経営統合とM&Aで描く次の成長
──2024年にタスキと新日本建物が経営統合し、共同持株会社のタスキホールディングスを設立しました。統合の理由と、会社として一番大きく変わった点を教えてください。
柏村:タスキは東証マザーズ(現グロース市場)に上場した当初からプライム市場への変更を目指してきました。事業をスケールする手段のひとつとしてM&Aを検討するなかで、もともとのDNAが同じ新日本建物との経営統合の話が持ちあがりました。
タスキは比較的コンパクトな物件を個人に、新日本建物は大きな物件を法人に販売してきたので、統合しても競合することなく、顧客の共有化によってむしろシナジーが生まれると考えたのです。
上場会社2社が経営統合したことで、まず財務基盤が大きくなり、安定しました。タスキは設立から20〜30%の成長率を維持してきましたが、新日本建物には波がありました。PMIの一環として一定の成長率を維持する施策を進め、統合後は安定的に毎期増収増益を確保することを目標に、今期は20%成長の計画を引いています。
業績は好調に推移していますが、経営統合によって得られた成果として大きかったのはM&Aです。24年4月に、資産コンサルティング事業を手がけるオーラ(2022年設立)を約20億円で買収しました。タスキ単体だった頃はここまでの資金調達は難しかったと思いますが、経営統合で財務が大きくなり、与信枠も調達額も大きくできました。
オーラは、小さく区切られた戸建て用地や空き家などを周辺の土地オーナーと調整し、まとまった事業用地として開発することを提案する会社です。まとめて売却すればマンション用地になり、戸建て用地より価値が高まるので、オーナーにとってもチャンスですし、社会問題である空き家対策の解決策にもなり得ると思っています。26年9月期第3四半期単体では、売上高169億円のうち、資産コンサルティングだけで71億円を計上しました。
──今年6月、東証プライム市場への市場変更を果たしました。初の売上高1000億円の達成が視野に入ってきたなかで、その先の「2033年9月期に売上高2000億円」という目標に向けては、どんな挑戦を考えていますか。
柏村:富裕層に向けた商品を提供していることもあり、プライム市場に変更することで信用力を高めたいという思いがありました。まずは目標とするステージに立てたと思っています。
7月31日から現行のTOPIXに組み入れられましたが、10月から始まる新TOPIXについても、当社の試算では組み入れられる可能性が高いと考えています。
当期の売上高計画は1004億円で、こちらは順調に進んでいます。2000億円に向けては、既存事業をそれぞれ伸ばすことに加え、今後は、事業のフィールドを広げていきたいと考えています。
これまで不動産の提案しかできていなかったところを、投資信託や保険商品といった金融領域や、資産にまつわる税金対策のアドバイスなど、富裕層に向けた総合的な「コンシェルジュプラットフォーム」を目指していきます。
今は物件を売却したところで顧客との接点が終わってしまうので、長い期間寄り添えるよう商品をそろえていく構想です。資産1億円以上の富裕層、5億円以上の超富裕層の純金融資産保有額の合計は469兆円ともいわれ、当期の売上高計画と比べればまだ大きな成長余力があります。
目標設定の難しさはありますが、長期的にはグループ全体で「売上高1兆円」という規模を目指したいと思っています。


