気候・環境

2026.09.04 08:47

「エコロジーセンター」が描く、環境再生型の繁栄への設計図

Adobe Stock

Adobe Stock

南カリフォルニアのビーチで、10代のサーファーが片手にごみ袋を持ち、プラスチックやがれきの漂う海へパドルアウトしていく姿を思い浮かべてほしい。朝ごとに同じ儀式が繰り返される。波に乗り、その波が運んできたものを拾う。どんな講義も、この反復ほどの力は持たなかった。それは趣味を、逃れられない対峙へと変えた。

その少年がエヴァン・マークスだった。そしてその対峙はやがて、オレンジカウンティにある28エーカーの環境再生型農場、学校、そして人々が集う場であるエコロジーセンター(The Ecology Center)へと結実した。そこは、私たちの多くが問いかけることをやめてしまった問いに答えるためにつくられた場所である。私たちの食べ物は実際にはどこから来るのか。そして、それを忘れてしまったことで、地球と私たち自身はどんな代償を払っているのか。マークスは20年近くをかけ、人々を土地、食、そして互いのつながりへと結び直すことは郷愁ではないと証明してきた。それはインフラなのである。

失われた意識から設計図へ

彼は、その転機をビーチで過ごした早朝の日々にたどる。「私にとってこの旅の最初の種は、地球との関係に個人的に目覚めたことだった」と彼は振り返る。「子どもの頃からサーファーとして育った。しかし10代になると、ビーチでごみを拾い始め、人間が環境に及ぼす負の影響に意識を開くようになった。それは意味のあるかたちで、現実を突きつけるものだった」

その目覚めを機に、彼はカリフォルニア大学サンタクルーズ校でアグロエコロジー(農業生態学)の学位を取得し、その後10年近く、カリフォルニア、ハワイ、コスタリカ、ペルー、メキシコ、ガーナ、ナイジェリアで、エコロジカルデザインと環境再生型農業に携わった。故郷に戻るとき、彼はその問いを携えていた。「10年にわたり、より深い気づきと探求に没頭した後に故郷へ戻り、ここで変化をモデル化できるかを見たいと思った」と彼は説明する。「袋小路と消費主義で知られるオレンジカウンティという、最もありそうにない環境で、こうした現実の一部を変え、これらの考えを念頭に置いた文化とコミュニティを築けるのか」。2008年、その問いがエコロジーセンターとなった。

農場の姿をした村

マークスは、それをまず非営利団体とは呼ばない。「それは物理的な形を持った村であり、28エーカーの農場だ」と彼は言う。「農場であると同時に、ひとつのまとまった体験として織り合わされた、一連の小規模事業とプログラムでもある。私たちは農家であり、シェフであり、アーティストであり、教師であり、商人であり、作り手なのだ」。それが表しているのは、「未来のための実験室であり、伝統的な方法の一部を現代に引き寄せ、私たちの後に続く世代に健康と調和の参照点を持たせること」だと彼は付け加える。

その実験室の中心にあるのが、「ファーム・レース(Farm Race)」と呼ばれる学校で、100世帯が日々参加している。「次世代を導くことこそ、私たちの仕事の核心だ」とマークスは説明する。そこで試作されたものは、校外学習、放課後プログラム、サマーキャンプへと広がり、年間数千人の子どもたちに届く。マークスは、あるひとつの言葉にたびたび立ち返る。「ここで私たちがいつも大切にしている言葉のひとつが『remember(思い出す)』だ」と彼は続ける。「re-membering、つまり本質的には、ばらばらになった断片をもう一度つなぎ合わせることなのだ」

流行ではなく実践に根差す

農業そのものは、リジェネラティブ・オーガニック・アライアンス(Regenerative Organic Alliance)との協働で発展させた、認証を受けた環境再生型有機農業である。「このような地理的条件で、これほどの多様性を持つ家族経営の事業は数少ない」とマークスは述べる。そして彼は、この取り組みをより長い系譜の中に位置づける。アグロエコロジーという言葉は、彼自身の恩師が1970年代に作り出す一助となったものであり、さらに数千年古い先住民の土地利用の実践を土台としている。

