優れたリーダーは、従業員自身よりも先にその素質を見抜く
従業員に適した役割を見つけるには、そもそも適切な人材を採用することから出発する必要がある。最高の組織は、単に採用がうまいだけではない。人々の強みを継続的に見極め、その強みが花開く役割へと移れるよう支援する。個人の人柄や姿勢(マインドセット)を見て採用すること以上に、自社の企業文化にフィットしているかを見極めて採用することが重要だ。クリステンセンは、上司が彼女自身も気づいていなかった才能を見いだし、指導してくれたことを語った。「サービスとサーバントリーダーシップに関する彼の哲学は、今日の私という人間を形づくるうえで本当に大きな影響を与えました」とクリステンセンは述べた。やがて彼女の才能は認められ、人に奉仕するという情熱に最も合った役割へと昇進していった。
フィードバックを集めるだけで終わらせず、それに応える
ゲスト・サティスファクション・チームの一員として、クリステンセンはゲストから直接フィードバックを聞いていた。筆者は、フィードバックに対して「対話を完了させる」ためにゲストへ連絡を返したことがあるかと尋ねた。その答えは、すべての企業が学ぶべきものだ。クリステンセンは、「100%返していました。通常は1〜2日以内に、ほとんどの場合は電話をかけ、フィードバックを寄せるために時間を割いてくれたことへの感謝を伝えました」と答えた。
残念ながら、多くの企業はフィードバックを集めたところで止まってしまう。ディズニーはフィードバックを、調査の終わりではなく、対話の始まりとして扱っていた。多くの企業に欠けているのは、まさにそこだ。
筆者の「2026 Customer Service & CX Research(2026年CX調査)」の結果もこの考え方と一致しており、消費者の65%が、アンケートでフィードバックを送った後に企業から一度も連絡を受け取っていないことが分かっている。その結果、顧客の40%が、自分のコメントに対して何の反応もなかったことを理由に「その企業との取引をやめた」と回答した。ここから得られる教訓は、少なくともフィードバックを受け取ったことを認め、顧客に感謝を伝えることだ。さらに良いのは、そのフィードバックがどのように活用されているかを共有することである。
最後に
クリステンセンのキャリアは、優れた顧客体験が方針や研修マニュアルから始まるものではないことを示している。それは、人材に投資し、顧客に耳を傾け、改善の方法を探し続けるリーダーから始まる。テーブルの片付けからスタートした人物が、世界で最も称賛されるブランドの1つの文化形成に関わるようになるのは、そうした積み重ねによるものだ。
37年間にわたるディズニーでのキャリアを終えた後、クリステンセンは生まれ故郷のタルサに戻り、現在は26.7ヘクタール(東京ドーム約5.7個分)の広さを誇る大規模公園「The Gathering Place(ザ・ギャザリング・プレイス)」でオペレーションおよびプログラミング担当の上級副社長を務めている。同施設は「人々を引きつけ、教育し、刺激する、活気ある包摂的なコミュニティ空間」である。ディズニーで得た教訓は、現在の彼女にも大いに役立っている。


