太平洋で海面水温が高い状態が続くエルニーニョ現象が発達しており、今後さらに強さを増して「ゴジラ級」(いわゆるスーパーエルニーニョ)になると予想される中、エルニーニョの勢力が過去1000年間で最強になっているとする研究結果が科学誌『サイエンス』に発表された。人間活動に起因する気候変動がその原因であることも明らかになったとしている。
エルニーニョとは、太平洋の赤道付近(熱帯太平洋)で周期的に生じる海面水温の上昇現象であり、世界中の気象パターンに影響を及ぼす。エルニーニョが発生すると、ある地域では干ばつが起こり、別の地域では洪水や暴風雨、熱波が猛威を振るう。
8月27日付でサイエンスに掲載された論文によると、太平洋のサンゴに関する新たな研究で、東部太平洋赤道域における海面水温の年ごとの変動が現在、産業革命以前と比べて36.5%大きくなっていることがわかった。この急激なエルニーニョの強大化は、化石燃料の燃焼に伴う地球温暖化の影響以外では説明できない規模だと研究チームは指摘している。
「人為的な温暖化」を裏付ける証拠
米ミシガン大学のジュリア・コール教授(古気候学)が率いたこの研究では、東部太平洋赤道域における「エルニーニョ・南方振動(ENSO)」現象の強大化について、自然現象に基づくあらゆる説明を排除するために多大な努力が払われた。
コール教授と共同研究者らは、サンゴの化学組成を分析し、樹木と同じように年輪を刻んで成長するその骨格に記録された海水温の変化を過去1000年間にわたるデータセットにまとめた。
このデータを、火山の噴火、太陽放射(太陽から電磁波や荷電粒子として放出されるエネルギー)の量の変動、気候システム固有の内部変動といった自然要因のみに基づいて過去1000年間をシミュレーションした12個の気候モデルと比較したところ、サンゴに刻まれたほど大きな水温変動を示すモデルは1つもなかった。
次に、この変動が2つのよく知られた自然気候事象と一致するかどうかを調べたが、10~13世紀に北半球で温暖な気候が続いた「中世気候異常期(中世温暖期)」とも、14~19世紀に地球全体が寒冷化した「小氷期」とも一致しなかった。



