新規事業にとって、有料マーケティングに割ける予算が限られているなかで認知を獲得するのは難しい。すでに知名度、リーチ、販促に投じられるリソースを備えた既存企業と注目を奪い合うとなれば、その難易度はさらに上がる。
だが、認知度を高めるのに必ずしも大規模なマーケティング支出が必要なわけではない。信頼を獲得し、自社が提供するものに最も関心を持つ人々に届くことに注力すれば、新規事業はリソースを過度に消耗することなく認知を広げられる。ここでは、Forbes Business Council(フォーブス・ビジネス・カウンシル)のメンバーが、多額のマーケティング予算に頼らずに新規事業が確かな注目を集めるための、低コストな方法を紹介する。
1. 専門知識を役立つコンテンツに変換する
現場で得た専門知識を、有益で具体的なコンテンツに変えることだ。独自のデータや実践的なフレームワーク、透明性の高いケーススタディを用いて、顧客の現実の質問に1つ答え、それをターゲット層がすでに集まっている場所で共有する。信頼できる注目は、認知を求める前に、まず価値を示すことから生まれる。 - フランチェスコ・カテリーナ(Francesco Caterina), MoliseFood Group
2. SNSで顧客とつながる
実際より大きく見せようとしないこと。規模が小さかったり、新しかったりするからといって、力強いブランディングができないわけではない。短い動画やブログ、SNSのコンテンツを通じて、顧客がすでに抱いている疑問に答えることで、自身の専門知識をオーガニックに、そして一貫して発信しよう。有益でオーセンティック(本物志向)なコンテンツは、信頼を築くだけでなく、検索エンジンでの視認性も向上させる。 - サム・ネルソン(Sam Nelson), Downstreet Digital
3. ブランドに「顔」を与える
企業の規模にもよるが、消費者はブランドに特定の「顔」が紐づいていることを非常に好む。例えばSNSを考えてみよう。人々は広告を見てもエンゲージメント(反応)することなくスクロールし続けるが、特定の顔やキャラクターを目にすると、手を止めて注目する。目的は、実際にセールスをかけることなく、目に留まり、市場の関心を引き、自社の存在を思い出してもらうことだ。 - ジェリー・ボブ(Jerry Bobb), Super Taters & More!
4. 迅速に対応する
常に連絡が取れる状態にしておくことだ。即座の返答と明確な情報は、多額の費用をかけることなく企業の評判を築き上げる。素早く対応しなければ、大半の消費者は同じようなサービスを提供する別の企業へと移ってしまうだろう。 - ティモール・ブリック(Timor Brik), DataRemote, Inc.
5. 疑問に答えることで権威を築く
買い手がアドバイスを求めて集まる場所で、現実の疑問に答えることで権威を築く。役立つ記事やインタビュー、ポッドキャスト、ケーススタディは、広告目的ではなく直接の経験に基づいている場合、公開から長い時間が経っても信頼できる注目を集め続けることができる。自分の知識を記録し、それを一貫して配信し、すべてのコンテンツが引用され、共有され、検索で見つけられるほど有益なものにしよう。 - タバレス・ビバリー(Tavares Beverly), Beverly Boy Productions
6. 既存のコミュニティを活用する
最新のトレンドはコミュニティマーケティングだ。これにより、実績がゼロのブランドでも、ゼロからリーチを築く代わりに、既存のコミュニティに参入することができる。この戦略は、インフルエンサーマーケティングやデジタル広告に比べて、ほんのわずかなコストで実行可能だ。コミュニティには、あらかじめ築かれた信頼が存在する。人々が集まるのは、誰かから売り込まれるためではなく、そのグループやイベント自体を信頼しているからだ。そのため、ブランドはセールスに対してはるかに警戒心の薄いオーディエンスの前に、身を置くことができる。 - アリックス・ヴァン・ダー・フォルム(Alyx Van der Vorm), Clyx
7. 相乗効果のある企業と提携する
まずは適切なパートナーシップを築くことに集中しよう。その上で、パートナーとの共同マーケティングに取り組む。自社のバリューチェーンを明確にし、自社と同じ顧客をターゲットにしながらも、異なる分野でサービスを提供している企業を見つけ、共同でマーケティングを行う。予算を出し合い、リーチを共有すれば、彼らの信頼性が自社のものになる。これにより、より少ない支出で、より大きなインパクトとリーチを得ることができる。 - ジェフリー・ハーゾグ(Jeffrey Herzog), Avenue Z
8. 売り込む前に課題を解決する
最も優れた低コストのマーケティング戦略の1つは、ビジネスを求める前に課題を解決することだ。実践的なアドバイスを共有し、質問に答え、一貫して価値を提供しよう。実務において、信頼は広告ではなく、実行によって得られるものであると私は学んだ。人々が、あなたが彼らの成功を助けてくれると信頼したとき、彼らはあなたの最も強力な支持者になるだろう。 - ジャスティン・ワイザー(Justin Wisor), Salisbury University
