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宇宙

2026.09.04 10:45

史上2機目の「水星周回軌道」を目指し、日欧探査機ベピコロンボが最終工程へ

spacecraft: (c)ESA/ATG medialab、Mercury: (c)NASA/JPL

spacecraft: (c)ESA/ATG medialab、Mercury: (c)NASA/JPL

9月3日、日欧の共同プロジェクトである水星探査機「ベピコロンボ」が、史上2機目となる水星周回軌道投入に向けて最終工程を開始した。ベピコロンボとは、ESA(欧州宇宙機関)の水星惑星探査機「MPO」と、JAXAの水星磁気圏探査機「みお」、推進装置を搭載した輸送モジュール「MTM」などが一体となった複合型の宇宙機。2018年10月に打ち上げられて以来、約8年間にわたって太陽周回軌道上を航行しながら、水星周回軌道に入るための減速を続けていた。

日本時間の9月3日21時、「MPO」と「みお」を水星近傍まで導いた輸送モジュール「MTM」を、両探査機から分離することに成功。両機は今後しばらく統合されたまま航行を続け、11月21日には水星の重力に捕捉されてその周回軌道(極軌道)に入る。その後、「MPO」と「みお」も分離し、それぞれの予定軌道を航行しながら、いまだ謎が多い水星の磁場などを観測する。

水星の周回軌道に探査機を投入することは、非常に難易度が高いとされる。そのため、過去に水星周回軌道への投入に成功したのは、2004年に打ち上げられたNASAの探査機「メッセンジャー」の1機のみ。今回のプロジェクトが成功すれば欧州の「MPO」と日本の「みお」は、メッセンジャーに次いで史上2機目・3機目の水星周回軌道機となる。

8年間で計9回のフライバイ

一番下が今回分離された「MTM」。イオン推進器と太陽電池パネルを搭載。そこに探査機「MPO」と「みお」が統合されていた。サンシールド「MOSIF」は「みお」を強烈な太陽光から守る(c)ESA
一番下が今回分離された「MTM」。イオン推進器と太陽電池パネルを搭載。そこに探査機「MPO」と「みお」が統合されていた。サンシールド「MOSIF」は「みお」を強烈な太陽光から守る(c)ESA

水星探査機「ベピコロンボ」は2018年10月、フランス領ギアナ(南米大陸の北端)にある欧州宇宙港から、アリアンスペース社(欧州)のアリアン5ロケットによって打ち上げられた。地球の重力圏を脱した同機がそのまま水星に向かえば、強大な重力を持つ太陽に向かって急激に落下することになる。しかし、水星の重力は地球の38%しかなく、その微弱な重力に捕えられて周回軌道に入るには、探査機の機速を大幅に減速させる必要がある。その減速に必要なパワーは、秒速約7kmで飛ぶ物体を停止させる力に等しい。その減速に必要なパワーをすべてロケット噴射に頼ろうとすれば莫大な量の推進剤が必要となるが、ベピコロンボには1.4トンの推進剤しか積載できない。そのため同機は減速フライバイという航法を駆使しながら水星に接近した。

探査機「MPO」と「みお」から輸送モジュール「MTM」を分離するイメージ図。spacecraft: (c)ESA/ATG medialab、Mercury: (c)NASA/JHUAPL/CIW
探査機「MPO」と「みお」から輸送モジュール「MTM」を分離するイメージ図。spacecraft: (c)ESA/ATG medialab、Mercury: (c)NASA/JHUAPL/CIW
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編集=安井克至

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