OpenAIがヒューマノイドロボットを開発している。CEOのサム・アルトマンが認めた。ポッドキャスト「Sources」(編注:58分22秒あたりから)で、同社のロボティクスへの取り組みが目指しているのはヒューマノイドなのか、それともデータセンター向けの機械なのかと問われ、アルトマンは言葉を濁さなかった。「両方です」と彼は答えた。「ヒューマノイドは間違いなくやります。ほかの形のロボットもやります」。
ただしアルトマンは、ロボットの体を作ることよりも、それを動かす優れたフィジカルAI(physical AI。ロボットのように物理的な体を持つ機械を動かすためのAI)を作ることのほうが難しいと考えているようだ。「ロボットの体を作るようなことはすべて、ロボットを動かす頭脳をきちんと解明することに比べれば重要度が低い、と私は思っています」と彼は付け加えた。
OpenAIがヒューマノイド領域に乗り出し、提携中心の競争に変化をもたらす
これはヒューマノイドロボット業界にとっても、AI業界にとっても大きな一歩である。
AI分野で最も潤沢な資金と計算資源を持ち、最も高い信頼を集める2社のうちの1社が、頭脳を押さえるだけでは足りず、ロボットの体そのものを作ることが決定的に重要だと判断した。それが正式に明らかになったわけだ。
これは同時に、数百社にのぼるロボット企業への牽制でもある。その多くは、フィジカルAIやロボットの頭脳の少なくとも一部を、外部から買うか提携によって手に入れている。エヌビディアのGR00Tリファレンスデザイン(reference design。他社がそのまま流用できるよう公開された標準設計)も、Apptronik(アプトロニク)やボストン・ダイナミクスのハードウェア上で動くグーグルのGemini Roboticsも、Skild AI(スキルドAI)が掲げる「どんな体でも動かせる」という売り込みも、すべて、頭脳を作る会社と体を作る会社は別々でよいという前提の上に成り立っている。
最良の頭脳の供給元が体まで作るようになれば、提携というモデルは一気に難しくなる。Figure AI(フィギュアAI)は早い段階でそれを見抜いていた。OpenAI(OpenAI Startup Fund)は2024年、Figureの6億7500万ドル(約1053億円)の資金調達に出資したが、その1年後、FigureのCEOブレット・アドコックは自社開発に切り替えるために協業から手を引いた。
人間の形にする理由
人間の形を選ぶ理由について、アルトマンの説明はごく標準的なものだ。この世界は人間のために作られているのだから、ロボットの少なくとも一部は人間の形をしていたほうがいい、という理屈である。
「この世界は、とことん人間向けに設計されています」とアルトマンは語った。「ドアを開ける、コンピューターで文字を打つ、機械を操作する、キッチンを掃除する。そうしたことを考えてみると、私たちはこの世界を人間のために作ってきたわけです。そして私は、これからもこの世界を人間のために作り続けたい。だとすれば、その形に合わせるのは良い判断に思えます」。
家庭向けロボットは将来、1人1台の普及を想定
では最終的に、どの家庭にも1台のロボットが置かれることになるのか。この点についてアルトマンはより慎重だったが、家庭用ヒューマノイドについては最後には強気の見方を示した。
「それが真っ先にやるべき最重要のことだとは思いません」と彼は述べ、まずインフラと製造が先だと認めた。「でも、いつかは必ず。誰もが自分専用のロボットを持つべきだと思います」。
この見方は、Agile Robots(アジャイル・ロボッツ)のCEOチェン・チャオポンやテスラのイーロン・マスクが最近示した予測とも重なる。陳は先ごろ、ヒューマノイドロボットの市場がいずれ現在の自動車産業の10倍の規模になりうると述べた。家庭が持つ車はふつう1台か2台だが、ヒューマノイドは最終的に一人に1台ずつ行き渡りうる、というのが陳の考えだ。マスクはG20の首脳陣に対し、10年以内に地球上で10億台のロボットが稼働している可能性があると語った。



