インターネットはユース世代の「世界の見え方」を変えた│つやちゃん

Getty Images

Getty Images

Forbes JAPAN 2026年10月号は、日本発「世界を変える30歳未満」30人特集。

advertisement

30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで、米『Forbes』が11年より開催し、世界的に注力している。『Forbes JAPAN』でも18年から8年間で総計330人を選出してきた。今年の受賞者も、AI革命の真っただなかで先頭に立ち、想像力、知性、そして並外れたグリット(やり抜く力)をもって、「自分が思うより良い未来」を目指す30人だ。彼ら彼女らがつくる「 新しい社会、新しい経済」から見えてくるものこそが、日本の未来の希望になる。

本稿は、本特集に際して寄稿された文筆家・プロデューサーのつやちゃんによるコラムである。30人の受賞者記事と合わせて読んでほしい。


U30世代のカルチャーを理解するために欠かせないのが、「インターネット」との距離感だ。彼ら・彼女らにとっては世界を見るレンズであり、表現や創作のベースにある「感覚」が育った場所なのだ。

advertisement

ユース世代のアーティストにとって、近年、インターネットは創作における役割そのものを変えつつある。かつて2000~2010年代、インターネットはニコニコ動画やTumblr、SoundCloudのような、ひとつの文化圏だった。独自のノリやコミュニティがあり、だからこそ「ネットカルチャー」という言葉が成立していた。

しかし現在のU30世代にとって、インターネットはもはやひとつの文化圏にはとどまらない。それは生活そのものを支える環境であり、ゆえにネットカルチャーを引用するだけでは、現在の表現・創作は説明できないのだ。むしろそれ以上に、インターネットを通して世界を認識するという感覚そのものが、作品の構造へと移植されているのである。

ポップミュージックの最前線を更新し続ける音楽家・原口沙輔や、異なるシーンのクリエイターによる人気コレクティブ・PASTASTAの作品では、電子音楽、ヒップホップ、EDM、ボカロミュージック、ハイパーポップ、J-POPといったジャンルが目まぐるしく切り替わる。それは、従来の「ジャンルミックス」的なサウンドとは異なる次元のものだ。

例えるなら──YouTubeを見ながらDiscordを開き、TikTokを眺め、Spotifyで音楽を流し、Xのポストを追う──複数の画面や文脈を同時に行き来する現代の感覚が、そのまま音楽へ翻訳されていると言ってよい。彼らにとってジャンルは所属するものではなく、その瞬間に必要な表現を生み出すための素材にすぎないのだ。

情報量に対する感覚も、大きく変化している。2025年大阪・関西万博開会式の音楽も手がけた長谷川白紙の作品では、一秒ごとに新しい出来事が起こる。音が現れ、消え、別の音が入り、歌が重なり、リズムが裏返る。従来なら情報過多と受け止められたであろう構成が、ネット以後の世代にはむしろ自然な展開として響く。

それはまるで、私たちが毎日眺めるタイムラインを見ているような感覚だ。広告の隣に友人の投稿があり、その次にニュースが流れ、ミームが現れ、政治の話題が入り込み、猫の動画が差し込まれる。異なる文脈が高速で接続される世界では、「かわいい」と「グロい」、「無機質」と「人肌感」のように、本来であれば交わらないものが隣り合うことにも違和感はない。

長谷川白紙の音楽が一曲のなかで何度も鳥肌が立つような高揚感を生み出すのも、この圧倒的な情報密度と、異質なものが隣り合うこと自体を快楽へと変える感覚によるところが大きい。

世界を変えうる30歳未満にフォーカスする企画「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」、9年目となる今年も30人の受賞者を選出。これからの未来をつくる彼ら・彼女らが描く「希望」と「新しい未来」へ、ようこそ!

【30 UNDER 30 特集号が現在発売中 / 受賞者一覧を特設サイトにて公開中

次ページ > 「美しさ」を発見するための場所

文=つやちゃん

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事