ほとんどの人にとって、腋毛(わきげ)との出合いは「身だしなみの問題」から始まる。13歳前後で生え始めるが、誰もその理由を説明してくれない。そして1、2年もすると、「処理すべきもの」というカテゴリーに分類される。
しかし生物学的に見ると、腋毛は身だしなみとは別の問題であり、その考察は逆方向から始まる。生物学者にとっての謎は、脇の下に「毛が多すぎる」ことではない。そもそも、脇の下に「毛がある」ことなのだ。
この点において、ヒトは奇妙な霊長類だ。ヒトに近いサイズの体格を持つチンパンジー、全身が毛で覆われているが、ヒトはそうではない。ヒトがなぜ「無毛」であるかについては、一般的には、暑さが関係していると説明される。初期のヒト属が、より高温で、より開けた土地に進出した際に、毛の少ないむき出しの皮膚は、非常に高密度な汗腺と組み合わさることで、うまく機能したという説だ。ヒトの汗腺の数については、多くの場合、約200万~400万個と推定される。「無毛」で、露出した皮膚から汗が蒸発することで、その下を流れる血液を冷やす。体毛が多いと、その妨げになる。
しかし、もし体を冷やすことが、進化上の選択圧だったのなら、脇の下は、例外が生じることが最も考えにくい場所だ。そこは温かい窪みであり、空気の入れ替わりもあまり行われない。しかも、人間の体毛の中でも、特に太く粗い毛が生える。
腋毛が生える理由についての最初の手がかりは、出現のタイミングにある。子どもには腋毛がない。思春期に入ると、アンドロゲンの影響を受けて生え始める。それは、体が生殖能力を備えたことを示し始める時期と重なる。ある形質が性成熟まで現れない場合、それは通常、身体的な要因よりも、社会的な要因によって説明される。
腋毛は、実際のところ何のためにあるのか
脇の下には、体の他の場所にはあまり見られない種類の「腺」がある。このアポクリン腺は、体の他の部分を覆う一般的な汗腺(エクリン腺)とは異なり、皮膚の表面に直接開口しておらず、毛包(毛を生やす皮膚の器官)に対して直接分泌物を送り込んでいる。その分泌物は、粘度が高くて油分が多く、体から排出される時点ではほぼ無臭だ。アポクリン腺は、腋毛と同様に、思春期までは静かに潜んでおり、それ以降に活動を始める。



