ビットコインは突如として急騰し、8月中旬の上昇に続いて1ビットコインあたり8万2000ドルに迫った。トレーダーは「パニック」を伴う価格ショックに備えている。
ビットコイン価格は今年の大半、2025年10月につけたピークの12万6000ドルからおよそ50%低い水準で低迷していたが、米ドルが「死のスパイラル」に陥る寸前だとの懸念が広がるなか、上放れした。
そしていま、スコット・ベッセント米財務長官が世界市場に歴史的な介入を行う可能性があるなか、トレーダーは米国のマネープリンティング(通貨の過剰発行)がビットコイン価格を押し上げるとの見方に賭けている。
「これこそがビットコインと暗号資産が作られた理由ではないか。流動性の拡大だ」と、ビットコイン・暗号資産デリバティブの先駆けであるBitMexの共同創業者で、現在はMaelstrom Fundを運営するアーサー・ヘイズは、ポッドキャスターのカイル・チャッセに語った。
ヘイズは「2028年から2030年にかけては、2009年から2011年のリーマン・ショック期を上回る規模の通貨発行が行われるとみている」と述べ、「これから生じる信用の規模は、サブプライム危機を小さく見せるものになる」と付け加えた。
ヘイズは、人工知能(AI)革命の失速に対応して、米連邦準備制度理事会(FRB)が「迅速かつ頻繁に、大規模にマネーを供給する」と予想している。「何兆ドルもの」資金が市場に流れ込むことで、ビットコイン価格は2030年までに10倍に急騰し、1ビットコインあたり100万ドル前後に達する可能性があると予測した。
ビットコイン価格が8万2000ドル近辺まで上昇したのは、FRBのクリストファー・ウォラー理事が、今後発表されるインフレ指標に意外な動きがなければ金利据え置きを「支持する方向に傾いている」と述べたことを受け、トレーダーが9月のFRB利上げ予想を後退させるなかでのことだ。
トレーダーは今週初め、FRBによる利上げの可能性を最大70%まで織り込んでいたが、現在は9月16日の会合で政策当局者が金利を据え置くか引き上げるかについて、見方が50対50に分かれている。
一方、借り入れコストの低下を狙ったベッセント財務長官による債券市場支援のサプライズ表明は先月、市場に衝撃を与え、昨年に金とビットコインを史上最高値へ押し上げたいわゆる「デベースメント(通貨価値の希薄化)トレード」を再燃させた。
「ビットコイン、金、その他の資産でいま起きていることは、デベースメントトレードが進行している状況と整合的だ」と、ビットコイン開発企業RootstockLabsの機関投資家部門責任者リチャード・グリーンは、電子メールでのコメントで述べた。
「たしかに利回りは高止まりしており、債務負担の増大がそれを招いていることも事実だ。しかし市場はそれを理解している。より具体的には、金融環境が十分にひっ迫すれば、政策当局が介入すると市場はますます見込むようになっている。そのため、そうした状況が危機的水準に近づくほど、投資家は資産、とりわけハードアセット(金や暗号資産などの実体・代替資産)へ資本を配分するようになる」
今週初め、証券会社バーンスタインのアナリストは、膨張する40兆ドル(約6240兆円)の米債務残高と継続するインフレにより、ビットコイン価格は2029年までに30万ドルに達する可能性があると予測した。
CNBCが確認したレポートで、アナリストのゴータム・チュガニは「当社の価格対限界費用の枠組みに従えば、次の市場のピークは2029年までに30万ドルとなり、市場は2027年半ばまでに15万ドルの新たな史上最高値へ回復すると見込む」と記した。



