「この問題に答えを出すのに、ローマン宇宙望遠鏡の(3億画素の検出器を持つ)広視野観測装置(WFI)と重力マイクロレンズ法を用いた観測計画『天の川銀河バルジ時間変動サーベイ』が大きな役割を果たすに違いない」と話すベイリーは、NASAのジェット推進研究所(JPL)の科学者として、ローマン望遠鏡を完成に導くのに極めて重要な役割を果たしてきた。
JPLは、全米および世界で最高峰の理学系大学であるカリフォルニア工科大学(Caltech)が運営している。
ホットジュピターが相次いで発見された背景には、過去30年における研究で主に2種類の系外惑星検出法が用いられてきたことが挙げられると、ベイリーは指摘している。
トランジット法は、主星と地球の観測者との間を惑星が横切る際に、主星の光が部分的に遮られることによる減光を測定して惑星を検出する。視線速度法は、惑星が主星におよぼす重力の影響を調べる。これらの方法はどちらも、主星のすぐ近くを公転する巨大惑星ほど検出されやすい傾向があると、ベイリーは分析する。
重力マイクロレンズ法に切り替えることで、ローマンの科学者チームは、主星からより遠く離れた軌道を公転する、より小型の地球型惑星を検出できるようになるという。
重力レンズ効果は、巨大な質量を持つ天体が時空の構造を歪めると仮定するアインシュタインの一般相対性理論から導かれる応用例の1つだ。
ほんの100年前、アインシュタインは銀河や恒星のような巨大な天体がレンズとして機能しうるとの仮説を立てた。このレンズは、地球から見て同一視線上にある背後の恒星系を拡大したり、背後にある単一の銀河を複数の像に分裂させて見せたりもする。
このような宇宙のレンズは、宇宙の物理現象に組み込まれて宇宙全体に散りばめられており、地球との間に位置する星団によって拡大される遠方の恒星系を観測するうえで、天文学者の助けになる可能性がある。
重力マイクロレンズ効果は、偶然にも適切な位置に配置されたレンズで増幅される恒星、惑星やその衛星などの検出を後押しする可能性がある。
天文学者はローマン宇宙望遠鏡を用いて、銀河系中心領域のサーベイ観測に役立つ、重力レンズ現象の地図データベース化から着手するかもしれない。
重力マイクロレンズ法などを用いて、ローマン宇宙望遠鏡の天文学者チームは系外惑星を新たに数万個発見する可能性があると、ベイリーは予測する。この中には、銀河系全体に点在する地球類似惑星も含まれているかもしれないという。


