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AI

2026.09.05 13:41

企業はいかにしてAIのエネルギーボトルネックを乗り越え、多大な遅延を回避しているのか

Adobe Stock

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AIのエネルギーボトルネック(電力不足)は、エネルギー企業やAIデータセンターの運営事業者だけの問題と思われがちだが、現在ではAIや高度なコンピューティングを利用するあらゆる規模、あらゆる分野の企業に影響を及ぼしている。

クラウドコストの高騰に直面している、新規プロジェクトを送電網(グリッド)に接続しようとして遅延に直面している、AIとエネルギーコストの関係を懸念している、あるいはプロジェクトを稼働させるための代替手段を模索している――本レポートでは、Hut8(ハット8)、Critical Loop(クリティカル・ループ)、Runware(ランウェア)のエグゼクティブやリーダーたちが、以下の3つのシンプルな質問に答える。

AIのエネルギーボトルネックはどのように企業に影響するのか。最も影響を受ける業界はどこか。そして、あらゆる規模の企業がいかにして送電網の接続遅延や順番待ちを回避しているのか。

AIエネルギーボトルネックは、AIを利用するすべての企業に影響する

米国をはじめとする各地域において、エネルギー不足がAIの開発を阻んでいる。AI企業が次世代のAIとコンピューティング向けに新たなデータセンターの建設を急ぐなか、送電網の対応が追いついていない。新規のエネルギープロジェクトが送電網への接続許可を得るには長期にわたるプロセスを経る必要があり、その順番待ちや待機時間は倍増している。

ローレンス・バークレー国立研究所(バークレー研究所)の報告書『Queued Up: 2026 Edition』によると、米国では合計約2061ギガワット(GW)の新規発電容量に相当する新たなエネルギープロジェクトが、送電網への接続を求めて申請中だという。2025年に建設されたエネルギープロジェクトが、接続申請から商業運転を開始するまでに要した期間は平均61カ月に及んだ。新規エネルギーが稼働するまでの待機時間は長期化しており、2015年当時はその約半分(36カ月)で稼働できていた。多くのエネルギープロジェクトが、最終的に申請プロセスから完全に撤退している。

「完了率は総じて低く、待機時間は依然として長い」と、バークレー研究所の報告書は指摘している。

AIのエネルギー問題は、もはやデータセンターを建設するAI企業や、需要に応えようとするエネルギー事業者だけの問題ではない。何らかの形でAIを利用するすべての企業に影響を及ぼしている。

「自社でデータセンターを運営していない企業は、エネルギー問題をアウトソーシングしたと考えている」と、エネルギーインフラおよびコンピューティングプラットフォームを提供するHut8(NASDAQ:HUT)の創業者兼会長であり、ATLASのメンバーでもあるビル・タイは語る。

「彼らは見えない上流に問題を移しただけだ」とタイは指摘する。

すべてのクラウドプロバイダーやAIベンダーが、独占的に管理され動きの遅い同一の送電網から電力を確保しようと競い合っている。プロバイダーが何年も新規の発電設備を接続できなければ、そのコストはのちにコンピューティング料金の値上げや、アクセス制限、あるいは製品リリースの遅延という形で表面化することになるとタイは説明する。

「その企業が送電線に直接触れることはないが、迅速に動くための競争圧力が働かないシステムの不利益を被ることになる」とタイは述べた。

送電網への接続を必要としない、輸送用コンテナサイズのデータセンター「Sonic Inference Pod」を先日発表したRunwareの共同創設者、イオアナ・フレニンチュクも同意見だ。

「企業は2つの点で、あまりにも高い代償を払っている」とフレニンチュクは語る。

第一に、従来のサーバー向けに設計された大規模データセンターの減価償却費を支払っている。これらは古いGPUや冷却システムを使用しているため、AIの処理には非効率的だ。第二に、データセンターの容量が逼迫しているため、プレミアム(上乗せ料金)を支払っている。

AIエネルギーボトルネックの影響を最も受ける分野

AIエネルギーボトルネックはすべての企業に影響を及ぼすが、なかでも特に大きな影響を受ける分野がある。

「現実として、送電網の危機は、成長のために大量の電力への即時アクセスを必要とする、あらゆる資本集約的な分野に影響を及ぼしている」と、カリフォルニアに本社を置き、迅速なビハインド・ザ・メーター(BTM:需要家側)電力ソリューションやオンサイト蓄電、柔軟なマイクログリッド展開を提供するエネルギー技術会社Critical LoopのCEO、バラ・ラマムルティは語る。

しかし、さらに深刻な打撃を受けている分野もある。ラマムルティによると、それにはデータセンター、高度な製造工場、EV(電気自動車)フリートの運行事業者、空港や港湾などの重要交通インフラ、および大規模な産業用物件を賃貸する商業用不動産デベロッパーなどが含まれる。

一方、Runwareのフレニンチュクは、SaaS、サービス業、その他の知識ベースの分野が最も大きなリスクにさらされていると指摘する。

数百万人のユーザーを対象に、テキストや動画の生成などのAI機能を製品に組み込んでいる企業は、ユーザー一人あたりに追加のコストを支払うことになる。さらにフレニンチュクは、オンラインでAIを利用するあらゆるビジネスが影響を受け、これには小規模ビジネスも含まれると付け加えた。

企業はどのようにしてAIエネルギーボトルネックとコストのかかる順番待ちを回避しているのか?

