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AI

2026.09.05 10:12

PCやApple M4をつなぎAI推論に活用、エヌビディアPAIRが示す「分散型パーソナルAI」の未来

Andreas Prott - stock.adobe.com

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ドイツ・ベルリンで2026年9月4日から8日まで開かれている家電・IT見本市IFA 2026で、エヌビディアは数多くの発表を行った。発表には、RTX Spark搭載PCの提供開始が含まれる。登場は2026年10月の予定だ。あわせて、手元のPCへAIエージェントを導入し、動かすまでの作業を容易にするAIモデルとソフトウェアの改良も示した。

NVIDIA PAIRが家庭や職場にある複数のPCをつなぎ、AIの仕事を手分けさせる

こうした発表の中でも、少なくとも私にとってより興味深かったものの1つは、NVIDIA PAIRだった。Personal AI Router(個人向けAIルーター)の頭文字を取った名称である。PAIRは、家庭や職場でネットワークにつながった複数のコンピューターへ、AI推論の仕事を賢く振り分けるルーターである。専用の機器は要らず、ソフトウェアだけで動く。推論とは、学習を終えたAIモデルに実際の処理をさせることを指す。

複雑そうに聞こえるかもしれないが、実際にはそんなことはない。幅広い一般利用者が個人でAIを動かすとき、その処理はこれからどこへ向かうのか。PAIRは行き先を先取りして示していると、私は考えている。

クラウドに頼らず、手元のPCでも十分にAIは動く

クラウド上で動く大規模言語モデル(LLM)はきわめて強力だが、費用がかさむこともある。やり取りする文字量に応じ、トークン単位で課金するクラウド型LLMの料金体系は、多くの場面で理にかなっている。実際、何百万人もの人が日常的に使っている。だが、それ以外の人にとっては、手元の機器で動かすローカル推論で十分すぎるほどだ。しかも費用は実質的にかからない。

個人向けのAI処理を手元で動かすモデルは、巨大なクラウドサービスが備える膨大な計算資源とメモリーを使えない。それは当然のことだが、使う必要もない。負荷が重くないAIの作業を任せるなら、小型モデルによるローカル推論でも十分に力を発揮する。導入と設定さえ済ませれば、文書の要約から文章作成、コーディング、画像生成まで一通りこなせる。

PAIRは、PCの力を引き出すオープンソースソフトウェア

ただし、1台のPCでAIモデルと処理をすべて動かすやり方が、常に理想的とは限らない。用途もソフトウェアも幅広いため、メモリー、ストレージ、ネットワーク、演算能力を互いに奪い合うことになるからだ。そこで登場するのがPAIRである。多くの家庭や中小企業は複数のPCを備えているが、そのPCはたいてい、何も処理せずに放置されている。PAIRは無償のオープンソースソフトウェアで、使われていないPCの処理能力を、手元で動かすAIのために活用できる。

処理が1基のGPUに集中すると遅くなるため、PAIRが他のPCへ回す

AIエージェントが仕事をこなす手順は、その大半が高度に並列化されている。つまり1つの仕事は、専門化した多数のタスクへ分割され、GPUなどの演算装置の上で同時に走る。これは現在、多くのソフトウェアで当たり前のやり方だ。だが例えば、すべての処理が同じ1基のGPUを奪い合えば、性能は読めなくなり、這うような遅さにまで落ち込みかねない。

PAIRをネットワーク上の複数のPCへ導入して設定する。するとPAIRは、使える演算装置を自動で見つけ出し、余力のあるPCへ推論の要求を送る。

※編注:PAIRが振り分けるのは、AIエージェントが分割した後のタスクである。1件の推論を複数の機器で分担させることはなく、要求は選ばれた1台で最後まで処理される。複数のGPUが持つメモリーを束ねて1つの大きなGPUのように扱うことも、1つのモデルを複数の機器へ分けて載せることもしない。

次ページ > AIを動かす定番ソフトのOllamaとLM Studioが、そのまま使える

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