同じ哲学は、キャンパス内の「カンペシーノ・カフェ(Campesino Cafe)」にも表れている。「スペイン語で農民を意味するカンペシーノを、私たちは農場のサウンドシステムのように考えている」とマークスは言う。「私たちはすべての食材を育て、パンやペストリーもすべて焼いている。それはまさに土地を味わうことなのだ」。その考えは、シェフのためでもあり食事をする人々のためでもある、定期開催の農場ディナーシリーズ「コミュニティ・テーブル(Community Table)」でさらに広がる。「私たちがコミュニティ・テーブルを行う核心は、料理界に進化と知性を育てようとすることにある。実際、私たちには必要なものがすべてある。特に南カリフォルニアという、豊かで恵みの多いバイオリージョン(生命地域)ではそうだ」と彼は付け加える。「これは本質的には、イノベーションやテクノロジーの話ではない。1万年にわたってこの社会を形づくってきた人間性の基本的な構成要素が、急速に侵食されているという話なのだ」

育てる、食べる、つくる、平和

それらの構成要素は、キャンパス各所に掲げられた4つの柱に凝縮されている。「Grow(育てる)」「Eat(食べる)」「Make(つくる)」「Peace(平和)」である。その最新の表現が、昨年開設された集いの場「ピース・ドーム(Peace Dome)」だ。マークスはそこを、「大切に思う人々との意味ある対話」のための「寺院と町役場の中間のような場所」だと表現する。映画、コンサート、ヨガ、サウンドバスを開催し、さらに「グッド・メディスン(Good Medicine)」という新シリーズも始まった。すべてを一語に要約するよう求められると、マークスはためらわない。「私たちは育む(nourish)のだ。心と身体、そして精神を育むのだ」と彼は語る。

持続するために設計された事業

エコロジーセンターは501(c)(3)団体だが、マークスは起業家の規律をもって運営している。「これらすべてのプログラムと提供内容は、ミッションを支えるソーシャルエンタープライズだ」と彼は言う。「全体として、収入の約70%は事業収入だ。私たちのミッションを非常に力強く支えてくれているフィランソロピーが、残りを担っている」と彼は指摘する。その支援を担う資金提供者には、リビング・ピース財団、サムエリ財団、ジェニファー&アントン・セガーストロム、ジェームズ&アン・シェイ、アイズナー財団、オレンジカウンティ・コミュニティ財団、マリスラ財団、リヴィアン財団が含まれる。初期の企業パートナーには、ナイキ傘下時代のハーレー(Hurley)やチポトレ(Chipotle)も含まれていた。

感じられるように設計する

マークスがエコロジーセンターで働く人々を列挙するとき、「アーティスト」が「農家」や「シェフ」と肩を並べるのは偶然ではない。環境再生型農業を土台に築かれた組織にとって、デザインは後付けのように見えるかもしれない。だがマークスにとって、それは玄関口である。食べ物や農場ディナーが人々を引き込むのと同じ仕組みを、商品から土地そのものの配置に至るまで適用しているのだ。現代アーティストのコディ・ハドソンは10年にわたり、キャンパスの商品の多くを手がけてきた。アートディレクターのナレオ・ザゴは、20年にわたり繁栄していたニューヨークのエージェンシーを離れ、そこでフルタイムで働くようになった。「デザインは、私たちの組織がまだ非常に若かった頃から、常に重要な関心事だった」とマークスは説明する。「もし私たちが、物事をおいしく、美しく、できるだけ多くの人にとって手の届くものにできれば、人々をこのコミュニティ、この輪、この対話のさらに深いところへ招き入れていることになる。そしてそれこそが最も重要な部分なのだ」

それは農業をはるかに超えて応用できる教訓である。人は、まず感じたことのない考えに基づいて行動することはめったにない。そして美しさこそが、多くの場合、人に何かを感じさせる。「この土地は非常に神聖で、魔法のような場所だ」と彼は言う。「そして、アートやデザイン、私たちのあらゆる提供物を通じて込める意図によって、人々は突然やわらぎ始め、平穏を感じ、つながりを感じ始める。しかも、なぜそう感じるのか自分でもわからないのだ」。あらゆる場所は、「人々が心地よく、温かく、コミュニティの一部だと感じられるよう、隅々まで非常に意識的に設計されている」と彼は付け加える。

ごみが散らばるビーチを最初に歩いた日から長い時間が経ち、マークスが最もありそうにない場所で試したモデルは、さらに遠くへと広がっている。「グッド・メディスン」は始まったばかりであり、農家を育てるパイプラインは拡大している。そしてかつて一人でごみを拾っていた子どもは今、地域全体に、共に思い出す方法を教えるための仕組みを築いている。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事