独自テーマで見抜く高PER銘柄
ウッドは特定の「テーマ」に目をつけ、現在の株価収益率(PER)や所属業界に関係なく、そのテーマから莫大な利益を得ると見込んだ銘柄を拾い上げる。例えば、彼女は全米で年間3兆ドルに上る医療費の10%から20%は無駄、あるいは極めて効率の悪い使われ方をしていると試算している。この現状は、クラウド上で診療記録や請求データを管理するアテナヘルスにとって巨大な商機となる。同社の来期予想PERは100倍に達しており、アークの「ウェブX.0」ファンドにおいて最大の保有割合を占めている。
また、「インダストリアル・イノベーション」ファンドおよび「イノベーション」ファンドの主力保有銘柄の一つが、3Dプリンターメーカーのストラタシス(Stratasys)だ。同社の株価は年初来で30%下落しているものの、過去5年間では500%近く上昇している。
ウッドが同社を高く評価し続ける理由は2つある。1つはその買収戦略だ。「連続買収を繰り返す競合他社とは異なり、彼らは非常に戦略的な一撃必殺の買収を行ってきました」とウッドは語り、消費者向けで知名度の高いスリーディー・システムズ(3D Systems)をあからさまにチクリと牽制する。もう1つのより本質的な理由は、前述した医療現場における膨大な無駄の存在だ。彼女は3Dプリンティングが製造業を根本から塗り替え、消費者が雑貨だけでなく、補聴器や入れ歯、義肢までもカスタマイズできるようになると信じている。
アークは一般的な人気銘柄も保有しているが、ウッドはそれらの銘柄や高PERの妥当性について独自の見解を持っている。グーグルは「インダストリアル・イノベーション」ファンドの組み入れ上位5銘柄に入っているが、その理由の一つは彼女が同社の自動運転車を高く評価しているからだ。
新しいテクノロジーに焦点を当てているものの、ウッドは自分自身を「昔ながらのストックピッカー(銘柄選定者)」と考えている。
「私たちは経営陣を知り、財務諸表を熟知し、彼らがどのような形で世界を変革しようとしているのかを理解しています。その上で確信をもったスタンスを取るのです。これこそが古典的な投資であり、私がこの世界に入った時に先人たちが実践していた手法なのです」
そして自身の所属する資産運用業界について、ウッドはアクティブ型ETFが珍しい存在であり続ける期間は長くないと予測する。「変革を注視する者として、私は常に『ティッピングポイント(転換点)』を意識しています。どのような消費財やサービスであれ、シェアが20%に近づくと一気に急拡大するものです」とウッドは指摘する。15.8兆ドル規模に及ぶ投資信託市場においてETFの占める割合は現在12%に達しており、「私たちはまさにその転換点に差しかかっていると考えています」と付け加えた。
もっとも、そうしたアクティブ型ETFが「透明性の高いもの(保有銘柄を毎日開示するもの)」になるかどうかは未だ不透明だ。ブラックロックの申請を却下した数週間後、SECは資産運用会社イートン・バンスに対し、保有銘柄を開示しない新しい構造である「上場型アクティブ運用ファンド(ETMF)」の提供を承認した。SECは、このハイブリッド型ファンドの方がブラックロックのブラインド・トラスト(目隠し)型モデルよりも、ファンドの取引価格を基準価額(NAV)の近辺に安定させる効果が高いと判断したのだ。
主にパッシブ運用を専門とするモーニングスターのアナリスト、ロバート・ゴールズボローは、ウッドとアークの動向を関心をもって見守ってきた。「透明性を恐れない姿勢こそが、彼女を特別な存在にしています」と彼は語る。
「キャシーのリサーチが正確であると仮定すれば、彼女には真のチャンスがあると言って間違いありません。なぜなら、このような投資機会を提供しているプレイヤーは他には誰もいないのですから」
(forbes.com 原文)


