エルニーニョの強大化はなぜ問題か
エルニーニョ・南方振動現象を理解することは非常に重要だ。たった1回の強いエルニーニョで、地球全体の降雨パターンが一斉に変化する可能性があるからだ。
コール教授は現在インドネシアで続く干ばつや山火事を例に挙げ、エルニーニョによって太平洋の降雨帯が東側に引きずられてインドネシア近海から離れ、より海水温の高い外洋上へと移動した結果、ほぼ必然的に生じた現象だと説明した。こうした降雨パターンの変化は、ハワイを脅かす熱帯低気圧の異常な活動や、南米・アフリカ・北米本土全域で極端な乾燥と多雨が生じている現象とも関連している。
そして、人的被害の負担は不均等に分布している。「何百万人もの人々がリスクにさらされている」とコール教授は述べ、特にアフリカでは干ばつや洪水の多い地域で自給自足型の農村社会が食料不足に直面していると指摘。「私たち(西側の国々)の被害は、(気候変動の)原因が最も少ない国々の被害の半分にも満たない」と語った。
今後については、どうなるかはわからないとコール教授は慎重な姿勢を見せる。「サンゴは過去を映し出す水晶玉のようなものだ。しかし、未来を映し出す水晶玉ではない」。つまり、化石燃料の使用を継続したからといって、エルニーニョ現象がこのまま強大化し続けるとは限らないということだ。
とはいえ、過去40年間に変化を引き起こしてきたメカニズムについては、研究者の間に異論はない。化石燃料を燃やすことで地球は温暖化し、地球温暖化によってエルニーニョはより極端な現象となっている。


