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起業家

2026.09.04 13:32

船長から起業家へ──プラディープ・シンが海、陸、テクノロジーで実践するリーダーシップの哲学

stock.adobe.com

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「……待ってほしい。この話にはまだ続きがあるのか」

先日、プラディープ・シン船長にインタビューした際、筆者の頭に浮かんだのはそんな思いだった。海運の指揮や船舶運航から、グローバルな不動産開発、テクノロジー主導の事業まで、シンは参入するほぼあらゆる業界で急速に頭角を現す術を心得ているような人物であり、まるで何人もの優れたリーダーの経歴を1人で合わせたかのようなキャリアを築いてきた。

これほど異なる業界で、1人の人間がどうしてこれほど多くの成功を築けるのか。その疑問を解き明かすため、筆者はシン船長の世界観を知りたいと思った。そこは確かに不確実性に満ちた場所だが、同時に、海に、陸に、そしてテクノロジーの世界に、ほぼ無限の機会が広がっているようにも見える場所である。

最初の質問は「どうやってすべてを成し遂げたのですか」だった。

最初の答えは「トッド、私は1人でやったわけではありません」だった。

インドで生まれたシンは、幼いころから起業に魅了されていた。しかし、自らの力で何かを築き上げたいのであれば、まず家族という心地よい環境の外へ踏み出し、独立したアイデンティティを確立する必要があることもわかっていた。

「だから私は海運の道に進んだのです」と彼は語った。「海は、自分自身の道をつくる機会を与えてくれました。規律、責任、そして周囲に頼れる人が誰もいない状況で、どう判断するかを教えてくれたのです」

海は、シンを慣れ親しんだ環境から引き離しただけではなかった。彼のリーダーシップの才能を開花させた。わずか27歳で、彼は同世代のインド人商船船長のなかでも最年少級の1人となった。それは並外れた責任だった。船長は、数億ドル相当の資産である船、同等かそれ以上の価値を持つ貨物、乗組員の安全、そして人命や環境に影響し得る判断に責任を負うことがある。

「私は若く、キャリアも人生も楽しんでいました」と彼は振り返る。「しかし、予想していたよりもはるかに早く船長になった後、自分が落ち着かなくなっていることに気づきました。常に1つの問いに突き動かされていたのです。次に自分が学び、極め、築くべきものは何か、と」

若き船員だったシンは(この言葉を書くのは好きだ。なかなか使う機会がないからだ)、すでに不動産投資を始めていた。海を航行する人物でありながら、土地が持つ永続的な価値も理解していたのである。

「関心は高まり続けました」と彼は説明する。「不動産、金融、投資について、できる限り学び始めました。同時に、日々の仕事の中で、海運業界のどこを改善できるかにも目を向けていました」

2010年、シンはAethon Groupを創業した。出発点は、海事検査、リスク管理、アドバイザリーのプラットフォームだった。同社は急速に成長し、船主や海事関係者が複雑な運航リスクや安全リスクを管理するのを支援するグローバル事業へと発展した。

これまでにAethonは、世界各地で3万5000件を超える船舶検査および関連業務を完了している。「私たちはうまくやりました」と彼は言う。

ここでも、シン船長は控えめだった。Aethonは選んだニッチ市場で大きなシェアを切り開き、専門分野における有力組織の1つとして地位を確立した。しかし、シンはすでに最初の事業の先を見据えていた。

「不動産について学び、投資する生活を何年も続けていました」と彼は言う。「やがて、投資家からデベロッパーへと転身するにはどうすればよいかを考えるようになりました」

「では、突然、建物を建てようと決めたのですか」と筆者は尋ねた。

「いいえ」と彼は笑った。「でも、そうとも言えます。不動産について十分に知識があったため、何をすべきかは理解していました。より重要なのは、自分が何を知らないのか、そして適切に実行するためにどのようなパートナーや専門家を周囲に置く必要があるのかを理解していたことです」

シンはKarma Developersを通じて、海で学んだのと同じ原則を適用し始めた。慎重に準備し、リスクを理解し、有能な人材を選び、状況の変化に応じて進路を修正し続けるということだ。同社の初期の開発案件の1つは、販売開始から数時間で完売し、Karmaはその後もポートフォリオと国際的な提携を拡大し続けている。

しかしシンにとって、不動産開発は建物以上の意味を持つ。

「住まいは、誰の人生においても最も重要な要素の1つです」と彼は語った。「よい住まいは、よいカルマにつながっています。デベロッパーとして、私たちは単に建物を建てているのではありません。人々が暮らし、家族を育て、思い出を築く場所をつくっているのです」

現在、Karmaには欧州、アジア、中東、そして近年は米国からもパートナーや投資家が集まっている。シンはまた、関心領域をテクノロジー、専門教育、投資へと広げている。

