ヘルスケア軸で興味の向くままトライした。筋電図をモニタリングして肩こりを解消するウェアラブル端末の製作、脳波をNFTで表現するアート活動。さまざまな模索を続けるうちに、「せっかくなら医療現場で使えるものをつくりたい」(野村)とAIカルテに舵を切った。
23年3月2日にGPT-3.5のAPIが公開されると、翌日にはモックをつくった。課題は精度だ。「胃潰瘍」は「い海洋」、「コレステロール」は「これ捨てといて」。LLMの能力は向上したとはいえ、医療用語を正確にAIが聞き取るのは容易ではなかった。
精度を高めるには、現場で使ってもらいデータを集めるしかない。ただ、完成度が低いプロダクトをリリースするのもリスクがある。迷いはあったが、LinkedIn創業者リード・ホフマンの「最初のバージョンに恥ずかしさを感じないなら、ローンチが遅すぎた証拠」という言葉が背中を押した。
「6月にベータ版を出した際に医療メディアに取り上げてもらいテストユーザーが数日間で200施設以上集まり、ニーズの強さを確信。厚労省から医療機関への通達はいまだにFAXなので、それを参考にしてチラシを送信。その反応も良かった」(中原)
精度が高まるにつれてユーザー数が伸び、26年2月には約1000施設を突破した。さらに同月、医薬品卸大手スズケンにグループインした。現在はスズケンの顧客基盤を生かし3年間で累計1万5000施設という目標を掲げる。
「単独でもスケールする自信はあった。しかし、現場の人手不足は待ったなし。日本の医療のためには、スズケンのアセットを使って早くインパクトを出したほうがいい」(馬)
完全子会社となった今も、「現場の自主性を尊重してもらうことでシナジーを生み出せている」(中原)。最後に馬はビジョンをこう語った。
「今はAIに注力していますが、そこにこだわっているわけではない。将来はロボティクスも含め、日本の医療に必要なソリューションを提供していくつもりです」
なかはら・よう◎medimo代表取締役社長/共同創業者、医師。2000年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。プロダクト開発を統括。(写真右)
ま・しょうあん◎medimo代表取締役/共同創業者。2000年生まれ、東京大学医学部在学中。新規事業を担当。(写真左)
のむら・れんたろう◎medimo共同創業者/顧問。2002年生まれ、聖マリアンナ医科大学医学部在学中。顧問(アドバイザー)として従事。(写真中)
左:馬●タイ15400円/ポール・スミス(ポール・スミス リミテッドTel:03-3478-5600)、その他スタイリスト私物
中:野村●スーツ165000円/ポール・スミス(ポール・スミス リミテッドTel:03-3478-5600)、その他スタイリスト私物
右:中原●スーツ187000円、シャツ26400円、タイ15400円/すべてポール・スミス(ポール・スミス リミテッドTel:03-3478-5600)


