脇のにおいは分泌後に発生するものであり、厳密には、体が直接つくり出しているわけではない。皮膚に生息する細菌が、この油性の分泌物を栄養源とし、それをより小さな化合物に分解する。我々が実際に嗅いでいるのは、その化合物のにおいだ。2013年に『FEMS Microbiology Ecology』誌に発表されたレビュー論文は、こうした変換の大部分が、皮膚の常在菌、とりわけコリネバクテリウム属の細菌によるものだとしている。
腋毛が役に立つのは、これらのすべてに場所を提供するからだ。毛幹(体毛のうち、皮膚から露出している部分)は、外気に触れる面積を広げる役割を果たしている。腺からの分泌物は、毛幹を伝って先の方へ移動し、そこから蒸発する。皮膚同士が折り重なっている部分に比べて、はるかに蒸発しやすい。
ヒトの脇の下には、他の類人猿と比較して、顕著に密集して毛が生えている。2011年に『Behavioral Ecology and Sociobiology』誌に発表された研究では、腋毛が、そこで生成される、コミュニケーションのための情報伝達物質を保持するのに役立っている、という前提に基づき、片方の脇のみを脱毛して比較する実験を通じて、この問題を直接検証している。
これらの知見は、脇の下に対する見方に変化をもたらす。脇の下は、進化が毛を取り除くのを忘れた部位などではない。アポクリン腺と腋毛は、思春期に同じホルモンの作用を受けて、ともに発達する。そして、ヒトのように直立して腕を振って歩く動物の体において、空気の流れが生まれやすい、数少ない場所の一つに存在している。
腋毛に残る、科学的に未解明な点
哺乳類の間で、個体間の化学的なコミュニケーションが行われていること自体に、議論の余地はない。ヒトの体臭もまた、健康状態や食生活、ホルモン状態を反映する実際の情報を含んでいる。しかし、厳密な意味でのフェロモン──すなわち、特定の反応を引き起こす特定の分子──がヒトにも存在するという、より踏み込んだ主張については、これまでに科学的な裏付けが得られていない。つまり、何十年にもわたって、その候補となる物質が挙げられてきたが、結論は出ていない。


