食&酒

2026.09.13 12:00

1杯9000円のコーヒーをめぐる旅 コーヒー通は今、どこを旅しているのか

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「10年前はこの地域はもっと涼しかった。今は猛暑の中で作業するのが厳しくなっています……湿度によるオホ・デ・ガヨ(炭疽病の一種)も問題です」とゲレーロはスペイン語で語る。「これはコーヒーの葉を枯らしてしまう菌類です」と、隣接するマリオット系列のリゾート「Santa Lucia Jungle Hacienda(サンタ・ルシア・ジャングル・アシエンダ)」の新人ツアーガイドであるトニー(29歳)が説明してくれた。収穫期(12月〜1月)には、周辺地域にある8つの先住民族コミュニティの手を借りて、1日に約240キログラムを手摘みする必要がある。その多くはベネズエラからの労働者だとゲレーロは言う。「彼らにとってここでの収入はより大きな意味を持つため、やって来るのです」。次に乾燥プロセスが控えている。アプロセトゥの農家は、日中の毎時間、ロット全体に天日を浴びせるために鍬(レーキ)でかき混ぜる。理想的な条件下では36時間かかる。

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私はレーキを手に取り、35℃の暑さの中で作業に取りかかったが、汗だくになり、わずか10分でギブアップした。「風味は太陽次第だ!」と、へばる私を見てゲレーロは笑う。品質管理に不可欠な乾燥と手選別を実際に担当しているのはわずか5人で、焙煎も敷地内で行っている。こうして出来上がるのが、「San Isidro(サンイシドロ)」と呼ばれる明るくシトラスのような味わいのアラビカコーヒーで、そのほとんどが米国で販売されている。彼のコーヒー1袋は、スターバックスなどの小売業者に約800ドル(約12万3000円)で販売され、最終的には7ドル(約1100円)のラテへと姿を変える。

コスタリカのおもてなし

ゲレーロは、徒歩で行くか、スリップの危険を冒してバイクで行くしかない未舗装路の先にある、質素な1ベッドルームの家に暮らしている。霧の中で豚が鳴き、鶏が騒ぎ、洗濯物が干され、エアコンなどは存在しない。隣に住む息子の家のトタン屋根には、熱帯の雨が激しく打ち付ける。彼の妻は、私をオープンエアのキッチンへと温かく迎え入れ、コーヒーとタマル・デ・マイセナ(コーンスターチで作られた自家製のミルクタルト)を振る舞ってくれた。これらは信じられないほど新鮮で美味しい。コンクリート打ち放しの壁には、色あせた父母や子どもたちの写真が飾られ、木製のカトリックの聖遺物がそれを引き締めている。半径15マイル(約24.1キロメートル)以内に住む全員がアプロセトゥで働いており、家族の絆がこの地をひとつに結びつけている。

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