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AI

2026.09.05 22:52

AIは「稼働を想定していない店舗」を救えない

Adobe Stock

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小売業者はどこも同じ議論を交わしている。彼らが知りたいのは、AIによっていかにコストを削減し、新たな収益を創出できるかということだ。だが、見過ごせない問題がある。私がこれまでに目にしてきたAIロードマップの大半は、計画されている内容を支えきれないネットワークの上に構築されているのだ。

問題はテクノロジーにあるのではない。キャパシティ(容量)の問題だ。電子棚札やセンサーから、デジタルディスプレイや在庫モニターに至るまで、現代の店舗では、既存のワイヤレスインフラが想定していなかったほどのペースで接続デバイスが増加している。ABIリサーチによると、「小売セクターにおける世界のモノのインターネット(IoT)接続数は、2025年の4億1900万から2030年には5億8300万に増加する」という。これは5年間で39%の増加である。その1つひとつに、信頼性の高いリアルタイムの接続性が必要とされる。

ほとんどの店舗は、これらのデバイスを複数のプロトコルとゲートウェイで管理しており、デバイスが追加されるたびに障害の発生源が増える。帯域幅が逼迫し、ネットワークが混雑すると、デバイスの接続が切断される。そして、接続障害のトラブルシューティングを行うには、どのシステムがダウンしているかを特定する前に、複数のシステムを診断しなければならない。

これこそが、小売業者がAIを稼働させようとしている環境なのだ。

コストに関する新たな議論

念のため明確にしておきたい。小売業者がこれまで構築してきたシステムは、設計時に想定していたユースケースに対してはおおむね機能してきた。問われるべきは、その基盤が次に目指すものへと拡張できるのかという点である。

私はこうしたパターンを頻繁に目にする。小売業者が分析プラットフォームや新しいディスプレイシステムといったアプリケーション層に投資したものの、基礎となるインフラの制限により、実際には十分な機能を発揮できないことに気づくというケースだ。デロイトが2026年に小売および消費財(CPG)企業の役員を対象に実施した調査によると、「75%がAIを最優先の戦略的課題としているが、投資対効果(ROI)を数値化できているのはわずか16.5%にすぎない」。彼らの支出は、リターンをもたらすべきユースケースではなく、インフラの整備に費やされているのだ。

多くの小売業者が交わしている「総所有コスト(TCO)」に関する議論は、デバイスのコストやソフトウェアのライセンス料に終始している。しかし、本来すべき議論は、それらのデバイスが稼働するネットワークの導入、管理、およびスケールにかかるコストを含めたものであるべきだ。シスコの「AI準備性インデックス(AI Readiness Index)」によると、自社のITインフラがAIに対応する準備が完全に整っていると感じている組織は、わずか34%にすぎない。物理的な店舗特有のワイヤレスの複雑さが、オフィス環境にはないレベルで絡み合う小売業界においては、この割合はさらに低い可能性が高い。

私たちの会社は、これがリアルタイムで起きているのを目の当たりにしている。米国の主要な小売業者は、直面しているインフラの限界を打破するためのソリューションを当社に求めている。規模を拡大するたびに、新しいアクセスポイントが必要になる。AI投資が拡大するにつれて、それは長期的な管理負担を生み出しているのだ。

今、すべての小売業者が自問すべき問いは、「3年後に自社のネットワークはどうあるべきか、そして今日、私たちはその実現に向けて構築を進めているか」ということだ。多くの小売業者は、基礎となるネットワークを、いつでも交換可能な「配管」のように扱いがちだが、それは間違いだ。実際、現在どのような選択をするかによって、次に必要な機能、さらにその次に追加する機能にかかるコストが決まる。誤った基盤の上で優れたアプリケーションを構築しようとすると、拡張を試みるたびに技術的負債が蓄積していくことになる。

適切な基盤を構築する方法

ここで言いたいのは、小売業者が店舗テクノロジーへの投資を止めるべきだということではない。むしろ、評価を1つ下のレイヤーから始めるべきだというのが私の見解だ。次のアプリケーションを評価する前に、それが「何の上で稼働するのか」という、より本質的な問いを立てる必要がある。その評価が必要な結果をもたらすために有効な手順をいくつか挙げる。

1. 今日だけでなく、3年後に店舗のインフラを支えるために何が必要になるかを明確にすることから始める。未来の店舗において、電子棚札の導入は単なる最低条件(テーブルステークス)にすぎない。次の段階の自動化では、センサー、ディスプレイ、カメラ、ハンディ端末などを統合していく必要がある。

2. デバイスごとではなく、インフラ全体として評価する。新しいツールやディスプレイは、それ単体で見れば手頃な価格に見えるかもしれないが、設計以上の負荷がすでにかかっているネットワークにとっては、さらなる負担になりかねない。管理下にある個別のプロトコルやゲートウェイの数、およびそれらがもたらす障害の発生源を含め、ネットワークの総容量を把握することだ。診断しなければならないシステムが1つ増えるごとに、何かが停止した場合の追加労力が発生することを考慮する必要がある。

3. 規模拡大(スケール)時のコストをモデル化する。6店舗での試験導入はよい出発点だ。しかし、私の経験では、真価が問われるのは、その数値を600拠点にまで広げ、設置費用、ネットワーク拡張、継続的な管理とトラブルシューティングにかかるコストを織り込んだときである。

4. 次の要素を追加したときに何が起きるかをストレステストする。例えば、すでに電子棚札を導入しており、新たにセンサーやカメラを追加したいとする。その追加要素が既存のインフラで対応できるのか、それともアクセスポイントやゲートウェイの追加が必要になるのかを確認することだ。新しいユースケースを導入するたびに個別のセットアップやメンテナンスが必要になれば、労力や複雑さは増大する。計画段階でこの点を見極めておけば、後になって全面刷新に追い込まれるような事態を避けることができる。

これらのステップを踏むことで、今日下す意思決定が明日の選択肢を狭めないようにできる。AI駆動型の店舗は近づいている。だからこそ、それを正しく稼働させるためのインフラを構築すべきである。

forbes.com 原文

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