サイエンス

2026.09.09 18:00

サメのDNAが明かす「老化の真実」、ヒトと共通する意外なメカニズム

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この研究からは、もう一つ、興味深い意外な発見が得られた。メチル化は、サメの生涯を通じて、単純に一定の方向へ進むわけではないのだ。多くのサイトでは、若い個体から中年期の個体になるまでのあいだに顕著な変化を見せ、その後、変化の向きが逆転していた。最も多く見られたパターンは、若年期に一度メチル化が減少し、成長してから再び増加へと転じるというものだった。一方で、一貫してメチル化が減少を続けるサイトも存在した。全体として、エピジェネティックな変化は、成体になってからの時期よりも、生涯の早い段階(若年期)においてより顕著だった。

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ここから、「老化」は本当のところいつ始まるのかという、興味深い疑問が浮かぶ。急速な成長と発達のさなかに起こるエピジェネティックな変化は、本当に老化の一部なのか? あるいは、異なる生物学的現象だが、のちの老化プロセスに影響を与えるのか? 

研究者たちは、さまざまな対象種に注目しつつ、いまもこの問いに取り組んでいる。このような逆転現象は、エピジェネティック・クロック自体の扱いを難しくするものでもある。単純なエピジェネティック・クロックは、メチル化のパターンが年齢とともに予測可能な変化を示す場合に、もっともうまく機能する。非線形的変化がある場合、高齢個体の年齢を正確に推定するのは難しくなるおそれがある。

実際、この研究の対象種であるトラフザメでも、まさにこのような結果になった。エピジェネティック・クロックは全体として、トラフザメの年齢を極めて正確に予測できたものの、20歳を超える個体の場合は精度が落ちたのだ。

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とはいえ、おそらく何よりエキサイティングな知見は、この手法を種の保全に応用できる可能性があることだ。

トラフザメは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧種(EN)」と評価されており、他にも多くの軟骨魚類が深刻な個体数減少に直面している。個体群を構成する個体の年齢がわかれば、個体数が増加しているのか、安定しているのか、それとも更新が進まず高齢個体中心になっているのかなど、研究者は多くの洞察を得られる。しかし、特に従来の年齢推定手法が致死的サンプリングを必要とするような絶滅危惧種の場合、こうしたデータを得るのは難しい。

そうしたなかで、血液を利用したエピジェネティック・クロックは、状況を一変させる可能性がある。研究者たちはいまや、サメを殺すことなく、捕獲された個体の年齢を推定できる可能性がある(こうした捕獲は、定期的なモニタリング、標識タグ装着、獣医学的検査のために行われる)。捕獲個体の数が十分であれば、そこから野生個体群の年齢構造を推定し、そのデータを、個体群動態モデルの改良や、保全上の意思決定に利用することができるかもしれない。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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