非常に親切で知識豊富なガイドであるバリスタのロレンツォ・メッツァテスタが、同店の高級メニューを案内してくれた。1杯60ドルのコーヒーはパナマ産で、通常は「パナマ・ゲイシャ」や「フィンカ・ソフィア」だ。年や収穫状況によって異なるが、これらは1杯40ドル(約6263円)から100ドル(約1万5700円)で小売され、希少な限定生産品として届く。「これらは3〜4カ月前に収穫されたもので、焙煎プロセスを経る必要があります。今年の秋から冬にかけて入荷する予定です」とメッツァテスタは、まるで高級寿司店の職人のように、慣れた手つきで正確にカウンターを仕切りながら語る。
この価格帯はニッチだが、急成長している市場だ。Partners Coffee(パートナーズ・コーヒー)ニューヨークに4つの実店舗を持ち、カリフォルニアにはHydrangea(ハイドレンジア)、クリーブランドにはAviary Coffee(エイヴィアリィ・コーヒー)、ベルギーにはThe Picky Chemist(ザ・ピッキー・ケミスト)が登場し、さらには英国発のWatchhouse(ウォッチハウス)が2026年、ニューヨーク市内に5店舗をオープンする。これらはすべて、旅を続ける「グリーンバイヤー」に依存している。グリーンバイヤーとは、生豆(焙煎前のコーヒー豆)を調達、サンプリング、購入し、農家と小売業者の架け橋となる存在だ。伝統的なコモディティ(商品)市場の一部でありながら、プレミアムなスペシャリティコーヒーの市場価格を設定するブローカーのようなものと考えればよい。彼らはただ、自分たちのコーヒーの方が美味しいと信じているのだ。
1杯が9000円を超える理由
最高峰の価格帯は、ロースター(焙煎業者)たちが希少なマイクロロットのコーヒーを競り合うオンラインオークションの影響を受けている。これらは、コーヒー品評会「Cup of Excellence(カップ・オブ・エクセレンス)」を運営するAlliance for Coffee Excellence(ACE)や、「Best of Panama(ベスト・オブ・パナマ)」オークションを通じて行われる。また、いわゆる「コモディティ」コーヒー(原材料)自体も、かつてより高価になっている。それ以外はすべて、主観的な価値(知覚価値)によるものだ。


