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欧州

2026.09.04 10:00

戒厳令下のウクライナ、なぜ選挙を実施できないのか

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領。2026年8月23日撮影(Yan Dobronosov/Global Images Ukraine via Getty Images)

たとえウクライナが世論や憲法に反してロシアの侵攻中に選挙を強行したとしても、実施には物流上の課題をはじめ、多くの実務上の問題が生じるだろう。現在までに、ロシアはウクライナ領土の約2割を占領している。米シンクタンク大西洋評議会は、ウクライナ南部と東部のロシア占領地域に数百万人のウクライナ人が居住していると推定している。米政府系「ラジオ自由欧州(RFE)」は8月21日に動画を公開し、ウクライナが選挙を実施した場合、ロシアの占領下にあるウクライナ国民はどのように投票するのかと問いかけた。さらに、ウクライナ軍の兵士がどのように投票するのかについても疑問を呈した。

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また、民間人の安全に対する懸念もある。米学術誌ジャーナル・オブ・デモクラシーによると、ウクライナは紙の投票用紙を用いた投票方式を採用している。つまり、選挙を実施するには、大勢の国民が投票所に集まり、紙の投票用紙で投票する必要がある。だが、ロシア軍によるウクライナの住宅や学校、病院をはじめとする民間施設への攻撃は続いている。

こうした対面での投票に伴う安全上の懸念を考慮し、一部の識者はウクライナがオンラインで選挙を実施するよう提案している。他方で、ウクライナが長年にわたりロシアによるサイバー攻撃を受けてきた経緯を踏まえると、戦争中に電子投票による選挙を実施すれば、サイバー攻撃の標的になりやすいと指摘する声もある。

先述のRFEの動画は、戦争によって避難を余儀なくされたウクライナ人も投票する必要があると指摘している。米難民移民委員会(USCRI)によると、ロシアが侵攻を開始して以降、世界中で約700万人のウクライナ難民が登録されている。米外交誌フォーリンポリシーは、避難を余儀なくされたウクライナ人の多くが有権者登録を更新する必要があることにも触れた。

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戦争中の選挙実施について疑問が投げかけられたのは、ウクライナだけではない。実際、歴史上の重大な危機に直面した際に選挙を実施しなかった国は他にもある。

第一次世界大戦と第二次世界大戦中、カナダは自国領内で戦闘が発生しなかったにもかかわらず、議会選挙を延期した。英国は第二次世界大戦中の1940年、議会選挙を延期し、戦時連立政権を維持することを選択した。同国で選挙が実施されたのは1945年で、ドイツに対する勝利宣言の後だった。同大戦中、ドイツの占領下にあったフランス、ポーランド、ノルウェー、オランダも選挙を実施しなかった。英国と同様、これらの国々はドイツの敗戦後に選挙を再開した。

ロシアによる侵攻が続く中、ウクライナで選挙を実施すべきだというフェドロウ顧問の発言は、戦争中の選挙を巡る議論を再燃させた。ウクライナ侵攻がいつ、どのように終結するかは定かではない。しかし、それまでの間、ウクライナ国民の過半数は選挙の実施を望んでいないと表明している。むしろ、国民の大多数は、国の最優先課題は戦争の終結だと訴えている。国民は戦争が終結して初めて選挙を実施できると考えている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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