キャリア・教育

2015.12.07 15:10

ドナルド・トランプ氏を打倒するたった一つの方法

a katz / shutterstock

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私は共和党の大統領候補者の支持率を子細に分析している。現時点では、候補者を絞り込むのは時期尚早と考えている有権者が多いのだが、これまでのところは、不動産王ドナルド・トランプ氏が全国、アイオワ、ニューハンプシャーの支持率でトップを走っている。11月8日、9日に行われた全国調査の結果を詳細に分析すると、トランプ氏の支持率は31%で、第2位のベン・カーソン氏を13%上回っている。
以下、フロリダ州上院議員マルコ・ルビオ氏は支持率8%、元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏は7%、テキサス州上院議員テッド・クルーズ氏は6%、元ヒューレット・パッカード最高経営責任者カーリー・フィオリーナ氏は4%、オハイオ州知事ジョン・ケーシック氏は3%が後に続く。

ここ数か月、どうすればトランプ氏にダメージを与え、候補者レースから撤退させられるのか、共和党幹部が頭を悩ませているとの報道が相次いでいる。ここにきて、トランプ氏が候補者レースで実際に勝つ可能性もあるのではないかという、これまで思いも及ばなかった事態を予測する主流メディアの評論家の現れるようになってきている。

これまでのところ、億万長者のトランプ氏は、ありとあらゆる人やルールに牙をむいており、その発言が馬鹿げていればいるほど、支持率が上昇するようにも見える。挑戦者も次々に現れているが、トランプ氏は首位の座を譲らない。かつてテレビのリアリティショーに主演していたトランプ氏は、口撃を仕掛けられると100倍返しで反撃している。スーパーPAC(特別政治行動委員会)による直接間接のネガティブ広告も流されてはいるが、効果を上げていない。

ドナルド・トランプ氏のひとり舞台はとどまることをしらない。炎上を巻き起している限り、トランプ氏はメディア報道を独占したままだ。この男の連勝を止めるにはどうすればいいのだろう。実は、すでに候補者選から撤退したウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカー氏が、撤退演説の中で述べていることに、その秘策が隠されている。ウォーカー氏は、共和党は戦場を限定するべきだと論じている。そもそも候補者が多すぎるというのだ。

私もウォーカー氏のこの意見には耳を傾けるべきだと考えている。ゾグビー社の世論調査の結果を再検討してみよう。確かにトランプ氏の支持率はひきつづき好調である。しかし、56%がトランプ氏以外の候補者が良いとしており、13%がまだ決めかねていると回答していることを思えば、実は得票率はそれほど高いわけではない。共和党予備選と党員集会の有権者の69%が、おそらくはトランプ氏を選ばないということになるからだ。もっとも、他の候補者が肉薄してこない限り、31%の得票はそれでもかなり大きい。

とはいえ、他の候補者がトランプ氏のようにニュースバリューのある発言を行い、来る日も来る日もスポットライトを奪い続けることも不可能だ。ここで、ほかの候補者の数が少なければ、戦況が大きく代わってくる可能性がある。スーパーPACも、保守派の評論家も、他の候補者も、トランプ氏のことは無視し(これ以上の注目は彼には無用だ)、むしろ候補者数を減らすことを主張するほうが、時間をもっと有効に使えることになるのだ。

ここで私は次のような提案をしてみたい。まず、支持率や支持者の本気度は脇に置いて、カーソン氏は撤退すべきだ。氏は脳神経外科として極めて優秀で、立ち振る舞いも立派である。しかし、彼は候補者として、また国のリーダーとしての才能をまったく示していない。政策についての考えには深みが欠けており、時間が経つにつれて、すべてが作り事のようにしかみえてこない。これで1人脱落だ。

元アーカンソー州知事のマイク・ハッカビー氏と、元ペンシルバニア州上院議員のリック・サントラム氏は、かつては有利な立場にいて、その挑戦には説得力もあったが、結果的に支持率はあがらず、候補者選でもかつてのような高得点をあげることができていない。

元ニューヨーク州知事のジョージ・パタキ氏と、サウスカロライナ州上院議員のリンゼー・グラハム氏はもはやレーダースクリーン上の小さな点にすぎず、支持率も1%を切っている。数か月経っても改善の兆しも無く、大きな討論会に席が確保できるかどうかも怪しい。

ニュージャージー州知事のクリス・クリスティー氏は2012年の大統領選で脚光を浴びたながら、結局立候補はしなかった。今年に入って討論会でいくつかの見せ場を作ったものの、合格水準に達してはいない。彼はまだ若く、やり直しが可能だ。以上で6名の候補者が戦場を去ることとなり、残りは7名となる。これで状況はずっと扱いやすくなる。

その中でトランプ氏以外に残るべきなのは誰であろうか。ルビオ氏とクルーズ氏は支持率を伸ばしており、有権者にとって説得力のある選択肢となろう。彼らはまた、党内で異なった党派を代表している。ブッシュ氏にはフロリダ州知事としての、ケーシック氏には下院のリーダーおよびオハイオ州知事という実績がある。それぞれに穏健派の候補者であり、全国や州の支持率争いでもいい戦いをしている。

ポール氏は党のリバタリアンを代表しており、若年有権者の支持が高く、討論会を盛り上げてくれる。そしてフィオリーナ氏はここまでの討論会のスターで、ここに来て陰りも見え始めているものの、初期の支持率の伸びには勢いがあった。

12月15日のCNNでの討論会には、この7候補者だけを招くのがよいだろう。その後、1月16日のアイオワでの討論会までに、候補者を4名に絞るプレッシャーをかけ始めるべきだ。有権者が注意深く見守る中、トランプ氏への支持が本当のところどれくらい強いのか、注目していきたい。


編集 = Forbes JAPAN 編集部

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