問うべきは、政府最上層の市場情報をどう管理するか
最も興味深い問いは、ベネズエラが追加で650億バレルを短期間に生産できるかどうかではない。短期間での生産は明らかに不可能であり、トランプの発表が最終的に原油価格の上昇材料になるか下落材料になるかも中心的な問題ではない。ベネズエラの生産力を再建するまで長い時間が必要なため、短期供給への影響はほとんどないと市場が判断する可能性もある。
問うべきなのは、政府最上層から生まれる市場を動かし得る情報について、どのような安全措置が設けられているかである。
市場を動かす発表を数時間早く知る価値
大統領が発表によって原油価格が動き得ると認識し、大統領の周囲にいる人々が市場より前に発表内容を正確に知っているなら、誰が情報を持っているのか、情報へアクセスできる人物が取引していないかについて極めて慎重な管理が必要になる。
8月28日の発表時刻だけで不正行為を立証することはできず、トランプ本人が利益を得た証拠にもならない。証拠なしに利益を得たと主張するのは無責任である。8月28日の発表が示したのは、大統領発表の事前情報を理論上どれほど容易に利用できるかという脆弱性であり、一般の市場参加者と数時間後に発表される内容をすでに知る人を隔てるのは、わずか数時間だけかもしれない。
たった1つの文章で数十億ドル(数千億円)規模の資金が動き得る市場では、無視できない脆弱性である。


