NEWS 「Forbes Store」オープン! FRAGMENTコラボも展開

宇宙

2026.09.04 10:45

史上2機目の「水星周回軌道」を目指し、日欧探査機ベピコロンボが最終工程へ

spacecraft: (c)ESA/ATG medialab、Mercury: (c)NASA/JPL

太陽系の惑星の中で一番内側を公転する水星の表面温度は、昼は430度まで上がり、夜間は厚い大気を持たないため放射冷却によってマイナス170度まで冷却される。その温度差は600度。この過酷な環境から機体を守るため、「みお」の機体表面はガラス製の鏡で覆われ、太陽光を反射して赤外線で熱を逃がすと同時に、各部位に保温用のヒーターを装備している。。また、磁気センサーによるスキャン観測を実施するために、回転制御を用いた姿勢制御方式が採用されていることも特徴のひとつだ。

advertisement

「みお」という愛称は、船が航行する河川の水路や海の航跡を意味するが、正式名称は「MMO」(Mercury Magnetospheric Orbiter)であり、JAXAではこれを「水星磁気圏探査機」と呼称している。

謎だらけの水星

過去に「マリナー10号」と「メッセンジャー」の2機しか到達していない水星には、いまだ多くの謎が残されている。それを追跡調査するのが「MPO」と「みお」の使命だ。

2025年1月、最後の水星フライバイで撮影。夜側の水星表面を高度295kmから撮影(c)ESA/BepiColombo/MTM
2025年1月、最後の水星フライバイで撮影。夜側の水星表面を高度295kmから撮影(c)ESA/BepiColombo/MTM

月によく似た水星は、直径は月の約1.4倍だが、質量は約4.5倍と重い。これは水星の体積の7〜8割を「鉄のコア」が占めているからだと考えられている。小さくて冷えやすい水星の場合は、コアが冷え固まり、内部の流体が停止する結果、磁場が消滅していてもおかしくない。しかし、マリナー10号の観測によって、水星には地球の約100分の1と微弱ながらも磁場が残存していることが確認されている。水金地火の内惑星で磁場を持つのは地球と水星だけだが、なぜ今なお水星に磁場が存在しているかがわかっていない。また、メッセンジャーの観測によって、水星の磁気赤道が半径の5分の1も北側にズレていることも判明しているが、そのメカニズムも謎のままだ。

advertisement

水星には非常に希薄な大気(ナトリウムなど)が存在することも確認されている。ただし、その大気がどのように生成されているのかも解明されていない。その大気は隕石を燃焼させるほど濃度が高くないため、水星の表面はクレーターに覆われている。それらのクレーターの多くには、「バッハ」「ピカソ」「葛飾北斎」「夏目漱石」など芸術家の名前がつけられているが、月には見られない水星特有の地形も多く発見されており、それらがどのように形成されたのかも分かっていない。

水星という惑星が、どうやって生まれ、どのような経過を経て現在のカタチへと形成され、いま何が起きているのか。これらの謎の解明は、今後の「MPO」と「みお」の観測に委ねられている。

編集=安井克至

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事