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2026.09.05 21:03

AI最大の贈り物は「時間」 OpenAI幹部が語る、豊かな人生を築くAI活用術

Adobe Stock

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AIがもたらす最大の約束とは、実は「時間」なのだろうか。

この1年、AIによる生産性向上に関する話題は、オフィスの給湯室から経営陣の会議室、コンサルタントのミーティングに至るまで、いたるところで持ちきりとなっている。しかし、AIを使いこなすことで得られる最大の成果が、キャリアにおける優位性ではなく、むしろ「節約された時間」という最高の贈り物だとしたらどうだろうか。

そして、その時間をどのように投資するかが、こぢんまりとした人生に甘んじるか、それとも自分が夢見たより豊かな人生を築くかの分かれ道になるかもしれない。

生産性と節約された時間の関係について考えている一人が、OpenAIのゴー・トゥ・マーケット(GTM)ディレクターを務めるタマラ・スカーレット・ミラーだ。グーグル、セールスフォース、オラクルでキャリアを重ね、優秀なエンタープライズリーダーとして活躍してきた彼女は現在、世界で最も急成長しているAI企業のチームに身を置いている。

ニューヨークのソーホー地区でタマラと席を共にし、AIについて語り合ったとき、筆者は彼女がまず生産性や効率的なプロンプト、そして仕事の未来について話し始めるだろうと予想していた。しかし、彼女が何よりも語りたがったのは時間についてだった。「私はいつも夢を追いかけてきました」と彼女は語った。「常に豊かな人生を求めてきました。キャリアを大きくするだけでなく、人生全体をより豊かなものにしたいのです。そして、より豊かな人生を実現することは、時間を創出し、その時間的余裕を利用して夢を叶えることから始まります」

彼女の職務における目標の一つは、フォーチュン100企業の経営幹部と信頼関係を築くことだが、家族との時間を犠牲にしてまで行うことではない。彼女にとって、母親としての役割、結婚生活、友人関係、あるいは最も大切な人たちを犠牲にすることなく、野心的なキャリアを追求することが重要なのである。

「何年も前から、周囲には不可能だと言われてきました」と彼女は言う。「メッセージはいつも同じでした。昇進するたびに、別の犠牲が伴うというものです。営業で卓越した成果を上げるか、子供たちに寄り添うか。経営幹部と信頼関係を築くか、おむつを替えるか。母親の介護をするか、自分自身に投資するか。常に何かを諦めなければならない、と」

次女のエヴァが生まれたことで、すべてが変わった。その数カ月後、スカーレットの母親が乳がんと診断されたのだ。

突然、彼女は営業幹部としてのキャリアを両立させるだけでは済まなくなった。子育てをこなし、家族を支え、母親の看病をし、さらに自分がずっと思い描いていたような人生を築こうと模索することになったのである。

「単に人一倍働くことだけでは、この問題は解決できないと気づきました」と彼女は振り返る。「1日の時間を増やすことはできないのですから」

その気づきが、彼女のAIに対する考え方や、AIをいかに自分自身の強みにするかというアプローチを変えた。そして、世間の議論の多くが効率化や自動化に焦点を当てるなか、スカーレットはその先に広がる、より大きな価値を見出している。

AIがもたらす最大の贈り物は「節約された時間」

「人々はAIを生産性のためのツールだと考えています」と彼女は言う。「私は、AIの本質は時間のキャパシティと、時間の平等にあると考えています」

現在、AIはタマラの業務の大部分を支えるオペレーティングシステム(OS)の役割を果たしている。多くの人が1日を始める前に、彼女はすでにAIを走らせ、顧客との通話の要約、メールの優先順位付け、エグゼクティブ向けブリーフィングの準備、アカウント戦略の整理、フォローアップ連絡のドラフト作成、ビジネス全体のミッションにおけるリスクの洗い出し、そして数週間分の情報を実行可能なインサイトへと集約する作業を終えている。彼女はAIを、自身のチーフ・オブ・スタッフ(参謀役)や専属のストラテジストであるかのように活用しており、最も困難な日には「第二の脳」となって彼女を支えている。

