NEWS 「Forbes Store」オープン! FRAGMENTコラボも展開

気候・環境

2026.09.03 09:37

イタチザメが結ぶ東西の大西洋、保全に問われる連携

Adobe Stock

Adobe Stock

イタチザメには独特の存在感がある。一般の人が初めて目にする際、かなり大型のサメであることが多く、その堂々たる姿だけが理由ではない。水中を進むその姿には一種の自信があり、何ものにもひるまず、たやすく水を切り裂いていく(モルディブのモンガラカワハギが相手でない限り)。多くの人にとってこの捕食者との遭遇は一瞬で終わるが、その同じ個体を、数分や数時間ではなく、数カ月にわたり、海盆全体を越えて追跡することを夢見る人も少なくない。そこで何が見えるのか。どこへ向かうのか。東大西洋に位置する小さな島国カーボベルデ(ケープベルデとしても知られる)の沖合で、科学者たちはまさにその問いに答えようとした

東部中央大西洋(ECA)は、サメやエイに関して長らくデータが乏しい海域とみなされてきた。一方で、西アフリカでは数十年にわたり大規模なサメ漁が行われており、漁獲圧が同地域の海洋生態系を変えつつあることを示す証拠も増えている。研究者らは数年にわたり、イタチザメ(Galeocerdo cuvier)にタグを装着し、どこへ移動し、どのように生息環境を利用しているのか、またそれが生存に何を意味するのかを調べた。その結果、一部のイタチザメは地元の海域にとどまっていた。追跡された個体のうち大半はカーボベルデの海域内にとどまり、ボアビスタ島、サル島、マイオ島などの周辺にある同じ沿岸域を頻繁に利用していた。タグを付けられた個体が示したこの定着性の高さは、これらの島々が長旅の途中に立ち寄る単なる中継地ではなく、幼魚、亜成体、成体というすべての生活史段階の個体が、長期にわたり繰り返し利用する生息地であることを示唆している。

だが、共通点はそこまでだった。一部の個体は群島をはるかに越えて移動した。特にあるメスは大西洋を横断してブラジルに到達し、サルバドル近郊の沿岸域で時間を過ごした後、引き返して戻ってきた。ボアビスタ島近海で最初にタグを装着されたこの個体の移動軌跡は、合計で約1万1185マイル(1万8000キロメートル)に及んだ。これはイタチザメで記録された移動距離として史上2番目に長く、同種による大西洋横断の往復移動として初めて記録された例である。

では、なぜサメは2つの大陸を結ぶほどの長旅をするのか。この研究は具体的な答えを明らかにしていないため、確かなことは何も言えない。だが、仮説はある。例えば、この移動は摂餌機会、繁殖行動、あるいは餌生物の利用可能性の変化に関係している可能性がある。実際、ブラジル沿岸にはウミガメのような豊富な餌が存在し、イタチザメの繁殖地として知られる場所もある。ただし、ここには難点がある。同様の資源はカーボベルデにも存在するのだ。なぜある個体は地元で十分だと判断し、別の個体は海を横断するのか。種としては「イタチザメ」というラベルの下に分類されるとしても、それは個体同士が交換可能な単位であることを意味しない。各個体は、過去の経験、環境からの手がかり、あるいは生理的な必要性に基づいている可能性のある、異なる判断を下している。たとえ同じ種の中であっても、個体間のばらつきは、動物が環境とどのように関わるかを理解するうえで重要な要素として、ますます認識されるようになっている。

当然ながら、これは同種の保全に影響を及ぼす。1つの場所を保護すればこの種を守れると考えることはできない。広範囲に及ぶ移動によって、イタチザメは境界を無視する脅威にさらされるからだ。カーボベルデ内でさえ、リスクは存在する。小規模漁業と産業漁業の双方が、サメが多くの時間を過ごす海域と重なっている。漁獲圧が高まれば、遭遇の可能性も上がる。この研究では、漁業で捕獲されたサメが記録されており、その中には生きたままひれを切り取られた個体もいた。長距離を移動する個体の場合はどうか。世界のどこにいるかによって保護の程度が増減するため、危険はさらに増す。

イタチザメは頂点捕食者である。餌生物の個体数を調整し、他の種の行動に影響を及ぼすことで、生態系全体のあり方を形づくっている。もしイタチザメが大西洋の東西を移動しているのなら、個体群が私たちの想定以上につながっているだけでなく、環境そのものもつながっている可能性がある。そうであれば、ある地域での減少が海を越えて波及するかもしれない。それはイタチザメの個体群だけでなく、彼らが頻繁に利用し、すみかとする生息地の健全性にも関わる。カーボベルデは、サメが摂餌し、成長し、おそらく繁殖してから分散していく拠点として機能している可能性がある。こうした拠点を保護することは、その地理的境界をはるかに越える影響をもたらし得る。ただし、それは私たちが手遅れになる前にそれらを認識できて初めて成り立つ。

なお、未解明の点は非常に多い。衛星タグで追跡されたサメはわずか12個体で、そのうち数個体から得られたデータは限られていた。それでも、この小さなサンプルの中でさえ、行動の幅はきわめて大きかった。私たちがまだ見落としているものは何なのか、考えずにはいられない。現在、サメとエイの種の3分の1超が絶滅の危機にさらされている。イタチザメのように高度に回遊する種にとって、課題は1カ所で漁獲圧を減らすことだけではなく、地域全体にまたがって保全を調整することにある。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事