9. 実績という「証拠」を示す
新規事業の多くはリーチ(広さ)を追い求めるが、信頼できる注目は深さから生まれる。1社の顧客を選び、その課題を極めて見事に解決し、どのように行ったかを正確に記録するのだ。数値や失敗談も含めて、そのすべてを書き出す。人々は広告を無視するが、実証された証拠は注意深く調べる。実際の仕事を率直に分析した1つのコンテンツは、洗練された1年分のマーケティングに勝る。 - ケン・パスキンス(Ken Paskins), GCE Strategic Consulting
10. 顧客の期待を上回る
真の投資とは、マーケティング費用ではなく、提供する価値そのものにある。約束した以上のものを得られたと顧客が感じれば、それがあなたのマーケティングになる。リーチにお金を払ったからではなく、素晴らしい体験が口コミを広げるのだ。まずは約束以上のものを提供すること。他のすべてはそれを支えるためのものであり、その逆ではない。 - ムスタファ・アブデルモネム(Mustafa Abdelmonem), Saldwich
11. ブランドを冠したオリジナルグッズを制作する
ロゴなどの入ったブランドグッズは、信頼とロイヤルティを築く有形の体験を提供するため、感情的なつながりを生み出す。また、ブランドグッズは最も炭素効率の高い広告チャネルの1つでもある。製品が繰り返し使用されることで、追加の炭素コストを発生させることなく、継続的なブランド露出を生み出すことができる。我々が共同で実施した最近の調査によると、インプレッションあたりの炭素影響はデジタル広告の最大8分の1であり、テレビ、ラジオ、印刷媒体に比べて排出量を大幅に低く抑えられることがわかった。 - ドリュー・ホルムグリーン(Drew Holmgreen), PPAI
12. ビジネスの背後にいる人物を知ってもらう
あなたのビジネスに必要なのは、より多くのマーケティング予算ではなく、あなた自身の存在感だ。一貫して姿を現し、自分の知見を共有し、ビジネスの背後にある「本物の人物」を人々に知ってもらおう。コメントに返信し、質問に答え、顧客の成功を共に祝うことで、オーディエンスと交流する。あなたが姿を見せるたびに、信頼が築かれていく。AIによって誰もが簡単にコンテンツを作成できるようになった今、人々から信頼される「実在の人物」であることが、最大の強みになる。 - サラ・ウィリアムズ(Sarah Williams), Launch Your Box
13. 起業のストーリーを記録する
意思決定から失敗談、今週学んだことまで、ビジネスを構築していく過程の仕事を共有しよう。起業家がリアルな道のりを記録することは、どんなに洗練された広告よりも多くの信頼を獲得する。なぜなら、人々は予算ではなく誠実さについていくからだ。必要なコストは「率直さ」だけであり、ビジネス構築を見守ってくれたオーディエンスが、やがて商品を購入し、他人に紹介してくれるようになるため、その効果は複利的に増大する。信頼性は買うものではなく、ありのままを示すことで得られるものだ。 - マニッシュ・シャルマ(Maneesh Sharma), TestMu AI(旧LambdaTest)
14. 役立つ視点を持って関わる
カンファレンスで、得られた教訓やケーススタディ、業界に関連する重要な(ただし非独占的な)情報を発表しよう。記事を執筆して同様の情報を共有するのもよい。課題や成功について、ありのまま、かつ正直に語る。営業重視ではなく、役に立つという視点を持って関わることが大切だ。他者を助けることが信頼を築き、最終的に売上につながる。 - ジョン・ラドマン(John Radman), Element U.S. Space & Defense
15. 理想の顧客へ向けたアプローチをパーソナライズする
冷やかしの多い不特定多数のオーディエンスに向かって叫び、なけなしの予算を無駄にするのはやめよう。代わりに、理想的なユーザーわずか5人に向けて、極めてターゲットを絞り込んだ、非常に個人的な「ラブレター」を書くのだ。彼ら固有のワークフローに特化した小さなカスタム機能を構築したり、彼らの経歴に合わせた美しく詳細な戦略的分析マップを作成したりする。ごく少数のグループに、計測不可能なほどの本物の気配りを注ぎ込むことで、どのような広告費を使っても再現できない、強固で感情的なつながりを築くことができる。 - ヴォレン・ヴルコフ(Volen Vulkov), Enhancv
16. 顧客の成功事例を紹介する
最も効果的で低コストな戦略の1つは、実際の顧客の成功事例を共有することだ。人は他の顧客の言葉を信じるため、実体験に基づいたストーリーは、洗練された広告よりもはるかに早く信頼を築く。満足している顧客にレビューや推薦の言葉、ケーススタディの共有を促し、それらを自社のウェブサイトやSNS、商談で一貫して紹介し、永続的な信頼を築き上げよう。 - サヒール・ネリパランバン博士(Dr. Saheer Nelliparamban), Paywint



