエヌビディアなど外部ベンダーへ支払う資金の一部を、自社の利益として取り込める。
最大のリスクは、巨額の設備投資でFCFが急速に悪化していることだ。グーグルは2026年4~6月期、会社史上初めて四半期ベースでFCFがマイナスとなり、マイナス58億5500万ドル(約9134億円)を記録した。アルファベット経営陣は2027年の設備投資についても「大幅に増加する」としている。
2. マイクロソフト(MSFT)
マイクロソフトは、6候補の中で唯一、過去1年間の株価上昇という条件を満たしていない。ただ、成長率とキャッシュフローでは強さを保っている。
マイクロソフトの主要指標
・株価(2026年9月2日):495.18ドル
・時価総額(2026年9月2日):3.68兆ドル(約574.08兆円)
・株価騰落率(2025年9月2日~2026年9月2日):2.3%下落
・予想PER:25.36倍
・FCF(2026年9月2日時点の過去12カ月):669.9億ドル(約10.45兆円)
MSFTが有力な選択肢である理由
マイクロソフト株は2025年9月2日から2026年9月2日までに約2%下落しており、選定基準である株価上昇という条件を満たさない。
ただ、市場の反応は行き過ぎだったとみる。直前の3回の決算発表では、マイクロソフトの業績が市場予想を上回っても、設備投資が大きすぎるとの懸念から株価が売られる場面があった。
Azureの成長が加速した決算発表では市場の評価が変わり、マイクロソフト株は1日で17%上昇した。
成長とキャッシュフローという残る2つの条件では強い。RPOは6780億ドル(約105.77兆円)に達し、6候補の中でFCFの絶対額も最大だ。マイクロソフト経営陣は2027年度までFCFをプラスに保つ方針を示している。
最大のリスクは、マイクロソフトのRPOでOpenAI関連契約が大きな割合を占めていることだ。OpenAIは多額の現金を使い続けている。OpenAIを含めるとマイクロソフトのRPOは84%増えたが、OpenAIを除けば伸び率は25%にとどまる。


