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2026.09.03 09:47

感情をデザインする——体験型ホスピタリティが変えるラグジュアリー旅行の未来

Adobe Stock

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ラグジュアリーホスピタリティは、目に見えるものを磨き上げることに数十年を費やしてきた。より広い客室、より上質なリネン、より豊富なアメニティリスト、そしてより精巧な仕上げ。これらが価値の代名詞となってきた。だが、そうした基準は今、意味を失いつつあると私は考えている。

ゲストはシーツの糸数に気づくかもしれないが、記憶に残るのは、朝の光、雨上がりの木々の香り、砂利を踏む音、あるいは自ずと歩みを遅らせてくれる静寂だ。最も価値ある滞在とは、ゲストの心のあり方を変えるものへとシフトしつつある。

これこそが、体験型ホスピタリティの本質的なチャンスだ。アクティビティを増やすのではなく、旅程が始まる前から、人々の感情を揺さぶるような環境をデザインするのだ。

なぜ「豊かさ」より「感情」が重要なのか

旅はよりパーソナルになり、「見せるためのもの」ではなくなりつつある。最近のラグジュアリートラベルに関する調査によれば、ありふれた、あるいは大量生産された旅ではなく、本物志向で、没入感があり、感情的に長く残る旅への需要が高まっているという。プリファード ホテルズ&リゾーツ(Preferred Hotels & Resorts)は、富裕層の旅行者は旅にお金だけでなく「意味」を投じていると表現し、アマデウス(Amadeus)は、つながりやノスタルジー、目的意識のある体験が旅行需要を形成する要因になっていると指摘する。

この変化は納得がいく。多くのゲストは、常にネットにつながっている状態、都会のストレス、過密なスケジュールによる疲労を抱えて訪れる。彼らが求めるものは、必ずしも刺激とは限らない。時には、立ち止まるための「許し」を求めているのだ。

これは滞在における価値創造のあり方を変える。ホテルは、提供するものを増やすことだけで価値を生み出すわけではない。より慎重に取捨選択することで価値を創造できるのだ。日の出を額縁のように切り取る窓の配置、到着前に灯された暖炉の火、地元の食材を使った朝食は、写真映えはするもののありふれたアメニティよりも、はるかに記憶に残る。

五感は単なる装飾要素ではない

ホスピタリティのデザインは視覚に偏りがちだ。完成予想図(レンダリング)も、ブランド評価も、ソーシャルメディアもすべて視覚的だ。しかし、ゲストは全身でその場所を体験する。

マルチセンサリー(多感覚)なホテルデザインに関する研究によれば、視覚的な手がかりと並んで、音、香り、触覚、味覚がゲストの旅のプロセスを形成し、体験価値やビジネスの成果に寄与する可能性があるという。建築設計事務所のゲンスラー(Gensler)も同様の主張をしており、光、素材、音、香りが同じ感情的なコンセプトを補強し合っていない場合、ホテルは感覚的な調和を損なってしまうことが多いと指摘している。

実践的な教訓は、すべての感覚を刺激で圧倒することではなく、それらを調和させることだ。

自然光が舞台を整え、音響設計が静寂に虚無感ではなく意図的な意味を持たせる。リネンや木、石などの素材は、その質感が空間に落ち着きを与える。香りは、スギやハーブ、潮風、雨上がりの土の匂いなどを通じて、その建物を周囲の景観と結びつける。そして食事は、どんな装飾モチーフよりも説得力を持って、その土地ならではの滞在を印象づける。

すべての選択が、同じ感情のストーリーを支えるものでなければならない。穏やかな隠れ家(リトリート)を目指すなら、柔らかな光に、響きすぎる硬い音響、人工的な質感、ありふれたフレグランスを組み合わせてはならない。ゲストが言葉にできずとも、感覚はそうした矛盾を鋭く察知する。

デザインは感情のインフラである

革張りの椅子とプラスチック製の椅子は、同じ機能を果たすかもしれないが、語るストーリーは異なる。一方は時の経過や味わい(パティナ)、連続性を想起させ、もう一方はスピード感や均一性、使い捨ての手軽さを想起させるかもしれない。どちらかが一方的に正しいわけではない。重要なのは、その施設がどのような感情を生み出そうとしているかだ。

色、スケール、質感、素材は、ゲストが意識的に評価するよりも前に、空間の印象を左右する。無垢の木材は温もりを伝え、石は不変性を生み出し、手織りの生地は、システムによって組み立てられたのではなく、人の温もりが感じられる部屋を演出する。

このため、洗練されたラグジュアリーが、必ずしも感情的なラグジュアリーにつながるとは限らない。完璧さは、時に距離感を感じさせることがある。職人技のわずかな痕跡、不均一さ、そして経年変化の風合いこそが、その場所を特別なものにし、深い愛着を生み出す。

最も強い魅力を持つ宿泊施設は、デザインを用いてゲストと周囲の環境との距離を縮める。建築は移りゆく天候を切り取り、インテリアには地元の素材が取り入れられる。配置された品々は、ただ空間を埋めるためではなく、吟味して選ばれたように感じられる。こうして宿泊施設は、旅先を体感するためのレンズとなるのだ。

「宿」そのものが目的地になるとき

デザインを重視したキャビン、ファームステイ、ウェルネスリトリート、プライベートヴィラの台頭は、宿泊施設の利用方法における広範な変化を反映している。客室はもはや、1日を始めて終えるだけの場所ではない。多くの成功している宿泊施設にとって、滞在そのものがメインイベントなのだ。より広範な旅行トレンドに関するレポートでも、プライベート感のあるアットホームな滞在、ウェルネス、文化体験(イマージョン)、そしてより目的意識を持った旅への移行が指摘されている。

ここに大がかりな演出は不要だ。東向きのデッキ、一緒に料理を楽しめるように設計されたキッチン、暖炉のそばのゆったりとした椅子、あるいは決められた目的のない散歩道。これらがあれば、「いま、ここにあること(プレゼンス)」の条件は整う。そこに意味を見出すのはゲスト自身なのだ。

したがって、優れた体験型ホスピタリティは、過剰なプログラムを避ける。これは、オーナー側が投資対効果(リターン)をこれまでとは異なる基準で評価すべきであることを意味する。感情的な価値は、長期滞在やリピート率の向上、熱心なクチコミ推薦、そしてより高い対価を支払う意思として現れるかもしれないが、その原点はデザインの一貫性にある。魅力的な雰囲気の欠けた宿泊施設に体験(アクティビティ)をただ追加したところで、根本的な問題は解決しない。

オーナーとデザイナーが問いかけるべきこと

「何を追加できるか」を問うのではなく、「ここでゲストにどう感じてほしいか」と問いかけるのだ。

その答えが明確になれば、デザインや運営はそこから逆算できる。ゲストが到着したときに目にするものは何か。夜に聞こえる音は何か。触れたくなる素材はどれか。この地域でしか味わえない味覚とは何か。アクティビティではなく、静寂をどこに創り出せるか。

こうした問いかけが、計画を研ぎ澄ます。オーナーは、ゲストの記憶に残る細部に資金を集中させ、コストがかかるだけで意味をもたらさない要素を排除できるようになる。

最も記憶に残る場所とは、最も多くのものを提供してくれた場所であることは稀だ。それは、たとえ数日間であっても、私たちの心のあり方を変えてくれた場所なのだ。

forbes.com 原文

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