Forbes JAPAN 2026年10月号は、「世界を変える30歳未満」30人特集。30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで、米『Forbes』が2011年より開催し、『Forbes JAPAN』でも18年から8年間で総計330人を選出してきた。
今年も4つのカテゴリから30人の受賞者を選出。SCIENCE&TECHNOLOGY部門で選出されたのがmedimoを創業した中原 楊、馬 劭昂、野村怜太郎の3人だ。
高齢化が進み、医師不足が深刻化する日本の医療。医学部で出会った3人がAIカルテを武器に、“変曲点”を生み出しその未来を変えようとしている。
「高齢化で患者さんが増えていく一方で、医療従事者は不足している。現状のままだと日本の医療は暗い。私たちは、この流れを逆転させる“変曲点”になりたい」
医療系スタートアップmedimoの共同創業者、中原楊は自社の存在意義をそう語った。中原が憂いたように、医療の人手不足は深刻で、崩壊を防ぐには生産性向上が欠かせない。その有効打になりうるのがAIカルテ「medimo」だ。一般的に医師は診察しながらカルテを書くが、時間内に書き切れず、数時間の残業をして補足したり整理することが少なくない。「medimo」は医師と患者の会話をAIで文字起こしして要約。内容を確認して電子カルテシステムにコピペすれば、カルテがほぼ自動でできあがる。
medimoがカルテに着目したのは、カルテ記入に多くの時間が費やされる様を間近で見てきたからだ。実は共同創業者3人は医学部という共通点をもつ。家族がクリニックを営む野村怜太郎は「なぜ帰宅が遅いのかと聞いたら、『カルテで残業している』」。すでに医学部を卒業した中原は「実習先の先生方はカルテで前残業、後残業をしていた」。3人にとってカルテ記入は医療現場の非効率さの象徴だったのだ。
3人ははじめから医療課題の解決を目指して集まったわけではない。共同創業者の馬劭昂は医学部入学後、死に対する考えを1万字の文章にして先輩に送った。返事に億劫になった先輩は、面倒見がよく「先生」と呼ばれていた中原に馬を紹介。ふたりは意気投合し、中原が自分の所属する医学部生サークルに馬を誘った。
翌年、サークルの新歓コンパに来たのが野村だ。参加者が交流するなか、野村はノートPCを開いて打ち込んでいた。なじめないのかと心配し中原が声をかけると、「今プログラムを書いてて、手が止まらない」。こうして個性的な3人が出会った。「当時はコロナで活動が制限されていて、エネルギーが溜まっていた。とにかく何か面白いことをしたくて、野村の家に集まってハッカソンをしていました」(馬)




