フセインの研究は、ビジネスリーダーが見落としがちな点を指摘している。集中力や意思決定といった「ハード」なスキルを高めるために喜んで投資するかと尋ねれば、どのリーダーも力強く「イエス」と答えるだろう。しかし、EIのようなスキルについて尋ねると、多くの人が言葉に詰まる。私たちは「感情的なこと」と「生産的なこと」を切り離して考えがちだが、フセインらの研究は、その見方がいかに的外れであるかを示している。先延ばしは、生産性の問題になるはるか手前の、EIの問題なのだ。
先延ばしによる疲労を防ぐシンプルなEI戦略:「事前決定デー」
一般的なアドバイスとして「大きなプロジェクトを小さなステップに分割する」というものがあるが、ヒューバーマンはこの考え方における重要な落とし穴を指摘している。小さな成功を視野に入れるということは、同時に、直面することになる小さな失敗や課題をも視野に入れることになるからだ。
そのため、フセインはさらに上流にある、より効果的な手段を提案している。その場その場での決断がエネルギーを消費するのであれば、決断を「バッチ処理(まとめて処理)」するのだ。そうすれば、決断のループがだらだらと回り続けるのを防ぐことができる。
以下の方法を試してみてほしい。
・毎週、作業するためではなく「決断するため」の時間を確保する。時間は30分でよい。
・翌週の決断を、単なる意図ではなく「コミットメント」として書き出す。何を、いつ、どのくらいの時間行うか。
・得られる報酬が低いタスクを最初に配置する。そうしたタスクこそ、最もモチベーションが揺らぎやすいことが分かっているからだ。
・その時間が来たら、決断はすでに下されたものとして扱う。もう一度考え直したりしない。
・週末に、どのコミットメントを「再交渉」したかを記録する。再交渉はエネルギーを消費するため、最初に下した質の低い決断を振り返ることは、将来的に同様の決断の精度を高めるのに役立つ。
わずか5分で済むステレオのセットアップに必要なエネルギーに圧倒され、身動きが取れなくなっていたAさんを思い出してほしい。あなたが避けていることのほとんどは、自分で思っているよりも小さなことだ。一度決めて、まとめて実行することで、「利息」を支払うのをやめよう。
編集部注:筆者のケビン・クルーズ(Kevin Kruse)は、感情知能トレーニング企業LEADxの創業者兼CEO。筆者が心理学に基づいて作成したEI診断テストでは、4つのコアスキルそれぞれのスコアの内訳を知ることができる。


