発足から1年3カ月ほど過ぎた韓国の李在明政権が大幅な人事を断行した。韓国政府は8月30日、副首相兼財政経済相や国防相ら6閣僚の交代を発表。さらに李大統領は9月1日、大統領府の金容範政策室長の辞表を受理した。今回の人事を総括すると、経済政策の不評に苦しむ李政権の姿が浮かび上がる。日本が大きな影響を受ける外交・安保政策の基本ラインは維持されたが、今後は予断を許さない展開が続きそうだ。
今回の改造の背景には下がり続ける李氏の支持率がある。韓国世論調査会社リアルメーターによれば、李氏の支持率は7月第4週に再び、不支持率が支持率を上回る「デッドクロス」となり、その後はずっと不支持が支持を上回っている。8月第4週では支持率が38.9%と初めて40%を割った。不支持率は58.7%まで増えた。
不人気の背景は経済の不調にある。李在明政権は2025年6月の政権発足後、株式市場の急騰に支えられてきた。KOSPI(韓国総合株価指数)は2026年6月、初めて9000ポイント台に乗せ、過去最高圏に達した。全世界のデータセンター設立の流れから、半導体輸出で好況が続いたためだ。ただ、「年内には1万超え」の声も上がったKOSPIは、7月以降は調整色を強め、9月初め時点では6500台で推移している。
李政権は高騰する不動産を購入できない青年層の支持をつなぎとめるため、「株で資金を稼いで不動産購入」という絵図面をつくろうとした。しかし、韓国個人投資家の国内投資増を狙って導入を主導した単一銘柄レバレッジETFが、「政府が青年層をギャンブル性の強い株を勧めている」という批判を呼んだ。KOSPIの足踏みや、止まらない不動産価格の高騰から、李政権は経済政策で厳しい批判にさらされている。
韓国与党関係者は「政策室長と副首相兼財政経済相の辞任は、金融政策の責任を取ったもの。国土交通相の辞任は、不動産政策の不振によるものだ」と解説する。「本当は不動産も金融も、大統領が最終責任を負うべき重要課題。しかし、支持率の急落を食い止めるためには、犠牲羊(ヒセンヤン=スケープゴート)が必要だった」(同)。



