NEWS 「Forbes Store」オープン! FRAGMENTコラボも展開

AI

2026.09.04 13:00

グーグルの新AI「Gemini 3.8 Flash」、最先端レベルの作業を低価格帯で実現

gguy - stock.adobe.com

gguy - stock.adobe.com

グーグルは開発者向け更新履歴に、Gemini 3.6 Flashを7月21日(米国時間)、Gemini 3.7 Flashを8月13日に一般提供へ移したと記載している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は9月1日、内部呼称をSkimakiとする3.8 Flashが早ければ翌2日にも出荷されると報じた。グーグルは9月2日にGemini 3.8 Flashを正式に公開し、モデルページと価格表も併せて掲載した。

7月21日から9月2日までの公開ペースをそのまま受け取れば、同じ主力モデルが6週間で3度改訂されたことになる。グーグルのモデル開発で目を引く動きは、最も価格が安いFlash系へ移っている。

グーグル社内の比較で、エンジニアはOpusよりFlashを選んだ

WSJは3.8 Flashの実力を伝えるにあたり、公開ベンチマークではなく、グーグル社内で行われた評価を根拠に挙げた。エンジニアたちは社内コーディング基盤Jetski上で、新しいFlashとアンソロピックの旗艦モデルClaude Opusを突き合わせ、コーディング作業ではFlashを選んだ。

Opusに付いた割増料金は、もはや性能差を示していない

Flashは、グーグルが最も安く売っている製品系列である。Gemini 3.7 Flashは入力100万トークンあたり0.75ドル(約116円)、出力100万トークンあたり3.75ドル(約581円)で提供されている。最先端のフロンティアモデルに付く価格と比べれば、ごくわずかな水準にとどまる。Opusは旗艦モデルであり、アンソロピックは自社製品群の最上位として高い価格を付け、そのように売り込んでいる。現場のエンジニアが、勤務先で売り上げを生む開発業務に割安なモデルを選んでいる。そうである以上、旗艦モデルに上乗せされた料金はもはや性能差を示すものではなく、売り方の違いを示すにすぎない。

企業のAI支出はコーディングに集中し、費用対効果も測りやすい

FlashとOpusを比べる上で、コーディングという作業が持つ重みは大きい。企業のAI支出が実際に集まっている先はコーディングであり、支払った金が成果を生んだかどうかを買い手が測れる数少ない分野でもある。

トークン価格は1年で67%下がり、AI各社が相次いで値下げ

生成AI分野の価格は、企業向けソフトウェアに前例が見当たらない速さで下がり続けている。

・入力と出力を合わせた平均トークン価格は、前年同期比で約67%下がった。2025年1〜3月期は100万トークンあたり18.40ドル(約2852円)だったが、2026年1〜3月期は6.07ドル(約941円)になった

・学習済みモデルが答えを導き出す処理にかかる推論コストは、10週間で約43%下がった。2026年5月末の100万トークンあたり2.04ドル(約316円)から、8月上旬には1.16ドル(約180円)近辺まで落ちた

・OpenAIは2026年7月下旬にGPT-5.6 Luna系の価格を80%引き下げ、入力100万トークンあたり0.20ドル(約31円)、出力1.20ドル(約186円)とした

・アンソロピックは9月1日、同じ文章を繰り返し送るときに使うプロンプトキャッシングで、蓄えた分を読み直すキャッシュ読み取りの料金を75%引き下げた。AIが自律的に作業を進めるエージェント型の用途では、請求額が最大45%下がる

安い新版を3週間ごとに投入し、標準の座を守ろうとしている

OpenAIは入力と出力の単価そのものを下げた。アンソロピックは入力と出力の単価に手を触れず、キャッシュ読み取り分だけを下げた。グーグルは価格を据え置いたまま性能を上げた。手段は各社で異なるが、向かう方向は1つである。3週間ごとに安い新版を投入するグーグルは、競合に足場を奪われる前に、開発者が既定で選ぶ存在であり続けようと急いでいる。

各社が抱える最上位モデルと、その下に置かれた安価な系列との差が縮まっている。しかも各社は、自ら進んでその差を詰めている。

次ページ > 価格は崩れたが、先頭集団と後続を隔てる実力差は残っている

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事