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2026.09.03 09:12

「作業」を増やすアプリはもういらない、AI時代にユーザーが本当に求めるもの

Adobe Stock

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ある晩、長距離移動の車内でUberの運転手と話をしていた。彼は早朝から働き詰めで、その日の仕事を終えるまでにはまだ数時間残っていた。話がいつの間にかお金のことに及び、家計簿をつけているのかと尋ねると、彼は笑った。

彼が自分の家計に無関心だったわけではない。ただ、それを維持し続けるだけのエネルギーがなかったのだ。10時間も12時間も運転した後、帰宅して最もやりたくないのは、また別のダッシュボードを確認したり、グラフを解釈したり、金融に関するタスクをこなしたりすることだった。

奇しくもその頃、私のチームはBon Creditのプラットフォームに、人々のお金の管理力を高めるはずの機能を組み込んでいる最中だった。前提は妥当に思えた。より良い情報を提供すれば、より良い意思決定が下せるはずだ、と。しかし数週間後、あるユーザーが私たちの考えを覆した(そしてUberドライバーの指摘の正しさを裏付けた)。

彼女は自分の口座を連携し、1分足らずでアプリを触った後、静かに閉じた。その後のインタビューで、彼女は機能不足や分かりにくいデザインについて不満を述べたわけではなかった。彼女はもっとシンプルなことを口にした。「選択肢を増やしてほしいわけじゃない。AIが私に何をしてくれるのか、それだけを教えてほしい」

この一言が、私のプロダクト設計への考え方を変えた。個人向け金融だけでなく、ソフトウェア、AI、そしてビジネスそのものへの向き合い方が変わったのだ。

ユーザーが求めるのは「タスク」ではなく「結果」

何十年もの間、私たちはユーザーが操作することを前提にソフトウェアを構築してきた。AIはその関係性を変える。「ユーザーのお金の管理をどう支援するか」ではなく、「お金の管理のうち、ユーザーが二度と考えなくてよい部分は何か」を問うほうが適切になったのだ。

Bon Creditで私たちが下した最も難しい決断の一つは、多大な投資をしてきたAI駆動の家計管理機能から手を引くことだった。プロダクト、モデル、カテゴリー分類、予測機能はきちんと機能していたにもかかわらず、根底にある前提が誤っていた。私たちは相変わらず、人々に「より優れた家計管理者」になることを求めていたが、大半の人はそんなことに興味はない。ただ日々の生活を送りたいだけなのだ。

Bon Creditを開発する中で顧客インタビューを重ねるほど、パターンは明らかになっていった。朝起きて「取引履歴を整理したい」とか、「AIアシスタントと20分間おしゃべりして財務状況について相談したい」などと思う人は誰もいない。彼らが知りたいのは、金利を下げる手助けができるか、見逃しているお金を見つけてもらえるか、あるいはその日実行すべき賢明な一手を教えてもらえるか、それだけだった。インターフェースよりも結果のほうが、はるかに重要だったのだ。

多くの企業がAIで同じ過ちを犯していると思う。より多くのコンテンツ、ダッシュボード、レポート、対話を生み出すためにAIを使っているのだ。しかし、私が体験してきた優れたAIプロダクトはその逆を行く。ひっそりと作業を取り除き、意思決定をなくし、ユーザーが気づかないうちに繰り返し発生するタスクを片付けてしまう。

だから私はもう、最先端のAIモデルを持つ企業に未来が属するとは考えていない。未来は、人間のエネルギーを理解する企業のものになる。

優れたプロダクトは摩擦を取り除く

2024年、米国民は個人消費に約20兆ドル(約3190兆円)を費やした。1ドル(約1万未満円)ごとに、使うか、貯めるか、借りるか、待つかといった誰かの意思決定が背後にある。企業は長らく、消費者がより良い意思決定を下せるよう支援することに注力してきたが、真に大きな機会は、消費者が不必要な意思決定を下す回数を減らす手助けをすることにあると私は考える。

振り返ってみて、この教訓を早い段階で得られたことはよかったと思う。多くのスタートアップと同様、私たちも自社の大規模言語モデルを構築すべきかを検討していた時期があった。競争優位はテクノロジーを所有することから生まれると想定していたのだ。しかし、それは誰よりも顧客を深く理解することから生まれるのだと、私は次第に確信するようになった。

AI時代に勝つ企業は、必ずしも最も洗練された技術を築いた企業ではないだろう。人々に何かを取り戻してくれるプロダクト、つまり時間、注意力、精神的エネルギーを取り戻してくれるプロダクトを提供する企業こそが勝者になる。AIプロダクトが提供できる最も価値ある機能は、もう一つの答えを出すことではない。誰かが心配しなければならない事柄を、一つ減らすことなのだ。

(forbes.com 原文)

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