組織はほぼ常に変化し続けている。新しいテクノロジー、顧客の期待の変化、規制による圧力、組織再編や合併などはすべて、従業員に現在のプロセスを修正し、新しい方法で働くことを要求する。これに対し、リーダーはお決まりのチェンジマネジメントの手法に習熟するようになった。それは、ビジョンを策定して伝え、従業員の心をつかみ、コミットメント(積極的な関与)を得るというものだ。その手法は重要である。コミットメントは不可欠だが、それだけでは不十分だ。筆者の研究では、多くのリーダーが認識していながらも、既存の変革モデルで直接扱われることの少ない問題について調査した。それは、従業員が変革の全体的な目的に賛同していても、それを実現するために必要な具体的な行動に対しては抵抗を示すことがある、という事実だ。
この違いは微妙だが、重大な結果をもたらす。コミットメントとは一般的に、より大きな変革に対する前向きなマインドセットのことだ。一方、抵抗とは多くの場合、変革に関連する業務やルーティン、あるいは期待に対する否定的な反応を指す。コミットメントは「私たちは目指す方向を信じているか?」と問いかける。抵抗は「今求められていることを行う意志があり、実際にできるだろうか?」と問いかける。従業員は、最初の問いには肯定的に答えつつ、2番目の問いには同時に否定的な反応を示す可能性があるのだ。
筆者の研究目的の一つは、変革にコミットしている従業員が、変革に伴う具体的な活動に対して抵抗感を持つのを防ぐために、リーダーがどのようなマネジメントの必要性を認識しているかを調査することだった。話を聞いたリーダーたちは、国内外の組織において大規模な組織変革を主導した経験を持ち、変革を率いた経験年数の中央値は17.5年、従業員数5000人以上の組織で上級役職に就いている人々だ。彼らとの対話から、リーダーシップにおける共通の盲点が浮き彫りになるとともに、現代のリーダーに役立ついくつかの知見が得られた。
合意と行動の間のギャップ
変革に関する手引書の多くは、いかにしてコミットメントを得るかをリーダーに説いている。ビジネス上の妥当性を説明し、魅力的な未来のビジョンを描き、変革のメリットを定義して組織全体に浸透させるよう指示する。これらの行動は、従業員がなぜ変革が必要なのかを理解する助けとなり、彼らが将来のメリットに同意すれば、変革にコミットする可能性は高まる。しかし、従業員が体験する変革とは、約束された未来のビジョンや理想だけではない。新しいシステム、役割の変更、業務負担の増加、失われたルーティン、馴染みのない期待、そして新しい環境で自分が成功できるかという不安など、極めて具体的な形で変革を体験するのだ。
だからこそ、コミットしている従業員であっても抵抗を示すことがある。抵抗とコミットメントは共存し得る。なぜなら、それぞれの感情の動機が異なるからだ。コミットメントは、変革への取り組みがもたらす長期的なメリット、つまり「変革の理念」から生まれる。対して抵抗は、変革に伴う活動への短期的な懸念から生じる。抵抗の感情は、目の前の極めて現実的な問題に対して発生するため、多くの場合、コミットメントよりも強くなる。
あるマネージャーは組織再編を支持しつつも、意思決定権を失うことには抵抗するかもしれない。現場の従業員は、新しいプロセスが顧客体験を向上させることに同意しつつも、日々の業務が煩雑になるため抵抗するかもしれない。あるチームメンバーは、新しいテクノロジープラットフォームの必要性を理解しつつも、古いプラットフォームで築き上げた能力や立場、自信を失うことを恐れるかもしれない。これらは矛盾ではなく、「葛藤(アンビバレンス)」の表れである。変革に対して葛藤を抱くとき、従業員は「目的地」を支持しながらも、そこへ至る「ルート」に抵抗することがある。
なぜ「抵抗」にもっと注目すべきなのか
抵抗に注目することが重要なのは、多くの場合、抵抗によって現場の変革が失敗に終わるからだ。変革は現状維持(ステータスクオ)を打破するものであり、従業員は安定を維持するために変革活動に抵抗することが多い。変革において経営陣の支援、明確なビジネス上の妥当性、そして未来の姿に対する従業員の強いコミットメントがあったとしても、従業員が実行を先延ばしにし、形だけの服従にとどまり、新しい行動を避け、古いプロセスを密かに維持するならば、変革は停滞してしまう。
抵抗は、個人の心理的な理由、従業員の気質、あるいは不公平感などから生じることがある。変革は、未知への恐怖、コントロールの喪失、新しい期待に応えられないのではないかという不安、および力不足への懸念といった心理的ストレスを引き起こす。一貫性を好み、変化を避ける生来の傾向を持つ人もいる。また、変革に伴う新しい、あるいは追加の責任を受け入れる意思があっても、その負担が組織全体に公平に分散されていないと感じると抵抗を示すこともある。結局のところ、変革とは影響を受ける人々にとって感情的なものであり、人々が抵抗するのには個人的な理由が数多く存在することを認識することが重要だ。
リーダーが変えるべきアプローチ
筆者の研究結果は、リーダーが「コミットしている従業員」か「抵抗している従業員」かという二者択一の見方から脱却する必要性を示唆している。コミットしている従業員であっても、特に大まかな変革目標が具体的な業務上の要求へと変わる際に、依然として葛藤を抱く可能性があると想定すべきだ。実務上、リーダーはステークホルダーのグループごとだけでなく、「活動ごと」に抵抗のリスクをマッピングする必要がある。どのタスクが恐怖、業務負担の増加、コントロールの喪失、能力の喪失、あるいは立場の喪失をもたらしやすいかを自問すべきだ。変革の戦略的目標を伝えるだけでなく、それが日々の業務にどのような実務的影響を与えるかに焦点を当てる必要がある。そして、混乱や過負荷、静かな抵抗が現場の足かせとなる前に、それらを表面化させるフィードバックループを構築すべきだ。
おそらく最も重要なのは、決めつける前に耳を傾けることだ。抵抗は必ずしも「反抗」ではない。従業員が自分自身の能力、業務量のバランス、人間関係、役割の明確さ、あるいはプロフェッショナルとしてのアイデンティティを守ろうとしているシグナルであることもある。好奇心を持って抵抗に対処するリーダーは、何を明確にし、調整し、支援すべきかを学ぶことができる。
リーダーシップの課題
何十年もの間、リーダーはコミットメントを得るよう教えられてきた。そうした取り組みは続けるべきだが、コミットメントを、実際の導入や服従、あるいは持続的な行動変容と混同してはならない。コミットメントは変革への扉を開く。抵抗を管理することは、人々がその扉を通り抜ける助けとなるのだ。
組織が変革を持続させたいのであれば、リーダーはコミットメントを築くのと同じくらい、抵抗を理解することにも熟達しなければならない。変革の成功は、リーダーがいかに上手くビジョンをアピールできるかだけでなく、そのビジョンを実現するという現実を通じて、いかに上手く従業員をサポートできるかにかかっているのだ。