しかし、スカーレットは、AIが自分の仕事を代替しているわけではないと即座に指摘する。むしろ、仕事において最も重要な部分を守ってくれているのだ。「AIは私の判断力を代替するものではありません。それを保護してくれるのです」と彼女は語る。「顧客を理解し、信頼関係を築き、困難な決断を下すのは、今でも私自身です。AIは、そもそも私が手を出さなくてもよい仕事を排除してくれます」。GTMのリーダーとして、彼女は自分の価値が、カレンダーの招待状を送ることや顧客関係管理(CRM)システムにレコードを入力することにあるとは決して考えていない。

彼女の価値は、顧客自身がまだ十分に自覚していないニーズを先んじて理解することや、チーム間でアイデアを繋ぐこと、そして曖昧な状況をうまく切り抜けることにある。

これらはすべて、極めて人間的なスキルだ。

「顧客が買うのは製品ではありません」とスカーレットは言う。「顧客が買うのは、確信であり、明晰さです。自分のビジネスを理解し、不確実な状況を共に乗り越えてくれる存在を求めているのです。AIはお膳立てをしてくれますが、その中で主導権を握り、導いていくのは依然として人間です」

この哲学は、営業の枠をはるかに超えて適用される。

AIの普及により、企業は「知性」の定義そのものを再考せざるを得なくなっている、とスカーレットは考えている。情報が瞬時に手に入る現代において、暗記の価値は低下している。ソフトウェアが実行できる手続き的な業務も同様だ。専門的な知識でさえ、より手軽にアクセスできるようになっている。

そこで価値を増すのが、判断力や感情的知性(EQ)、ストーリーテリングのスキル、そして一見無関係に見えるアイデアを結びつけ、明らかな正解がない状況で決断を下す能力である。

働く親たちにとって極めて重要な「時間との関係」

スカーレットにとって、AIを深く取り入れることへのシフトは、働く親や介護の責任を担う人々にとって特に大きな意味を持つ。人生が複雑になったからといって、大志を諦める必要はないと彼女は信じている。必要なのは、より強力な「レバレッジ」なのだ。

「AIが私に与えてくれた最大の贈り物は、成果物の増加ではありません」と彼女は語る。「より『その場に寄り添えること』です」

「AIによって1時間が節約できたとき、私はその時間を自動的に仕事に回すわけではありません。娘たちと一緒に本を読んで過ごすこともあれば、母に電話をかけることもあります。重要な顧客ミーティングの前に、じっくりと思索を巡らせる余裕を持てることもあります。そうした瞬間の積み重ねは、キャリアにおける勝利と同じくらい、人生において複利のように蓄積していくのです」

技術職ではないプロフェッショナルたちに対して、スカーレットは自身のストーリーがAIに対する苦手意識を和らげるきっかけになることを望んでいる。

彼女自身、エンジニアリングのバックグラウンドはない。大学での専攻は政治学とコミュニケーション学だった。

「AIを使いこなすために、エンジニアになる必要はありません」と彼女は言う。「必要なのは好奇心です。実験してみようという意欲です。そして、AIを自分の仕事とは切り離された存在と考えるのをやめることです」

先を見据え、将来活躍するプロフェッショナルとは、単に最も早くAIを使える人ではないとスカーレットは考えている。それは、時間をレバレッジ(推進力)へと変換する方法を学ぶ人たちだ。

「未来は、より優れた問いを投げかけ、より戦略的に思考し、本当に自分自身を必要とする仕事に、より多くの時間を割くリーダーのものになるでしょう」

AIがもたらす最大の約束とは、より多くのものを生産できるよう手助けすることではない、と彼女は信じている。私たちが決して自ら作り出すことのできない、唯一無二の資産である「時間」を返してくれることなのだ。

そして、最大の競争優位性とは、より大きなキャリアを築くことではなく、より豊かな人生を築くことにあるのだ。

forbes.com 原文

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