Rocket Lab(ロケットラボ)は創業以来最大規模の打ち上げ契約を獲得しながらも、株価はこの3カ月でおよそ49%下落した。この落差にこそリスクがある。懸念されるのは、需要の不足ではない。現金を生み出す力を取り戻すはずの中型ロケット「Neutron(ニュートロン)」がまだ飛んでいない段階で、多額の支出が続いていることだ。
ロケットラボの売上高は過去最高水準を更新
2026年第2四半期の売上高は2億3400万ドル(約365億円)と過去最高を記録し、前年同期比で62%増えた。受注残高は期末時点で23億6000万ドル(約3682億円)。経営陣によれば、この四半期とその後の数週間で、10億ドル(約1560億円)を超える新規契約を結んだという。なかでも最大の打ち上げ契約は、米宇宙軍向けに最大18回のサブオービタル飛行(軌道投入を伴わない弾道飛行)を担う2億6600万ドル(約415億円)の受注だ。
受注はミッションの種類の面でも広がっている。空を飛来する脅威を監視する宇宙軍のプログラム向けに、平板型量産衛星「フラテライト」の発注も得た。なお見極めが必要なのは、こうした受注がどれだけの利益を生むかだ。
受注残高の大部分を占める主力案件の利益率は低い
2026年第2四半期のGAAP(米国会計基準)ベースの売上総利益率は36.1%だった。2026年第3四半期について、経営陣は29〜31%になるとの見通しを示している。理由は、売上の構成が変わると見込んでいることにある。受注残のうち最も大きな部分を占めるのは、米宇宙開発局(SDA)のトランシェ2とトランシェ3の衛星プログラムであり、CFO(最高財務責任者)はこれらのプログラムの売上総利益率を30%台半ばと位置づけている。一方、スペースシステムズ部門(衛星や宇宙機器を手がける事業)のほかの製品ラインでは、70%を超えることもある。
経営陣は、第3四半期を過ぎれば売上の構成が好転すると見込んでいる。とはいえ、受注残の中心にあるのは利益率30%台半ばの案件であり、スペースシステムズ部門は利益率の低いほうの分野を軸に規模を広げている。
ニュートロンが初飛行を果たしても、黒字化・資金の自給までは時間を要する
非GAAPベースのフリーキャッシュフロー(営業活動で得た資金から設備投資などを差し引いたもの)は、2026年第2四半期に1億1010万ドル(約172億円)の流出となった。第1四半期の7740万ドル(約121億円)から流出幅が広がっており、経営陣は第3四半期も高い水準が続くと見ている。この資金は、ニュートロンの開発と、後続機の製造に向けられている。
重要なのは、現金が出ていく額そのものよりも、経営陣が示している時間軸のほうだ。CFOによれば、同社単独では、調整後EBITDA(利払い・税金・減価償却前の利益に一定の調整を加えた指標)が黒字に転じるのは、ニュートロンの初の試験飛行が成功した次の四半期になる。フリーキャッシュフローが黒字化するのは、さらに約18〜24カ月先となる見通しだ。いずれも、打ち上げがなければ始まらない。そしてCEOは、2026年内の打ち上げに向けた日程的余裕が乏しくなりつつあると述べている。
手元資金の余裕は、公表された総額から受ける印象ほど大きくない。2026年第2四半期末の現金・有価証券はおよそ24億ドル(約3744億円)だが、そのうち10億8000万ドル(約1685億円)は、進行中のイリジウム買収やほかの買収候補、運転資金に充てることが決まっている。
株価は過去12カ月では28.7%上昇しており、S&P500種株価指数の19.1%を上回っている。時価総額は過去12カ月の売上高のおよそ51倍に達しており、待った先に良い結果が出ることを織り込んだ評価が続いている。見るべきはニュートロンの初飛行だ。ほかの日程はすべて、その日を起点に決まる。



