核融合の勝者を予想するより、AIやEVにも供給する部品メーカーに注目する
投資家が得るべき教訓は、中国・合肥の研究開発陣と、マサチューセッツ州を拠点とするCFSのどちらが勝つかを予想することではない。より持続的な立ち位置にいるのは、どの方式の設備にも部品を供給するメーカーだ。AI、EV、ロボット、先端エネルギーの複数市場へ同時に販売でき、地政学上の対立にも左右されにくい。
MPSの第2四半期売上高は約1530億円、AI・サーバー向け製品を含む部門が164.3%増
Monolithic Power Systems(MPS)は、その条件に合う。同社はデータセンター、自動車、産業機器に使われる高効率の電源管理ICを設計し、2025年まで14年連続で増収を達成した。
2026年7月30日に発表した第2四半期売上高は過去最高の9億8060万ドル(約1530億円)で、前年同期比47.6%増となった。AI・サーバー向けの電源管理製品を含むエンタープライズデータ部門の売上高は、前年同期比164.3%増だった。
MPSは2026年第3四半期の売上高を11億4000万~11億6000万ドル(約1778億~1810億円)と予想する。エンタープライズデータ部門の2026年通期増収率について、従来の下限85%から130%へ引き上げた。第3四半期の米国会計基準(GAAP)ベース粗利益率は55.2~55.8%を見込む。
第2四半期実績と第3四半期見通しは、核融合発電所がまだ1ワットも販売していない段階から、AIインフラの建設拡大が四半期ごとにMPSへより多くの売上高をもたらしていることを示している。
MPSは製造・試験拠点をアジアに分散し、中国と西側双方から売上を得る
目立ちにくい強みは地理的な配置にある。MPSは中国・成都で研究開発活動を行い、同社最大の試験施設も同地に置く。独自の半導体製造プロセスとパッケージング技術を持ち、提携する半導体製造受託企業(ファウンドリー)の設備へ自社技術を導入している。
ウエハー製造は中国、台湾、韓国、シンガポールのファウンドリーへ委託する。ウエハー選別や最終試験、組み立て、パッケージングも中国だけでなく、台湾、シンガポール、マレーシア、韓国の施設を利用する。中国の供給業者への依存は依然として大きいものの、中国国外への製造能力の分散も進めている。
この供給体制を持つ部品メーカーなら、中国と西側のどちらで核融合炉、ロボット、データセンターが先に大規模展開しても、双方の産業システムから売上高を得られる。
核融合が計画どおりに実用化されるかは分からない。それでも、必要な部品への注文はすでに入り始めており、太平洋の両岸で需要が生まれている。


