金価格が米国時間9月3日に上昇し、上昇率は3%に達した。9月3日までの1週間は下げる日が多く、下落基調を断ち切る動きとなった。アナリストは上昇の要因として、ドル安に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月の会合で利上げに踏み切るとの観測が後退したことを挙げている。
軟調な米経済指標と原油安に加え、ドル安も金価格を押し上げ
金価格は9月3日午前11時15分(米東部時間)時点で4544.80ドルを付け、前日の終値と比べて約3%高い水準にある。金は8月下旬に15週ぶりの高値を付けた後、数営業日にわたって下げ続けていた。今回の上昇は、連日の下落からの明確な転換となる。
サクソバンクでコモディティ戦略責任者を務めるオーレ・ハンセンは9月3日、金価格が上がった一因は「軟調な米経済指標と原油安」にあると指摘し、あわせてドル安も挙げた。主要通貨に対するドルの価値は9月3日に約0.6%下がり、下げ幅は大きかった。軟調な米経済指標の1つが、給与計算大手ADPが9月2日に公表した全米雇用報告である。8月に米国の民間部門で増えた雇用者数は3万8000人にとどまり、市場予想を下回ったほか、7月の4万6000人増にも届かなかった。
ハンセンは、金が「力強い反発」を見せているとも述べた。FRB理事のクリストファー・ウォラーが政策金利を据え置く方向に傾いていると示し、9月会合での利上げ観測が9月3日に後退したためである。
9月利上げ確率が52%台に低下、ウォラーFRB理事が据え置きを示唆
市場が織り込む利上げ確率を示すCMEグループの指標「FedWatch」によると、FRBが9月15〜16日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに動くかどうかは、ほぼ五分五分の見通しとなっている(米国版記事掲載時)。利上げを見込む確率は9月3日に急落した。ウォラーが政策金利を据え置く方向に傾いていると語ったためだ。
ウォラーは、インフレ率がFRBの目標である2%を「意味のある形で上回っている」と認めた。その上で、足元の指標は「ようやく物価上昇率の鈍化(ディスインフレ)の兆しが表れつつあることを示している」と述べた。さらにウォラーは、政策金利にあたるフェデラルファンド(FF)金利について「今後2週間に出てくるデータでディスインフレが続くのであれば、誘導目標を現行水準に据え置くことを支持したい」と語った。
FedWatchが示す9月の利上げ確率は、9月3日午前の時点で52.4%となり、2日前の66.2%から大きく下がった。利上げ観測は、FRB議長のケビン・ウォーシュが8月28日にジャクソンホール会議で行った講演をきっかけに高まっていた。アナリストはウォーシュの講演を「タカ派的」と評した。ウォーシュはジャクソンホールで、インフレ率がFRBの目標まで下がらないのであれば、FRBには「やるべきことがある」と述べていた。
銀価格も4%近く上昇、金と同じく8月下旬から下落が続いていた
銀価格も9月3日午前に急伸した。午前11時15分時点で4%近く上昇し、67.91ドルを付けた。銀も金と同じく、8月下旬に約70ドルと数カ月ぶりの高値を付けた後、9月3日までの1週間は下げる日が多かった。



