太陽光・EVで優位を築いた中国、核融合でも長期投資を続ける
この長期投資は即興ではない。中国政府はエネルギーと先端製造業を国家の優先分野と位置づけ、他の制度では遠すぎる、あるいはリスクが高すぎると判断されがちな長期プロジェクトを支援する。世界が四半期決算に目を凝らす間に、中国は60年の安定運転を前提とする磁石を造る。
太陽光とEVに続き、人型ロボットでも国家資金がサーボやセンサーを支援
同じ型は、すでに2度、大規模に繰り返された。太陽光発電では、欧米メーカーが後退する時期に中国がポリシリコン、ウエハー、モジュールへ資本を投じ、現在では世界のサプライチェーンの大半を握る。
EVでは、補助金と輸出規模の拡大を通じて、電池と完成車で優位を築いた。欧米の自動車メーカーは現在も対応を迫られている。
次に控えるのは人型ロボットで、国家系ファンドがサーボ、センサー、制御システムを支援している。流れは一貫している。将来を見定め、時間をかけて資金を供給し、四半期ごとに成果を示さなければならない競争相手より長く投資を続ける。
データセンターの増設で、電力供給量がAIインフラの建設量を左右する
核融合は、同じ長期投資戦略をさらに大きな標的へ向けたものだ。データセンターの増設により、電力会社は一世代で最大規模となる供給能力の拡大を迫られている。AIインフラを実際にどこまで建設できるかは、電力供給量が左右する段階に入った。
西側は民間資本で核融合を開発、米核融合企業CFSが約1560億円を追加調達
西側も同じ目標を追っているが、中心にあるのは民間資本だ。2026年7月30日には、核融合分野で最も多くの資金を集めるスタートアップ、コモンウェルス フュージョン システムズ(CFS)が、10億ドル(約1560億円)を追加調達した。累計調達額は40億ドル(約6240億円)に達した。
CFSは、実証装置SPARCで2027年に、核融合反応で生じるエネルギーがプラズマを加熱するための投入エネルギーを上回る「Q>1」を達成すると見込む。最初の商用発電所ARCは米バージニア州で計画され、グーグルは同発電所の出力の半分を購入する契約を結んでいる。
2025年の前回調達には、エヌビディアのベンチャー投資部門NVenturesが新規参加し、グーグルも追加出資した。
核融合への民間投資が累計約2.2兆円、各社はAIデータセンター企業を顧客として狙う
業界全体でも資金流入が続く。核融合企業が2026年7月までの12カ月間に調達した資金は過去最高の44億8000万ドル(約6989億円)で、累計民間投資額は142億4000万ドル(約2兆2214億円)に達した。
ジェネラル・フュージョンは2026年7月13日にナスダックで取引を開始した。TAEテクノロジーズは、ナスダック上場企業Trump Media & Technology Group(TMTG)との合併を進め、2026年第4四半期までの完了を目指している。
中国の国家プロジェクトでも西側のスタートアップでも、最初の顧客として狙うのはAIデータセンターを建設する企業だ。どの核融合炉が最初に実用化されるにせよ、電力需要そのものはすでに存在する。