官僚的な停滞に不満を募らせた、資金力のある企業は公共の送電網を迂回し、自社で電力を供給するようになっている。企業は既存のエネルギーシステムから完全に離脱しつつあるのだと、Hut8のタイは語る。

「敷地内(ビハインド・ザ・メーター)で自家発電すれば、送電網への接続申請を行う必要はなく、順番待ちに並ぶこともない」とタイは言う。

公共の送電線を待てない施設に対してガスタービンを提供しているCaterpillar(キャタピラー)のように、オフグリッドかつビハインド・ザ・メーターの電力を提供する企業は、大きな成功を収めている。

「個々の企業が独自の自給システム(サイロ)を構築することはできるが、国全体のエネルギー需要をすべて公共の送電線の外に逃がすわけにはいかない」とタイは指摘する。現状では、集中型の送電網は物理的なボトルネック(チョークポイント)のままであり、一時的に回避するだけでなく、根本的にアップグレードする必要があると彼は付け加えた。

小規模な運用におけるもう一つの選択肢は、モジュール型データセンターだ。Runwareのフレニンチュクによると、AIエネルギーボトルネックを回避しようとする企業は、インフラの改修に多額の費用を投じるか、モジュール型データセンターなどの代替エネルギーインフラを提供する新たな代替エネルギー事業者との協業を選択しているという。

安全性とコンプライアンス基準を満たしつつ、AIとエネルギーのバランスをコスト効率よく取る方法

代替エネルギーを稼働させることは、問題の半分にすぎない。インテリジェントなエネルギー最適化ソフトウェアを活用してそのエネルギーを最適化し、コンプライアンスや安全性に関する基準を満たすことが不可欠である。

「企業は、既存の送電網の容量に、ビハインド・ザ・メーターのバッテリー蓄電、スマート発電、リアルタイムのソフトウェア制御を組み合わせている」とCritical Loopのラマムルティは言う。

これにより、施設は電力制限のない時間帯に送電網から最大限の電力を引き込み、ピーク時には動的に敷地内の予備電力に切り替えることができる。結果として、重要な業務を数年単位ではなく、数カ月単位で稼働させることが可能になるとラマムルティは述べた。

ソフトウェア層において、経営陣はコンピューティング負荷の高いワークロードを、時間単位で変動する電力料金に動的に適応させる自動化ツールを必要としている、とラマムルティは言う。

例えば、ピーク時間帯にビハインド・ザ・メーターのバッテリー蓄電や自家発電を使用することで、パフォーマンスを犠牲にすることなく、高額な基本料金(デマンド料金)を積極的に削減(ピークシェービング)できる。同時に、こうした橋渡しとなる資産はモジュール式で柔軟であるべきだとラマムルティは指摘する。

「企業は、おそらく18カ月程度で解決する問題のために恒久的な発電所を調達・運営することなく、必要な電力をすべて確保でき、送電網がアップグレードされた時点でそれらのシステムからスムーズに撤退できる」とラマムルティは語った。

あるいは、それらの資産をそのまま維持し、継続的なピークシェービングや送電網の柔軟性向上のために利用し続けることも選択できる。このアプローチにより、企業はエネルギーニーズの変化に伴う選択肢を維持しながら、冗長な恒久インフラの減価償却を回避することができる。

「コンプライアンスの観点から、これらのシステムは電力制御に関する『UL 3141』などの厳格な送電網の安全性および相互運用性基準を満たしており、ソフトウェアが電力会社の送電容量制限と完全に同期して時間単位で制限を適用できるよう、厳格なテストが行われている」とラマムルティは述べた。

AIエネルギーボトルネック:まとめ

AIエネルギーボトルネックの影響が、エネルギー事業者や巨大テック企業の枠を超え、現在ではAIを利用するあらゆる企業に何らかの形で及ぶなか、新たな代替エネルギーサービスやインフラのプロバイダーが、待機時間を短縮し、電力ギャップを埋めつつある。

エネルギー最適化のインテリジェントなソフトウェア層を用いて、エネルギーとAIのバランスを取ることは、開発・運用プロセス(パイプライン)において極めて重要な要素である。

「意思決定者は、エネルギーを単なる固定的な公共料金としてではなく、動的な運用の変数として扱う必要がある」とラマムルティは述べた。

「AIとエネルギーのバランスをコスト効率よく取るには、基本的なエネルギー調達にとどまらず、リアルタイムで自動化されたエネルギーオーケストレーションへと移行する必要がある」

forbes.com 原文

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