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2026.09.16 13:30

まち一体でデスティネーションをつくる SOIL Setodaの真骨頂

小林亮大|Staple取締役、しおまち企画代表取締役

3年で参加者が約4倍に

“よそもの”から始まった地域との関係は、時間をかけて深めてきた。移住当初は、「売り込めるものは自分たちしかない」と、ともに移住したメンバーと自称 “しおまちブラザーズ”を結成。まちの便利屋として顔を覚えてもらい、信頼を得ることに徹した。

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AzumiやSOILが立て続けに開業し、話題の少ない瀬戸田にスポットがあたると、風向きが変わる。移住してくるスタッフも増え、地元の人から「若い人が増えたね」と言われるほどになると、より理解や協力を得られるように。

その後、転機となったのが「せとだレモンマラソン」だ。誰ひとり、マラソン大会に参加したことのないメンバーで23年秋から企画し、24年2月に開催。住民、農家、行政などが一丸となり、「全員が自分のドメインを超えて、ワンチームで実現できたイベント」だと小林は表現する。

もともと、「未来を語るだけでなく推進すること」を大切に率先してきたが、自分たちばかりが動いては多様性や新鮮味に欠けるという課題も感じていた。だからこそ、地域との信頼関係が共創へつながったことがうれしかった。初回は約450人が走ったのに対し、2回目は1300人超、3回目は1500人の定員に対して1700人が参加。その成長が、まちの成功体験として共有されている。

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SOIL Setodaのスタッフと“仙人”の愛称で親しまれる住民。度々撮影に取材にも協力してくれるという。 
SOIL Setodaのスタッフと“仙人”の愛称で親しまれる住民。度々撮影に取材にも協力してくれるという。 

愛着をもたれるまちへ

SOIL Setodaの真骨頂は、暮らすような滞在体験だ。しまなみ海道のサイクリングやSUP、レモン農家を訪ねるツアーなども用意するが、利用者は宿泊客の2〜3割ほど。それを小林は、「今回できなかったことが、また来る理由になる。目指すのは憧れの旅先ではなく、帰ってきたくなる場所です」とポジティブに受け取っている。実際、毎年のように訪れるリピーターも少なくない。

その先に見据えるのが、「瀬戸田を第二のふるさとだと思ってくれる人を増やすこと」だ。26年春には尾道市と連携し、域外の子どもが瀬戸田の小学校へ通うデュアルスクール制度を導入、6月には1組目を迎えた。

また、一連の取り組みを見て育った地元の若者が新卒でStapleに入社したり、上京した大学生が友人を連れて何度も帰ってきたりと、次世代にもまちへの誇りや愛着が育ちつつあるという。帰ってきたくなる理由と、帰り続けられる環境づくり。その実践を積み重ねながら、観光とまちづくりの循環を更新していく。

約600mの通りに50店ほどが並ぶしおまち商店街。瀬戸田はしまなみ海道の中間地で、サイクリストも多く訪れる。 
約600mの通りに50店ほどが並ぶしおまち商店街。瀬戸田はしまなみ海道の中間地で、サイクリストも多く訪れる。 

小林亮大◎Staple取締役、しおまち企画代表取締役。瀬戸田に惚れ込み、東京から移住。SOIL Setodaの開業を皮切りに、商店街の空き家開発やマラソン大会、映画祭の企画など、幅広い分野から地域の活性化に取り組む。

【特集】Destinations of the Year2026

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Forbes JAPANは今年、J-CATを共催に迎え、新たなアワード「Destinations of the Year」を創設。工芸、食、自然、風習——各地で新たな観光価値を創造する30の事業者を選出、審査項目に沿って、特に象徴的な5つの取り組みを賞としてピックアップした。

文=鈴木奈央 写真=仁科勝介

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