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2026.09.16 13:30

まち一体でデスティネーションをつくる SOIL Setodaの真骨頂

小林亮大|Staple取締役、しおまち企画代表取締役

小林亮大|Staple取締役、しおまち企画代表取締役

Forbes JAPANは今年、J-CATを共催に迎え、新たなアワード「Destinations of the Year」を創設。工芸、食、自然、風習——各地で新たな観光価値を創造する30の事業者を選出、審査項目に沿って、特に象徴的な5つの取り組みを賞としてピックアップした。

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地域の日常そのものを旅の価値へ変える──。

持続可能性(社会・地域関係)部門「SOCIAL SUSTAINABILITY賞」を受賞したSOIL Setodaは、人とまちがともに育ち、未来へ続くデスティネーションを育んでいる。


地域の日常を豊かにすることと、訪れたい旅先であること。その両軸で、瀬戸内海の小さな港町、瀬戸田に新しい風を吹かせているのがSOIL Setodaだ。開業は2021年春。港から続くしおまち商店街に分散するかたちで、全16部屋の宿泊施設、飲食店、ワークスペースなどを展開する。

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運営母体は、複数の地域で“徒歩圏内のご近所を耕す”プロジェクトを手がけるソフトデベロッパーのStaple。瀬戸田での取り組みの起点となったのは、アマン創業者が手がけるホテル「Azumi Setoda」(運営:瀬戸田リゾート)の開業に向け協業したことにある。

「地元の方々の不安を和らげるためにワークショップを行い、対話を重ねて生まれた発想がSOIL Setodaにつながった」と語るのは、Staple取締役の小林亮大だ。小林は、20年から瀬戸田に移住して以来、エリアの事業責任者を務める。

瀬戸田のある生口島は、日本一の国産レモンの生産地として知られる。尾道から船で約40分、港に近づくとレモン色の橋が迎えてくれる。
瀬戸田のある生口島は、日本一の国産レモンの生産地として知られる。尾道から船で約40分、港に近づくとレモン色の橋が迎えてくれる。

まちのリビングルーム

当初は、食堂とラウンジを併設した宿泊棟と、築140年の蔵をリノベーションしたカフェの2棟で開業した。コンセプトは「まちのリビングルーム」。

部屋をミニマルにすることで、くつろぐときにはラウンジに行き、地元の店へ食事に出かけ、銭湯「yubune」に立ち寄る……と宿泊客がおのずと部屋を出て、住民と交流できる設計にした。取材時には“仙人”の愛称で親しまれる住民が食堂を訪れ、カフェには若者が集っていた。

食堂の2階に位置し、穏やかな瀬戸内の海を望む「Nagi View Double」。一部の部屋にはシャワーがないが、宿泊者は商店街の銭湯「yubune」も利用できる。
食堂の2階に位置し、穏やかな瀬戸内の海を望む「Nagi View Double」。一部の部屋にはシャワーがないが、宿泊者は商店街の銭湯「yubune」も利用できる。

5年かけて少しずつ物件を増やし、現在運営する宿泊施設は5棟。いずれも空き家か空き地を用い、店舗と一体化した「ショップハウス」というスタイルをとる。地方のショップが十分な収益を上げるのが難しいという現実を、2階に収益性の高い宿泊施設を重ねることでカバーすると同時に、1階の店が人を呼び、その賑わいが宿泊者にとっての魅力にもつながる循環をつくる。さらに小林は、「港からすぐの場所で密度高く連続的に開発し、賑わいを可視化することに注力している」と付け加える。

次ページ > 「せとだレモンマラソン」という成功体験

文=鈴木奈央 写真=仁科勝介

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