「秘訣は何ですか」と筆者は尋ねた。「これほど異なる業界で成功を生み出すことを可能にした共通項はありますか」

「あります」とシンは答えた。「共通項はいくつかあります。第1に、段階的に築くこと。強固な基盤から始め、状況を把握し、経験を積むにつれて自信を持って拡大していくことです。要するに、走る前に歩くことを学べ、ということです」

彼は少し間を置き、こう続けた。「起業初期に私が犯した最大の過ちは、拡大を急ぎすぎたことでした。しかし、その過ちに気づき、修正しました。船を操ることと事業を築くことは、その点で似ています。自分の位置を確認し続け、修正を重ねなければ、少しずつ大きく航路を外れてしまうのです」

「ほかには」と筆者は尋ねた。

「人とパートナーです」と彼は即答した。「適切な人材とパートナーを見つけることは、成功に不可欠です」

シンは、採用には時間をかけるが、解雇にも時間をかけるという哲学を常に持ってきたと語った。「履歴書だけではなく、その人に投資するのです」と彼は言う。「自分の人材を本心から大切にすれば、彼らもあなたを大切にします。彼らが会社を大切に思えば、その可能性はいずれ明らかになります。時間、信頼、道具を与えれば、ほとんどの人にはそれを発見できる大きな可能性があると私は信じています」

「もし誰かが単に成果を出していない場合はどうしますか」と筆者は尋ねた。

「私は運命を信じています」とシンは答えた。「ある役割のために採用した人が、組織内の別の場所でははるかに力を発揮することがあります。運命が何らかの理由であなたたちを引き合わせたのかもしれません。リーダーとして、誰かを見限る前に、その理由が何なのかを見つけようと誠実に努力すべきです」

これは、あらゆるリーダーが熟考すべき洞察である。同時に、組織を築くリーダー、あるいは初めて意味ある目標を追う個人に対して、シン船長がほかにどのような助言をするのかにも興味が湧いた。

では、私たちはプラディープ・シン船長から何を学べるのか。

レジリエンスを計画する。

「どんなビジネスやキャリアにも、必ず浮き沈みがあります」と彼は言う。「私はまず最悪のシナリオを想像し、それに備えるところから始めます」

「好調なとき、私は保守的であり続けます。資本を守り、準備します。市場が変わり、困難な時期が訪れたときこそ、私は攻めに転じます。買収し、取得し、計算されたリスクを取るのです。直感に反するように聞こえるかもしれませんが、レジリエンスは必要になる前に築いておかなければなりません」

仕事は、学びながら報酬を得る学校である。

「人生で最も重要な教訓の多くは、本には決して載っていません」と彼は続けた。「私は若い人たちにいつも、仕事とは学びながら報酬を得る学校だと伝えています」

「人との関わり方を学ぶこと。よい上司が自分をどう扱うか、悪い上司が自分をどう扱うかを観察すること。なぜ仕組みが機能するのか、なぜ失敗するのか、どう改善できるのかを研究すること。職場は、業界を問わず、教育を受けるために報酬を払ってくれる学習実験室なのです」

大きくなりたいなら、より大きな線を引く。

「これは母が教えてくれたことに由来します」と彼は締めくくった。「子どものころからずっと心に残っています」

その教訓は単純だった。誰かが線を引き、それに触れずに短くしてみなさいと言ったなら、答えはその横により大きな線を引くことだ。

「大きくなる方法は、誰かの線を短くすることではありません」とシンは説明する。「自分自身のより大きな線を引くのです」

その哲学は、海から役員会議室まで彼について回った。1つのキャリアや業界の頂点に見える場所に到達するたびに、彼は自分の前により大きな挑戦を置いた。

筆者を常に魅了してきたのは、こうした人々や物語だ。私たちの周囲の世界を、なぜか形づくっていくシンプルな哲学である。そして、シン船長の事業が業界や国際市場をまたいで拡大し続ける一方で、筆者はこの対話を終えるにあたり、彼の物語はまだ完成にはほど遠いという感覚を抱いた。

そこで最後に1つ質問した。

「次は、何を目指すのですか」

「次に目指すのは、単にさらに多くの事業をつくることではありません」とシンは語った。「組織を築き、人を育て、創業者を超えて価値を提供し続けられる仕組みをつくることです。私にとって真の成功とは、永続するレガシー(遺産)を築くことです。自分より長く生き続け、次の世代にわたって価値を生み出し続けられるものです」

おそらくそれが、運命かレジリエンスかという問いへの答えなのだろう。運命は、海や陸、あるいは予期せぬ機会を差し出すかもしれない。しかし、そこから人が何を築くかを決めるのは、レジリエンスである。

(forbes.com 原文)

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