キャリア・教育

2015.12.07 11:16

マーク・ザッカーバーグが発表したBig Giftについて知っておくべきこと

Bangkokhappiness / shutterstock

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Facebookのマーク・ザッカーバーグCEO が2つの大きな発表をしたのは記憶に新しい。一つ目は愛娘マックスの誕生、二つ目は新たに設立したチャン・ザッカーバーグ・イニシアティブに保有するFacebook株式の99%を生涯段階的に寄付するという内容だった。発表から少し時を経た今、ザッカーバーグ氏が誓ったBig Gift について知っておくべきポイントを整理してみよう。

ザッカーバーグ氏はこれ以前にも多額の寄付をしている
今回発表された450億ドル(5兆5千億円相当)というのは桁違いに大きいが、弱冠31歳のビリオネアは以前にもチャリティへ寄付をしている。直近ではザッカーバーグと妻のプリシラ・チャンはシリコンバレーコミュニティ基金(SVCF)へ16億ドル(1,950億円)近くの寄付をした。実際に夫妻はこれまでSVCFに対して、2010年に1億500万ドル(128億円)、2012年に4億9,900万ドル(608億円)、9億9,900万ドル(1,209億円)を寄付している。

それらの寄付金は教育や健康に関する様々なイニシアティブに活用されている。ザッカーバーグ氏のSVCF向けの寄付で最も有名なのは、2010年に5年計画でニュージャージー州のニューワーク学区で取り組んだ1億ドル(122億円)規模の教育事業だ。
寄付の目的は、米国内でも最下位の学力を最上位へ押し上げることだった。あまりに現実離れした目標設定が影響してか、そのときには寄付によって目標値を達成することはできなかったが、その他にもザッカーバーグ氏はシリコンバレー周辺を中心に、様々な教育機関・団体に対して2,000万ドル(24億4千万円)から1億2,000万ドル(146億円)規模の数々の寄付を行っている。

新たに設立されたチャン・ザッカーバーグ・イニシアティブは教育と健康に焦点を当てるが、誕生したばかりの娘マックスにあてた手紙の中で、ザッカーバーグ氏は「個々人の目的にあった学習や病気の治療、そして人々の結びつきが強いコミュニティの創生」にも力を入れていくと誓った。

ザッカーバーグは今後3年間の寄付額に上限を設けている
米国証券取引委員会に提出した文書の中で、ザッカーバーグ氏は今後3年間で、保有するFacebook株式のうち1年につき10億株以上は売却もしくは譲渡しないとした。Facebook株式の時価総額から換算すると、1年の上限は927万ドル(11億3千万円相当)であり、それはザッカーバーグ氏が保有するFacebook株式4億6,200万ドル(563億円)の約2%相当である。


ザッカーバーグ氏は当面の間Facebookの議決権を維持する予定だ
2018年以降ザッカーバーグ氏がどのような配分で寄付をするのかは明らかになっていないが、少なくとも彼が残りの株式すべてをすぐに手放すということはなさそうだ。ザッカーバーグ氏はFacebook株式に対して60%の議決権を保持しており、当面の間会社経営を掌握したい意向である。同氏は娘マックスへの手紙でこう述べている。

「わたしはFacebookのCEOとしてこれからずっと働き続けるつもりだ。でも、それ以外の問題もとても重要だから、マックスや私たちが年を取ってから始めるには時間が少なすぎるんだ」。ザッカーバーグ氏は31歳という若さでこのように誓ったのだから、生涯をかけて段階的にFacebook株式を寄付するまでにはまだ相当に長い歳月が見込めるだろう。

ザッカーバーグ氏の450億ドルは2014年にビル&メリンダ・ゲーツ財団が発表した基金より大きい
ザッカーバーグ氏は、今回の約束を通じて、若くしてフィランソロフィの巨匠としての地位を確立した。ザッカーバーグ氏が公表した450億ドル(5兆5,000億円)はマイクロソフト創業者のビル・ゲイツと妻メリンダが設立したビル&メリンダ・ゲイツ財団の413億ドル(5兆円)を上回っている。

チャン・ザッカーバーグ・イニシアティブはLLCであり、チャリティ団体ではない
FacebookからSECに提出された文書によると、ザッカーバーグ氏の寄付金はLLCとしてのチャン・ザッカーバーグ・イニシアティブを通じて「公共の利益に則ったフィランソロフィや社会的活動を支援する」ために活用される。LLCはLimited Liability Companyの略称で、営利組織としての活動をゆるされている法人組織のことを指す。
前述のイニシアティブはLLCでチャリティ団体ではないため、ザッカーバーグ氏は資金の用途についてより自由に権限を行使することができる。資金を直接チャリティへ寄付しなくても、「人類の未知なる可能性と次世代の子どもたちが平等な社会で生きられる世界の実現」という目的に寄与するのであればどのようなことに使ってもよい。ザッカーバーグ氏は営利企業へ投資することもできるのだ。
 
ザッカーバーグ氏を支持するビリオネアたち
発表の内容が明らかになってから、何人もの著名な大富豪たちがザッカーバーグ氏への支持を表明した。Facebook上で、メリンダ・ゲイツは夫であるビル・ゲイツとともにザッカーバーグを支持し、賛辞のことばを贈った。
「あなたたちの寛大な決断とより深いコミットメントへの覚悟に触れた瞬間、感嘆のことばしか出てこなかったわ。あなたたちが示した道筋は、今日を生きる私たちや世界中の人々にインスピレーションを与えたわ」。ビル・ゲーツ氏もFacebook にコメントを寄せた。バージン・グループ創始者のイギリス人大富豪であるリチャード・ブランソン氏も「次世代を担うあなたたちのような若い起業家が世の中のために尽くそうとしていることは、人類は数々の問題を解決していけるということを意味する」と歓迎した。

Omidyar Networkのマット・バニック氏は文書で祝辞を贈り、「チャン・ザッカーバーグ・イニシアティブが達成する素晴らしい結果に大いに期待している」と述べた。前ニューヨーク市長であり大富豪のCEOとしてフィランソロピストとしても活躍するマイク・ブルームバーグ氏も、ザッカーバーグ氏を称える文書を発表した。その中で、ブルームバーグ氏はその他大勢のビリオネアに課題を投げかけることも忘れなかった。「今私が問いたいのは、あと何人のシリコンバレーの大富豪がザッカーバーグ氏に続けるかだ」。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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